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道具しか召喚できないスキルの俺が、スキル進化で確定ガチャになったとたん世界最強になりました  作者: 紫 和春


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第49話 捜索

 クリスたちは魔王を探すため、城内を探索する。

 魔王城の中は多少の魔物がうろついているだけで、ほとんど空の状態だった。

 クリスたちはどこにいるかも分からない魔王を必死に探す。


「これじゃあ埒が明かない。どうにかして魔王を探し出す手段を見つけないと……」


 クリスは若干焦りを見せる。

 その様子を見たエレナは「お告げ」を使って魔王の居場所を特定しようとした。

 しかし、その表情は曇りを見せる。


「んんっ……!」

「大丈夫か、エレナ」

「うん、大丈夫」

「何か見えたか?」


 エレナは首を横に振る。


「何も見えない。なんだか分厚い雲の中にいるみたいだった」

「そうか……。仕方ない」


 そういってクリスは探索に似合う道具がないか、スキルを使って調べる。

 すると、いくつかの道具が候補に上がった。

 クリスは説明を見ながら、どれが最適か選ぶ。

 そして一つの道具を召喚した。

 生命魔力反応逆探知装置である。

 人体から発する魔力を探知し、その反応を回路によって増幅することでその人がいる場所を表示する装置だ。

 クリスは懐中時計のようなそれを起動する。

 装置は上部にホログラムを表示させ、近くにいる生命反応を拾う。

 クリスたちの反応を除去していくと、ある方向に強力な魔力反応が出る。

 クリスたちは強く反応が出た方向に向かう。

 そこは城の中層、壁から強い魔力が放出されていた。


「ここに何かがあるのか?」


 クリスは壁を触ってみる。

 しかしそこには冷たい壁があるのみで、何かあるようには思えない。

 クリスはまた道具を召喚する。

 弾性波式壁厚走査測定装置だ。

 クリスは測定装置を起動させ、壁に貼り付けた。

 測定装置は壁を這うように移動しながら、壁を走査する。

 そして、測定結果を表示した。


「なんかこの部分の壁だけ薄いようだ。何かあるかもしれない」

「破壊なら任せて」


 そういってエレナが攻撃魔法を壁に向けて打つ。

 しかし攻撃は壁に展開した自動攻撃相殺魔法陣によって防がれてしまう。


「あれ?」


 エレナは首をかしげる。


「次は私が行きます」


 そういってペトラが剣を構える。

 そしてスキル「剣術」を発動し、全身全霊の突きを壁に向ける。

 しかしその突きも、自動攻撃相殺魔法陣によって防がれた。


「そんな……私の渾身の一撃が……」

「じゃあ次は私ー!」


 ティナが躍り出る。

 ティナは大型のナックルダスターを構え、力を込める。

 ナックルダスターは、ティナの魔力を吸収して攻撃力を増強し光り輝く。

 そしてまっすぐ正拳突きを壁に向ける。

 壁に衝突した瞬間、周辺に衝撃が走った。

 しかし、それも自動攻撃相殺魔法陣によって無効化されるが、若干魔法陣の一部が消えかかる。

 それを見たクリスは、相当な攻撃力を与えればこれを打ち破ることが可能ではないかと考えた。

 そこでスキルを発動し、道具を召喚する。

 設置型成形炸薬弾頭弾ファウストシュニターだ。

 見た目はパンツァーファウストの弾頭部分を大型化し、地面などに固定できるようにしたタイプである。

 クリスはこれを壁にピッタリと接触させ、動かないようにがっちりと固定する。

 あとは点火用のコードを伸ばし、爆風の影響がない死角まで移動した。

 周辺に誰も立ち入らないように注意を払い、クリスは起爆する。

 大爆発と共に、周辺を黒い煙が覆った。

 煙が晴れると、クリスは壁の様子を伺う。

 そこには、人一人分が通れる程の穴が開いていた。

 どうやら自動攻撃相殺魔法陣はファウストシュニターの攻撃を無効化できなかったようだ。

 クリスはエレナたちにアイコンタクトをとる。

 エレナたちはうなずく。

 この穴の大きさでは、SUS-8は入ることはできない。

 そのため、歩兵小隊と冒険者たちが中に侵入することにした。

 クリスが先頭に中へ入る。

 壁の穴を通り抜けると、その先は大きな空間が広がっていた。

 薄暗い空間には、奥にぽつんと玉座のようなものが置かれている。

 そしてその玉座には何かがいた。

 魔王である。


「よくぞ来た、人間よ。我は新世界の魔王。この世界を作り変えるために生まれた存在」

「お前が魔王なのか?」

「あぁ、そうだとも」


 そういって魔王はクリスのことを見る。


「まさか人間がここまで来るとは思わなかったぞ。あの強固な魔法陣を破壊し、我の玉座に足を踏み入れた生物はお前が初めてだ。魔人ですらここに入れなかったのだがな」


 そういって魔王は頬杖をつく。


「だが、それもここまでだ。この玉座に来たのなら生きて返すわけにはいかない」

「どういうことだ?」


 クリスの疑問に、魔王は立ち上がって答える。


「これは独立戦争だ。どちらかが滅びるまで戦い続ける」


 そういって魔王はどこからともなく武器を取り出す。

 冥界の魔剣サモンドディザスターである。

 その圧倒的な畏怖の念を抱かせる魔剣を前に、クリスたち人間は本能的に体が硬直してしまう。


「さぁ、心行くまで剣を交えようではないか」


 魔王との戦いが始まろうとしていた。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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