09
「リルはもういないぞ。まあもともと我から派生した人格だからいないというのもおかしい話だが。」
「そうですか」
ユウは、小さく頷いた。閉じた目からは涙を流していた。
「まったく、お前は我の従であろう。そのようにズタボロで。」
そう言って、リレィンは手を短剣で切り、ユウに血をかけた。
しかし、変化が起こることはなかった。リレィンは指を顎にあて少し考えていた。そして何かに気がついたのかオレの方に顔をむけた。
「む、おいルキノ。お前の血が混じって効果がでない。ユウからも血をお前に戻せ。」
「あ・・あぁ、わかった。」
ユウの腕に擦り傷があったのでオレはそこに口をあて、血が戻ってくるように思った。
そしてリレィンがもう一度ユウに血をかけると、少しずつだが確実に傷が治癒していった。
体が動くようになったユウはリレィンに跪く。
「ありがとうございます。貴方様の手を煩わせて申し訳ございません。」
「リレィンだ。」
「っ、リレィン様ですね。」
「リレィンだ!」
ユウがわからないと、困り顔になっている。一応、助け船をだしておくか。
「呼び捨てにしろってことじゃないのか?」
ユウは驚きの表情を浮かべておろおろとしだす。そこにリレィンがきっぱりと言った。
「ユウは我にとっても、リルにとっても友だ。そう思っているのは我だけなのか?」
「いえ、ありがとうございます。リレィン。私も大事な友達です。」




