女軍人の最後の願い
初投稿です
読みにくい文章でございますが
読んでいただけると幸いでございます
私は墓の前にいる
明日もうここには来れないから
ここには私と一緒に士官学校で学んだ学友が眠っているはずだが、ゆかりの品すら入っていない
私は先日中将より大将に格上げされ終戦を迎えた
私以外の士官は全員戦死
現在は停戦という形となっているが
この国にいるのは女子供と老人ぐらいなもので
成人を迎えた男など王宮の王子ぐらいだった
まあ今生きている女子供も奴隷にされるそうだから
文字通りこの国は終わるんだろう
そんな国に最後まで残された私シェレル ハルバートはこの国の最後の国民である
今日のこの時間にはすべての国民は敵国の奴隷となることが決定している
よって明日処刑される唯一の軍人である私は
最後まで抵抗した国民
ということになっているが
実際は死にたくはないというのが本音だ
士官にはなりたくなかった
美術学校と間違えて入った時には死ぬかと思ったことは懐かしい記憶だ。
朝5時に起こされ、男3人と生活、団体行動として
1秒遅れたり、ズレていたりすれば全員が罰をもらう
身体に教え込まれた
私は今ですら
鞭のあとや焼き印、恥ずかしい写真が出てくるのだ
まあ思い出したくない
一応首席卒業した私は戦う技能はまずまずクラスだったこともあり補給や衛生、医療面のサポートについて
部隊を持った
軍人一人すらいない部隊は女と子供の集まりだったが
一度たりとも補給切れにはさせなかったし、前回の戦争で抜かりない補給や負傷者の復帰などを評価され
特別中将の位につけられた
役職的には中将の下で特別職ではあったが
かなりの権能を持ち、ほぼすべての部隊の補給を任された
この戦争がはじまる前に士官学校の同輩と呑みにいったときには
一番出世したな か理想の結婚相手は見つかったか?
というくだらない話をした時はこうなるとは思わなかったのである
戦争が始まり最初は優勢であり
同輩からの情報はよく首都にいた私の元にも入ってきていた
連戦連勝であると気持ちの良い快勝が続いているということに私も嬉しくは思った
しかし歴史はそのまま進まなかった
主力の包囲殲滅で一兵たりとも帰って来なかった
あそこには300万の兵がいたはずなのだが
今私に入って来ているのはすべての兵が国に殉じて戦い全滅したと
人員は不足し前線すら支える兵は確保できず、新兵器の登場により兵がいるところも抜かれて
要塞も何の意味もなく4日で陥落したと聞いた時には
ここで降伏しておけばまだ国家の体裁は保てると
主張したが却下された上敗北主義とけなされ
私は門に張りつけにされた
何も身につけることは許されずに
民衆にはあの淫売女と後ろ指を刺され
私はどんなに悔しく思ったろう
そして国都は100万を超える連合軍に包囲され
我が軍の兵は近衛500人という負け戦に優秀だった人材すら捨てた 全員が突撃し戦死した
都市に雪崩れ込み掠奪のかぎりを尽くされた市民は
あの時に私をバカにした奴らだ
私はどうも思わなかった
そして私は王に呼ばれ最後の戦いとして
唯一の生き残りの私に城の城門を守らせた
あの時鎧から何から処分されたらしく
ほぼ下着同然で私の愛槍グラファニルを持ち
門を守衛した
連合軍の兵の嘲笑をもらいながらも
1万人は討っただろう
無益に人を突っ込ませ死なせるより懐柔が良しと考えた連合国により王家は偽りの停戦に合意し
捕らえられた
王家すらなくなった
守るものも
そして私はここにいる
最後の国民として
街にいるほぼすべての女は男達のいい相手にされているだろう
子供は労働力にするために捕まり、老人は斬られた
何が悪かったかはわからない
何か私が悪いことをしたかはわからないが
時が良くなかったのだろう
私は墓に同輩の絵を書いた
ここには連合国の兵も来なかった
2時間して仲の良かったやつの絵を書き終えると
私は槍を持ち連合国の待ち受ける街へ向かった
まあ私は絵を書くための道具と槍しか持っていない
身にまとう布すら無い
そんな醜い身体になろうともこの国の軍人として
誇りを持って
誰もいない墓地に風が吹く
墓にはおまえのところへ行くためにわたしも戦う
王国大将シェレル=ハルバート
と彫られていた
私は何日か暴れ、連合国兵が震撼するほどの死体の山を築いた
すべての少年少女が集められた私の管轄の軍事物資収集拠点を襲撃し、すべての子を保護した
腕に自信がある軍人ですら敵わないという事態に
連合国は少年少女の人権と権利を保障することを
条件に降伏するように求めて来た
私は再三断ったが限界が近かった
私をその中に含める条件で合意し
終戦した
結局どうなったかって?
全員殺されたよ
一人残らずな
私はその事実だけ説明され身柄を拘束されたよ
最後に処刑の前に行きたいところがあるといい
墓地に行った
出来る限り戦ったよ と墓に声をかけてあとにした
街の広場で公開処刑される私はギロチンに拘束された
言い残しは無い
この国の軍人として誇りを持って死ねるから
死んだ私は最後に笑みを浮かべて死んだらしい
私は一部の子たちを別の場所に保護していた
ほんの5000人程度だが
わたしの身代わりを引き渡すと
私は隣国の同盟国を頼りに密かに国境を終えた
私はこの子たちを生かすために生きるつもりだ
この子たちが幸せに暮らせるようにさせることが
あの国の最後の軍人の最後の責務になるだろう
それまで私は王国軍人のままだ
あの後何十年戦っただろうか
私は王都の地を踏みしめた
私は取り戻した 空虚ではあったが
何よりもあの時子供だったあの子たちが歓喜する
姿が印象的であった
その後また戦いを続け、あの時の連合国のすべてを降伏させたが統治下に置いただけで特に虐殺はしなかった
同じ畜生にならないためだ
と演説したときには
帝国民も王国民も揃って拍手を送っていた。
帝国民も王国に知り合いが多くいたからであろうが
シェレルの仁徳に拍手したと言ってもいいものだ
あの後復興した新王国はゴタゴタもありながら
旧領と連合国領、帝国領すべてを含む大王国となった
帝国は同君連合と言った感じではあったが、皇帝がいなくなり我が王国に加わった
この王国の繁栄を待ちわびたが
それを完全な状態で見ることは出来なかった
私は記念式典で門の前で槍を持ち仁王立ちしたまま
その生涯を終えた
悔いはない
享年98 シェレル=ハルバート 旧王国大将 帝国大将
新王国元帥 女王
補給、医療、衛生を担当した女軍人
旧王国最後の軍人として戦い子供たち5000人を帝国に
送り届ける
帝国に入隊し、王国の旧領を取り戻すため奔走
52歳の歳、連合国すべてを滅ぼし、王国を再興する
国王一族及び親族はいなかったため
空位とされ、3人の枢機卿による政治が行われた
残った子供たちと共に連合国の民を平和に支配し
自らは元帥として国の秩序を維持し、
その後500年続く新王国の基礎を作り上げた
最期は槍を持ち門の前で立った姿で死亡した
王国は女王の称号を彼女に授与した
旧王国の戦死者を弔う祭りは今や世界的に有名となり
今は政体を変えシェレル=ハルバート共和国と名を変えて存続する国の建国者として、街の広場には
あの日門の前に裸で釣られた像と
門の前で槍を構える立像が建てられている
この像は本人を固めたものであり本物である
この国のすべての国民がシェレルのような
胸を張れる人生を送りなさいと言いつけられ
全国民の英雄として今なお称賛されている
あの時の誓いは果たせただろうか! 友よ!
ああ
天から声が聞こえた時、この意識は別の世界へ
消えてしまった
戦いの中身を描写できるほどの表現力はないので
載せませんでしたが、実力がついたら挑戦しようかと思います
お読みいただきありがとうございました!!
シェレル バンザイ!!