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中洲発最終バス

作者: The Hiro

勢いだけで書いちゃった駄文。一応怪談。

 休日、ラフティングに出かけた。



 ラフティングの会場についたら、もめていた。今日は川の水量が多いので中止にしたいと運営側が言っているそうだ。ラフティング前日に大雨が降ったそうで、そのせいで水量がいつもより多いらしい。

 「せっかく来たのに中止はひどいじゃん!」

 と若い女性が受付の女性に文句を言っている。

 「こっちはわざわざ今日の為に休みを取ったんだぞ!」

 子供連れの男性も怒っている。

 他の周りの人達もおおむね不平、不満を漏らしている。

 俺もわざわざ遠くから来たのに、中止なんて嫌だ。

 運営側の責任者と思われる人はこのまま中止はまずいと判断したのだろう。

 「今日はいつもより水量が多いですが、中止するか強行するかの判断は微妙なところです。多分丈夫だとは思いますが、いつもより危険が多少高いことは事実です。それでも皆さんが参加されたいというのなら、予定通りラフティングを行いたいと思います。皆さんの意見を聞かせてください。」

 と責任者らしき人が参加者に意見を求めた。

 「そんなのやりたいにきまってるじゃん。」

 と先ほどの若い女性。

 「もちろんやるぞ。」

 子連れの男性も同意。ほかの人たちもみんなやりたいと言っている。もちろん俺たちも同じ意見だ。

 結局、運営側が折れて、予定通りラフティングは行われることとなった。



 ラフティングが始まった。俺のボートに乗るのは、インストラクター、俺、先ほどの若い女性、先ほどの子連れの男性とその子供。最初は穏やかだった川の流れもだんだんと激しくなり、途中からかなりスリリングになった。しばらくたつと、さらに激流は激しくなり、「危ないのでは?」と感じるほどになった。インストラクターの表情も厳しいように見える。そのさらに5分後ぐらい後、激流のせいでボートがひっくり返って、全員川に投げ出された。俺は水を飲みこんでしまったところまでは意識をたもてたが、その後意識を失った。



 気が付いたら、川の中州にいた。周りを見回すと、若い女性と子連れの男性とその子供も近くに倒れていた。インストラクターの姿はない。

 少し離れたところで、木製の手漕ぎの船に乗り移ろうとしている人が数名いた。顔に見覚えがある。ほかのボートに乗った人たちだ。

 ほかのボートも俺たちのボート同様転覆したのだろう。

 「もう救助が来たのか」

 などと思っていたら、木製の手漕ぎ船は中州から離れ始めた。

 「おーい! 待ってくれー! まだここに生存者がいるぞー!」

 と俺は叫んだが、船はこちらを無視してどんどん中州から離れて行ってしまう。

 どういうことだ、船の定員いっぱいまで載せたから、後でまた助けに来てくれるのだろうか? 不思議に思いながら周りを見渡すと、あたりの風景がおかしいことに気づいた。まず川幅が広すぎる。川の向こう側の岸が見えない。反対側を見ても岸が見えない。こんなに大きな川じゃなかったはずだ。こんなに大きな川でラフティングなんてできるはずがない。しかも、周りは深い霧におおわれて幻想的な雰囲気だ。



 しばらくたったら、路線バスが川を渡ってきた。それを見て、TVで見たことがある水陸両用バスを思い出した。しかし、TVで見た水陸両用バスは普通のバスとはだいぶ違うデザインだった気がする。いま川を渡ってきているバスはどう見ても普通の路線バスにしか見えない。普通の路線バスにしか見えないが、実際に川を渡ってきているのだから、路線バスっぽいデザインの水陸両用バスなんだろうと俺は解釈した。



 バスは俺たちの前で停車した。運転手が

 「本日最終の中州発コノヨ行きです」

 とアナウンスした。

 「コノヨ」とはどういう字を書くのだろう? ラフティングをしに東京から来ただけの俺には、この辺の地名はわからない。コノヨとは地名かバス停名なのだろうと俺は解釈した。

 俺は倒れている若い女性と子連れの男性をゆすって起こした。

 起きた2人は不思議そうにバスを見て俺に質問したが、俺にも状況がよくわからないので答えようがない。とりあえず、このバスに乗ればどこか人のいるところまでは行けるはずだから、とりあえずバスに乗ろうということで話がまとまった。男性の子供がいくらゆすっても起きないので、俺と男性の2人で子供を抱え、4人でバスに乗り込んだ。



 ラフティングでは濡れるので、財布は預けてきてしまった。しかし、スイカやパスモなら濡れても大丈夫なので、とりあえず俺はスイカをポケットに入れておいた。ほかの人も同じようにしていた。なので、バス代が払えないということはなさそうだ。

 バスのシートに意識のない子供を寝かせて、俺たちは適当な席についた。子連れの男性は子供のすぐ隣の席についた。



 バスが走り始めると最初は濃い霧しか見えなかったが、次第に景色が見えるようになってきた。

 あるときは、林のそばを通った。林の木の枝には大量の首つり死体がぶら下がっていた。

 あるときは、周り一面、大量の生首が転がっていた。

 あるときは、首のないウジのわいた腐った死体がたくさん、うろうろと徘徊していた。

 あるときは、たくさんの女性の悲鳴が大音量で鼓膜を破らんばかりに鳴り響いていた。

 明らかに、バスはこの世ならぬ場所を走っていた。



 バスの運転手は時々「次は○○」とバス停名をアナウンスしていたが、聞いたことのないバス停名ばかりだった。どこだかわからないうえに、こんな異常な場所でおりたくはない。



 子連れの男性が、突然

 「タケル! どこ行った?」

 と叫んだ。

 子供が寝かされていたはずのシートから、子供の姿が消えていた。シートがぐっしょりと濡れている。

 男性は半狂乱でバス中を探し始めた。車窓から眺めた地獄絵図だけでも精神がおかしくなりそうなのに、自分の子供までも行方不明になったら半狂乱になるのも無理からぬことだ。俺たちも一緒に探したが、狭いバスのなかなのですぐに捜索は終わる。バスの中のどこにも子供はいなかった。

 男性は、運転手に話しかけた。

 「私の息子がいないのです。もしかしたらバスの窓から落ちたのかもしれません。どうすればよいでしょうか?」

 すると運転手は

 「お亡くなりになったのでしょう。お気の毒です」

 と答えた。

 それを聞いて男性は放心状態になり、近くのシートに倒れるように座り、呆けたように天井を見つめた。



 その後もバスは走り通り続けた。

 周りの景色も地獄絵図から少しずつ正常な景色に変化していった。

 あるとき、運転手が

 「次は○○」

 といった。

 俺が知っている地名だった。いつの間にか周りの景色も異常ではないごく普通の日常の風景に変わっていた。

 このままこの異常なバスに乗り続けるのは嫌だった俺は、次のバス停で降りようと思った。しかし、バスが渋滞で止まってしまった。俺は少しでも早く降りたかったので、無理やり非常用のドア開閉レバーを回してバスを強引に降りようとした。こちらの意図を察したのだろう。若い女性もレバーを回すのを手伝い始めた。男性は子供が消えたショックから立ち直れないのだろう。まだ放心状態のままうなだれている。

 こちらに気づいた運転手が、運転席を離れて、こちらに近づいてきた。

 「ちょっと、お客さん! どういうつもりですか? まさか持ち合わせがないから逃げようとしてるんじゃないでしょうね?」

 逃げようとしているのは事実だが、ちゃんとスイカは持っている。

 「お金はあるのですが、ちょっと緊急の要件で急いでいるのです」

 そう言ったら、運転手は怒りだした。

 「お金? そんな世俗のものなんて使えるわけないでしょう! お代は魂でいただくに決まっているでしょう!」

 「魂?」

 意表を突かれた俺の顔を見ながら、運転手は俺たちが持ち合わせがないから逃げようとしていると判断したようだ。そしてこんなことを言い出した。

 「私は今日おなかの調子が悪いので、これからトイレに行きます。お代を払わない客をそのまま見逃したら叱られてしまいますが、トイレに行っている最中に勝手に客が逃げてしまったのなら仕方がないので、叱られないでしょう。ちなみに、お客が代金を払わずに逃げた場合、代わりにお客の周りの人達から魂をいただくことになっています。私は10分ぐらいトイレに行ってますからね」

 そう言って、運転手はバスから出て行った。

 俺と女性はすぐに逃げだしたかったが、放心状態の男性を放っておくわけにもいかない。男性に声をかけながらゆすったが、男性は放心状態のままだ。目がうつろで、口を開け、よだれを垂らしている。男性を連れて逃げるのは無理だ。このままこの男性にかかわっていたら、自分たちが逃げることすらできなくなる。俺と女性はやむを得ず、男性を置いてバスから逃げ出した。



 俺と女性はバスを降りたらすぐに走り出した。少しでも早くあの得体のしれないバスから遠ざかりたかったのだ。

 走り始めて10分後ぐらいたったら、目の前の30メートルぐらい先で、大型トラックが歩道に突っ込み、通行人が吹っ飛ばされた。俺たちは現場に近づいてみた。周りにいた人たちが吹っ飛ばされた人を救助しようとこころみていたが、明らかに即死だ。頭が割れて脳がはみ出ている。トラックの運転手もフロントガラスをぶち抜いて吹っ飛んで、地面に倒れていた。シートベルトをしていなかったのだろう。運転手の首がおかしな角度に曲がっている。運転手も助からないだろう。

 俺と女性はその場を離れ、近くの駅を目指した。



 駅のホームで電車を待っていると、電車が来た。俺たちの目の前にいた人が、飛び込み自殺をはかった。電車は急ブレーキをかけたが、間に合わなかった。

 


 飛び込み自殺のせいで、ダイヤが大幅に遅れたため、俺と女性は駅の待合室で列車が動き始めるのを待つことにした。突然、日本刀を持った男が待合室に入ってきて、待合室にいる人たちを片っ端から殺し始めた。待合室はパニックとなった。待合室には入り口が2か所あり、俺と女性は日本刀男と反対側の入り口の近くに座っていたため、すぐに避難することができた。警察が駆け付け、日本刀男は警官に射殺された。待合室にいた人のうち6人が死亡した。駆け付けた警官達が話していた内容が断片的に聞こえた。それによると、日本刀男は覚せい剤を使っていたようだ。



 俺と女性は不思議なバスの運転手が言っていたことを思い出した。

 「お客が代金を払わずに逃げた場合、代わりにお客の周りの人達から魂をいただくことになっています」

 運転手はそう言っていた。

 俺たちの周りで人が死ぬのは、俺たちが逃げたせいではないのか?

 だとしたら、どうすればいい?

 俺は両親はすでに亡くなっているし、親しい親戚もいない。学生時代の友達はいたが、卒業後はほとんど連絡すらしていない。なので、俺は親しい人が死ぬ心配はなさそうだ。

 俺と違って、女性には友達や家族がいるそうで、家に帰ったら、周りの親しい人が死んでしまいそうで怖いと言っている。

 どうしようが相談した結果、とりあえず、俺と女性は俺のうちに行くことにした。女性としてはホテルに泊まりたいようだが、タスポやスイカしか持ってない状態では、ホテルには泊まれない。家に帰れば家族が死ぬかもしれないと思うと、帰るわけにもいかない。しぶしぶ女性は俺と一緒に俺の家を目指した。



 俺の家についた。家につくまで、事故、自殺、事件など21件に遭遇した。いずれも死者が出ている。



 家でTVを見ていたら、突然地震が起きた。かなり大きな揺れだ。TV番組がすぐにニュースに切り替わり、地震速報を流し始めた。それによると、このあたりにも津波が来るそうなので、高いところに避難するようにアナウンサーが言っていた。俺たちはすぐに非難した。

 しばらくたってからわかったことだが、この地震と津波で2000万人が死んだ。



 地震から2か月たった。その間も俺たちの周りでは、毎日たくさんの人が死んでいった。ある人は事故で、ある人は自殺で、ある人は殺されてといった具合だ。女性は家に帰ったら確実に家族や友人が死ぬから帰らないといい、俺の家に住みついている。

 TVを見ていたら、ニュース速報が流れた。北朝鮮が日本に宣戦布告したというのだ。すぐにTV番組はニュースに切り替わり、この戦争突入を報道しはじめた。



 戦争開始から3か月がたった。北朝鮮に味方する中国、ロシアと日本に味方するアメリカの介入により、戦争は泥沼化した。自衛官だけで4000万人が死亡した。他国の兵士や民間人の犠牲者も合わせればもっと死んでいるはずだ。



 戦争開始から半年後、イスラム過激派やヨーロッパの列強国が戦争に加わり、第3次世界大戦と呼ばれるようになった。そして、全世界で約2億人が死亡した。



 戦時報道統制が敷かれて、どこでどれくらいの人が死んでいるのかよくわからなくなってからしばらくたった。よくわからないが、俺たちの周りの人がたくさん死んでいることは間違いない。

 俺は、ふと、あの不思議なバスに乗った中州は三途の河の中州だったのではないかと思うようになった。きっと、中州から木製の船で渡っていった人たちはあの世へ旅立ったのだろう。そう考えるとしっくりくる。



 ある日、追い詰められた北朝鮮がすべての敵国に向けて、核ミサイルを発射したと報道された。その2分後、報復としてアメリカもすべての敵国に核ミサイルを発射したと報道された。さらに1分後、中国、ロシアもすべての敵国に核ミサイルを発射したと報道された。他の核保有国も報復攻撃をするだろう。

 俺があの時バスを降りなければ、こんなことにはならなかったのだろうか?

 あと数分で世界は滅亡する。


休日の早朝に目が覚めちゃって、変なテンションになって、「よし、小説をかこう!」っておもって、変なテンションのまま書いて投稿までしちゃったって感じです。プロットとか考えずに思いつくままに書いちゃってる駄文です。

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