表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/28

20話 WGA入学試験 Ⅱ

 @20話 WGA入学試験 Ⅱ







 視点:天霧夜




「一々スケールが段違いだな……」

「ふふん! 凄いでしょう!」

「なんで月夜さんが自慢気なの……」


 咲と月夜に合流した俺は、最後の試験が行われる舞台──闘技場に繋がる道を歩く。


 因みに闘技場も三つあり、どれも同じ様な造りになっている。

 咲と月夜も、たまたま同じ闘技場(試験会場)だったらしい。

 座学の試験会場だった本校舎から歩いて四、五分程の場所にある闘技場は、人間界の東京ドームと殆ど大きさだそうだ。

 近年珍しい石造りで天井が付けられていない所が、かの有名なコロッセオを彷彿とさせる。

 空中都市は雨が振らないからな。天井が空いている事によるデメリットはほぼ無いし、この方が見栄えも良い。


 戦闘の試験に関してだが、この巨大な闘技場内で、五組の戦闘が同時に行われる。

 にしても広いな……十組くらいは同時に対戦しても余裕ありそうだ。

 因みに試験開始時間は12:00。

 一試合は五分で、それが五組、つまり十人。他の闘技場も含めると、一時間で戦える人数は──5×10×12×3で1800人。

 入学試験に応募したのは3000人らしい。それが三回戦うから9000として──全員が三回戦うのにかかる時間は9000÷1800で5時間か。結構長いな……


 対戦相手はランダムで、受験番号の書かれた紙の入った箱を、リアルタイムで試験官が引き続ける。

 その引かれた順番で誰と戦うか決まる──といっても、引かれるのは受験番号だから、試験の直前までは相手の学年しか分からない。

 一応、受検番号の一桁目が学年になっている。対戦相手には学年も、性別も、種族も関係ないようだ。

 ()()と当たらないと良いけどな……


 さて、闘技場の客席に着いた。

 自分の受験番号を呼ばれたら会場内に入り、そこで対戦相手と対面してそのまま戦闘に入る。各試合毎にも一人の試験官が付いている。審判の役割も兼ねてだろうな。


『試験を開始して下さい』


 そうこうしているうちに試験が始まる。


『あー、あー。この第一闘技場の試験監督の皇輝夜だ。とっとと家帰りたいから早く試験終わらすぞー』


 闘技場の高い所──VIP席? にすわる試験監督。『とっとと家帰りたい』とか……これで良いのか名門校。にしても皇……確か月夜の苗字って──


「……私のお母さんです」

「そ、そうか」

「雑な人ですが、意外と優しいんですよ? しかもあれでいて、代表(マイル様)と戦える実力者でもあるんです!」


 えっへんと胸を反らす月夜。なんで月夜が自慢気なの……

 だが、あの【炎帝】と同格に戦える者なんてそうそういないだろうし、知らない筈無いと思うんだけどな……

 狐の獣人……獣人? もしかして──


「【インビジブル】?」

「お、知ってますか!?」


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━


【インビジブル】

 獣人最強の兵士【インビジブル】。彼女の逸話には、一人でエルフ軍、魔族軍を複数壊滅させ無傷で生還。

 相対した者は総じて──


『そこに気配があるのに攻撃が当たらない』


 と語るそうだ。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 という噂なのだが、人間界では【インビジブル】は実在しないただの噂とされている。

 だが、その噂の娘が隣にいる事を考えると、それは紛れもない事実なのだろう。

 ホントにいたんだな……

 そして──


『2642と……2337! 初戦はテメェらだ、とっとと出て来い! 次は──』


 2642番──俺じゃないか。


「うわわ、お兄ちゃんいきなりだね……」

「ファイトです。ここで見てますよ!」

「ああ、行ってくる」


 そうして、俺は闘技場の舞台へと向かった。




 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




 《第一試合》




「只今より、2642番対2337番の試合を行う!」


 相手は──狼の獣人だ。それも獣型か……


 獣人はいくつかの種族と別に、人型と獣型の二種類に別れている。

 人型の獣人は、人間の身体に種族特有の耳や尻尾等があるタイプだ。

 月夜や【インビジブル】はこっちのタイプだな。


 それに対して獣型の獣人は、全身体毛で、より獣らしさが色濃く出ているタイプだ。


 無論個体差はあるが、人型の獣人の方が魔法が得意で、獣型の獣人の方が身体能力が高い事が多い。

 俺は遠距離への攻撃手段が無いからな。獣人を相手にするなら獣型の方がやりやすい。


「……あんた本当に人間か? 相当修羅場を潜ってるだろ。名前を聞いてもいいか?」

「天霧夜、対戦よろしく」

「天霧……なるほど、俺はガイア。人間だからって手を抜いたら痛い目に合いそうだな。こちらこそ、全力で相手をさせてもらう」


 どうやら、ガイアの得物は槍らしい。素材は──銀か? 獣人は実力で得物に使う金属が変わる文化があり、十二の階級があった筈だ。確か銀は上から三番目。それを考えると、彼が相当な実力者だというのが伺える。

 それに加え、俺が無能力の人間だからと油断せずに、実力の判断をする辺りスキが無い。

 始めから悪いくじを引いたな……いや、入学者全員がこのレベルなのか?




 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




「始め!」


 考えてるうちに試合が始まる。

 が──ガイアその場から動かずに、脚を引く。同時に、槍を持った手を肩の後ろに下げる。

 その構えに俺は嫌な予感を覚え、すぐさまバックステップで距離を取る。

 突っ込んで来たところに居合斬りでカウンターを狙う予定だったが、その予定は変更だ。

 鞘に収めていた天之叢雲を抜き、飛び道具を撃ち()とす技【流墜(りゅうつい)】の構えをとる。

 そして──


「【追跡(ハント)の、投槍(ジャベリン)】!!」


 とんでもないスピードで飛んでくる槍を──


「【流墜(りゅうつい)】!!」


 正面から叩き伏せ、槍に流れる力の方向を下へと変換する。

 結果、槍は地面へと突き刺さる。

 ……チャンスだ。

 俺は得物を失ったガイアに突撃する。まあそう見えるだけで、他の武器が無いとは限らない。ガイア自身が格闘術を極めているかもしれないしな。

 念の為【感覚拡張(スプレッドセンス)】を使って突撃。

 そんな俺を見て、ガイアは

 ──ニヤリと笑っていた。


 ──もし、この時に【感覚拡張(スプレッドセンス)】を使っていなかったら、俺は負けていただろう。


「っっっっ!!!!」


 突撃中に身体を捻り、後ろから猛スピードで迫る槍をスレスレで回避する。

 危ねえ……


「……流石天霧、よく避けれたな」

生憎(あいにく)、死角からの攻撃には慣れてるんだよ」


 驚きの表情を見せるガイア。だが、その表情には余裕がある。

 ……流石なのはどっちだよ。


 俺が槍の対処に追われている際に距離をとっていたらしい。

 一旦仕切り直しだな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ