19話 WGA入学試験 Ⅰ
視点:天霧夜
地点:空中都市 wGA 3F 4番教室
WGAの門を潜り、案内に従って進む。
俺の受験番号は──2642番か。咲は1341番。月夜さんは2187番。まあどうでもいいか。
学年が違う咲は2Fで試験を受けるから一緒に居ないが、月夜とは同じ階だった。つまりは同い年だった訳だ。呼び方も変えることにする。
「月夜、顔強張ってるぞ」
「緊張するんですよぅ……」
「じゃ、俺はこっちの教室だから」
「はい、頑張りましょうね……」
WGAの試験は座学、戦術、そして戦闘能力の選定の三種類だ。
座学は人間界の普通の学校と変わらない。国語とか数学とか、そういうのだ。
ただし、教科毎に別れておらずテストは一枚。全ての教科の合計点が100点になる。
WGAの教育理念上、座学は他の二つ程重要ではないのだろう。
続いて戦術。
集団戦闘の進め方から盤外戦術。他にも心理学等、戦局に関わる要素全てを計算して、大まかな答えを出していくものだ。
決まった答えは存在しないが、相手の意表を突く答えを出せる程得点は上がるのだろう。
戦術に与えられた配点は200点だ。
最後に戦闘。
実際に候補生同士で模擬戦を三回行い、戦い方、純粋な力の強さを測定するものらしい。
模擬戦の勝敗は得点に影響せず、戦闘で有利に立ち回れる程加点されるとか。
……正直助かる。一部の種族と当たったら、人間の俺じゃほぼ勝つのは不可能だからな。
これも、与えられた配点は200点だ。
この3つの分野の合計点が300/500点を超えれば合格。
これだけ見ると割と緩そうな気もするが、テストの難易度や、求められるレベルは相当高いだろうから油断は出来ない。
そして各学年上位10名は、合格後にちょっと豪華な寮で暮らせるとか。
合格出来れば俺としては十分だが、上位10名に入れて悪い事はない。そこを目標に頑張ろう。
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『試験を開始して下さい』
アナウンスと共に、事前に配られていた座学のテストを解く。
……予想以上に難しいなこれ、2.3割は引っ掛け問題だし、そもそも問題自体も高レベル。問題の数も多いな……殆ど1点だ。
制限時間が90分って聞いて長すぎると思ったけど、寧ろ90分でも足りないくらいだな。
時折妙に簡単な問題と、明らかに解かせる気のない問題が混じっているが、このテスト……もしかして、知識力だけでなく判断力のテストも兼ねているのか?
取り敢えず全ての問題に目を通し、難しいものにチェックを付けておく。
まずは簡単な問題から解いてしまおう。
そうして解いていくうちに──
『試験を終了します』
試験は終わった。
だが──その後、アナウンスがとんでもない事を言い始める。
『では、これより不合格者を発表します。11623番、11711番……』
「……は?」
採点すらしていないのに不合格者を言い始めるアナウンス。
幸い俺の受験番号は呼ばれなかったが、何か基準で不合格になるのかは明かされないまだ。周りもざわついている。
にしても、この通達なんか違和感があるな……
なんにせよ、次の戦術も筆記テストだ。
何か特殊な事をやるつもりは無いが、あの謎の不合格通知に気を付けなければいけないな。
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『試験を開始してください』
休憩が終わり、戦術のテストを解いていく。
こっちは然程難しくないな。割とスラスラ解ける。
不合格通知が懸念材料だが、カンニング等問題行動もしてない。大丈夫だろう。
『試験を終了します』
そうこうしているうちに試験が終わった。
そして──
『では、これより不合格者を発表します。22314番、23987番……』
やっぱり発表される不合格者。その通達を聞いていた時、たまたま違和感の正体に気付いた。
不合格者の受験番号が、俺や咲の受験番号より一桁多いのだ。
だとすれば……これは不安を煽るための嘘だろう。事実、周りの面々は、不合格者の発表中に顔を青くしていた。
緊張し過ぎると冷静な判断が出来なくなるからな。その辺りを試すテストでもあったんだろう。
咲や月夜は気付いているだろうか?
『──以上です。次の試験は外で行います。動きやすい服装に着替え、指定の闘技場に向かってください。更衣室は──』
偽不合格者の発表を終え、戦闘の試験の案内をするアナウンスが流れる。
そのアナウンスを聞いて、俺はWGAの目玉の一つである闘技場に向かった。
戦闘か……この六年間で培った技術を出し切るには丁度いいだろう。各界の代表が集まる試験だし勝てる保証は無いが、幸いにも勝敗は関係ない。
まあどちらにせよ、俺の全力を出し切るだけだ。





