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道具しか召喚できないスキルの俺が、スキル進化で確定ガチャになったとたん世界最強になりました  作者: 紫 和春


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第37話 違和感

 クリスはSUS-8小隊を連れて、近くの街に向かう。

 数十分もすれば、目的の街が見えてきた。

 街からは複数の煙が上っており、すでに大規模な攻撃が行われていることが伺える。

 クリスたちが街に飛び込むと、そこには逃げ惑う住人と建物を破壊する魔物の群れの姿があった。


「各自散開!住人の安全確保の後、各個魔物の討伐を開始!」

「了解!」


 そういってクリスたちは街の中に散らばっていく。

 クリスは大通りを抜け、街の反対側に向かう。

 そこには魔物の群れが建物を無造作に破壊し、それから逃れるために住人が逃げ出していく。

 そんな中、一匹の魔物が破壊した建物の破片が逃げ行く住人の上に降ってきた。

 住人はその破片を見て、絶望の表情を浮かべる。

 しかし、その破片が飛んでくることはなかった。

 クリスが身を挺して破片から住人を守ったからだ。


「大丈夫ですか?」

「え、えぇ」

「とにかく、ここからすぐに逃げてください」

「は、はいっ」


 そういって住人は街の外に向けて逃げていく。

 クリスは改めて魔物の群れに対峙する。

 魔物の群れはクリスのことなど気にせず、街の破壊活動に勤しんでいた。


「早くなんとかしないとな」


 まずは近くにいた、壁に体当たりしていた魔物に対して接近を試みた。

 魔物はクリスに全く興味がないのか、見向きもしない。

 クリスは魔物の胴体を掴み、地面に叩きつける。

 魔物の肉体は一瞬痙攣したかと思うと、ピクリとも動かなくなった。

 次に建物の上にいた魔物に向けて、30mm重機関砲を射撃する。

 数発撃った所で、魔物の肉体に直撃した。

 そのまま近くにいる魔物にも重機関砲を撃つ。

 何匹か撃ち倒したら、建物の中から魔物が飛び出してきた。

 その魔物とクリスは衝突するが、魔物はそんなことを気にせずに建物のほうに向かい、破壊活動を続ける。

 これにクリスは再び違和感を覚えた。


「どうしてこいつらは俺を狙ってこないんだ?」


 先ほどの進軍する魔物の群れといい、今も破壊活動を続けている魔物といい、通常の魔物とは異なる行動をしていることにクリスは疑問を持つ。

 ここでも何か異常性があるのではとクリスは感じた。

 クリスは草原で召喚したタイプの中脅威度生体保管コンテナを出し、そのまま魔物を収容する。

 こうして粗方魔物を討伐した所で、遅れてやってきた大公国軍とホーネット中隊及び冒険者たちと合流した。


「残った魔物の処理は大公国軍が引き継ぎます。ホーネット中隊と冒険者の皆さんはフェンネルにお帰りくださって結構です」


 そういってホーネット中隊と冒険者たちは一路フェンネルへと帰還する。

 数日後フェンネルに戻ったクリスは、フェンネルにいる生物学に精通した学者を呼んだ。


「僕、生物学とは言っても鳥類学専門なんですけど」

「無理を承知で言っているのは分かってます。けれど生物としておかしな行動をしているのは素人目に見ても分かることなんです。これが分かれば何か打開策が見いだせると思うんです」

「うーん。一応見てみるけど、僕で事足りるかなぁ」


 そういって鳥類学者は、コンテナから拘束した状態で取り出した魔物を見る。


「六本足の大型生物なんて聞いたことないな。こっちの魔物は僕に興味なさそうだし……」


 そういった後、鳥類学者はクリスに告げる。


「王都に知り合いの生物学者がいるんで、彼らに頼りましょう。確か海洋獣の研究してるから何かと共通点ありそうだし」


 そういって鳥類学者は王都の生物学者に紹介状を書いてくれた。

 クリスは紹介状と魔物が入ったコンテナを持って、ザックと共に王都へと急行する。

 シーヴと比較的舗装された街道のおかげで、一日程度で王都へ到着した。

 クリスは王都の研究所に出向くと、すぐさま鳥類学者の言っていた生物学者と会うことができた。


「おや、君は確かシーゴブリン討伐時に質問に答えてくれた冒険者だったか」

「その節はどうも」

「それで、フェンネルのあいつは何を持ってきたんだ?」


 そういうと、生物学者は紹介状を開いて一読する。


「……なるほど、魔物の変異種の可能性か。まずは実物を見せてくれ」


 早速クリスは拘束された魔物を見せる。


「ふむ。私の専門の動物行動学と似通った部分を感じる。ちょっと待っててくれ」


 そういって生物学者は何やら機材を持ち出してくる。

 機材から伸びるコード類を六本足の魔物の頭に装着すると、機材のスイッチを入れた。


「これは一体何を?」

「魔物の頭から出る波動を魔道具によって読み取って、その思考パターンを我々が読み取れるようにする装置だ」


 そういって、生物学者は機材から排出されるパンチカードを熱心に読み取る。

 そして生物学者はあることに気が付く。


「これは……。既存の生物の思考をしていない」

「どういうことですか?」

「どうもこうも、これだけの大きさの生物なら、もっと複雑な思考をしていてもおかしくはない。だが、この魔物にはそれが見られずに、単調な行動の繰り返しをしている。まるで原生生物の思考パターンみたいだ」


 クリスはこの説明を受けても、さっぱり分からなかった。

 生物学者は次に街を襲撃していた魔物の思考を読み取る。


「こっちは少し複雑だが……、なんだこれ?」

「今度はどうしたんですか?」

「見た目は魔物なのに、ところどころ人間の子供のような思考をしている」


 生物学者は興味深そうにパンチカードを眺める。


「これは詳しく調査する必要がある。それに現地でもっとサンプルを回収したい」


 そういって生物学者は書類を漁る。


「一日だけ待ってくれ。それまでに準備を整える」


 クリスはなんのことだか分からないが、とにかく研究所で待つことにした。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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