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短編とかその他

暗き深海の真実

作者: リィズ・ブランディシュカ
掲載日:2021/11/07





 私は知ってしまった。

 この世界で生み出された犠牲の事を。

 知ってしまったからには、元の世界に戻る事は出来ないだろう。

 もう、どうしようもない。





 私が住んでいる国は、海の国。

 広大な海の中につくられた、まるい泡の中で生活している。

 海の国には人間もいるけど、人魚族もいる。

 人魚族は歌の上手な種族だから、国の中はいつも音楽にあふれていた。


 人間はそんな人魚族の歌声にあうような楽器をつくったり、弾いたりして共存している。

 だから人魚は人間の楽器の力を借りて、より綺麗な歌声を披露していくのだった。


 二つの種族は、これからも互いに手を取りあって生きていく。

 私もその輪の中にいる。

 その時までは、そう思っていた。


 けれど、私は知ってしまったのだ。

 ごく一部の者達が、人魚を捕まえて食べていたという事実を。


 話はそれるが、この国にはあるおとぎ話がある。


 遙か昔、大地が大海に飲み込まれた頃。

 水に沈みゆく無力な人間達を、人魚たちがその体ですくいあげたという話があった。

 人魚と人間の共存の歴史の始まりとして、伝えられている物語だ。

 だが、一部の者達はそれをねじ曲げて解釈している。


 その話の真実は、人間が人魚の体を食べて、水に強い人魚族に変身したのだと、思っているのだ。

 この泡でできた国から、人間達は外に出る事ができない。

 人間は水の中で長時間泳ぐことができない。

 それを異常に怖がる者達がいるから……。

 そういう解釈にたどり着いたのかもしれない。


 私達は、生まれてから一度もこの国の外に出た事がないから。

 想像の中にある水の脅威が、とても恐ろしい物になってしまうのだろう。


 しかし、大半の人達は国の外の事など考えない。

 人魚を食らって人魚になるなど、眉唾もの。普通なら笑い飛ばす。

 しかし実際は、それを真面目に信じた人達が、大勢いたようだ。


 私は、その決定的な証拠を目撃してしまった。


 隠された場所には、人魚たちの無数の亡骸があった。


 知ってしまったからには、もう元の世界には戻れない。

 人魚たちと平和に生きて、楽しく語らっていた時間には。


 だから私は、決意した。


「あの話を信じた人達が、他にもいたんだ」



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― 新着の感想 ―
[良い点] 人魚の肉を食べると不老不死になるという伝承もありますし、こういうことも起こり得ないわけではなさそうですね。別の種族が共存するのは難しいんだなと思いました。
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