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異世界最強のチートは強さじゃなくて創造力!  作者:
第1章 学園編(プロローグ)
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006 第5近衛騎士団


 バイスさんは抜いた剣でいきなり切りかかって・・・


 来る事はなく、その場で構えたまま動かなかった。

 恐らく、先手は私に譲ってくれるということだろう。ならば。という事で有り難く先手は撃たせてもらおう。

 なるべく、みんなが使ってたような初級魔法を使おう。


「ファイアーボール!!」

 引き金を引くと火の玉が飛び出す。

 が、バイスさんは避けようとしない。


 バイスさんはファイアーボールが当たる直前まで微動打にせず、持っていた剣でそれを切り裂いた。


 ・・・・・・


 えぇ〜〜〜〜っ!?


 魔法って切れるの!?

「サラ王女殿下、私の剣は魔力でコーティングする事で魔法を切ることが出来るのですよ。」

「それは・・・凄いですね。

 では、これならばどうでしょう?」


 私は切られるならば、切られた時にダメージを与えることができるライトニングスピアを選んだ。

 ジルさんもいるから喜んで貰えるかな?


 私は、引き金を引いた。

「なるほど、速度の早いアロー系ですか。

 無詠唱なのは驚きましたが、まだ切れる!」

 バイスさんがライトニングスピアを切った瞬間、爆発した。

 どうやら、無詠唱だったから爆発するライトニングスピアではなく威力は弱いが早いライトアローだと勘違いしたらしい。


 かなり上手くいったけど、まだ勝てては無いはずだ。

 爆発による土煙が晴れるとバイスさんは片膝をついていた。


「まさか・・・ライトニングスピア?」

「そうです。ジルさんの魔法を見て覚えました。」

「なるほど・・・

 少し、甘く見ていたようです。ですが、国王陛下から絶対に負けるなと言われてます故、勝たせて頂きます。」


 そういうとバイスさんは再び戦闘態勢に戻った。

 今度は、遊びではなく本気らしい。

 魔法剣を使う相手に対する勝利方法。近づかれたら終わりだ。

 

 しかし、一瞬で踏み込んで来たバイスさんの動きに私の身体は反応できなかった。

 バイスさんもかなり浅かったので私が避けると思ったのだろう。私の脚を擦るぐらいの所を振り切り、切り返した剣で私の首に寸止めをした。


 私は確かにチートな創造力を持っている。

 そのチート能力で作った魔法が何でも使える魔法銃も持っている。


 が、それは所詮持っているに過ぎなかった。

 実戦経験なんて平和期間にある日本で暮らしていた私が持っているはずが無い。

 

 でも、私が高度な魔法を使ったことでバイスさんの中で私の認識がお遊びのお姫様から決闘相手に変わったのだ。


 私は痛みと出血のショックで気を失った。

 私が完全に意識を手放す前に見た光景はバイスさんの剣によって骨に届くほど深くはないが確かに切られて血を流している左足とサッと表情を切り替えて私に謝り、私を抱えて走るバイスさんの顔だった。




「ここ・・・・は?」

 視界がまだぼやけているが、頭はやけにスッキリしている。

 どこか病院の様な所の個室の布団に寝かされているようだ。足には包帯が巻かれている。


 個室のドアが不意に開けられ、シスターさんの様な人が入ってきた。ここは、教会なのかもしれない。

「サラ様、気づかれましたか?」

「は、はい。あれからどうなってますか?」

「それは・・・申し訳ございません。

 この教会の治癒術師の魔法で傷は塞がっているのですが、再び歩くことができない可能性もあります。」

「・・・バイスさんは?」

「サラ様をここまでお運びになった後、王宮騎士団に連れていかれました。

 国王陛下がお怒りになられて、ライゲルト子爵家は爵位剥奪、バイス様は投獄されると聞いています。

 恐らく、今王宮で審問会が開かれていると思われます。」


 なんで?

 あれは故意にやった事じゃない。仮に私をどうにかするつもりなら、あの時首を斬っていれば良かったことだし、わざわざここまで運ぶ意味も分からない。


 つまり、バイスさんは悪くない。

 しかし、あの娘LOVEのお父さんなら本当にやりかねない。


「すみません!治療、ありがとうございました。私は王宮へ向かいます!

 肩を貸して頂けますか?」

「ですが、まだ安静に・・・」

「私のせいで、バイスさんやその家族が危険にさらされているのです!どうか、連れて行って下さい。」

「わかりました。でもサラ様、それが終ったらまた治療に帰ってきてください。」

「はい。約束します。」

「では、外に王宮騎士団の馬車がいるはずです。お急ぎください。」


 シスターさんに肩を支えて貰いながら外に出ると確かに王宮騎士団の馬車があった。

 しかし、私に対する目が普通じゃない。

 というのもまあ仕方が無い気がする。

 

 彼から見れば私は仲間をわがままに付き合わせた挙句、負けてそして、罰するという身勝手な行動をした王族。そして、そのわがままを言った張本人なのだから。


「私を・・・王宮まで連れていってください。」

「何故です?バイスに仕返しでもしに行くんですか?」

「違います!」

「では、何のために?」

「私は、バイスさんが悪くないことを知っています!ですから、今からバイスさんを助けに行きます。」

「何故、一介の騎士で子爵家の次男。つまり、跡取りではないバイスのためにそこまでするのですか?」

「バイスさんは私をここまで運んでくださったそうです。バイスさんが運んでくれなければ私はもっとひどい状況になっていたかもしれません。

 その、恩を返したい。それ以外の理由が必要ですか?」

「わかりました。姫様を王宮までお連れします。

 バイスを・・・お願いします。」


 

 よし。人心掌握完了!



 とか考えてないよ!本当にバイスさんを助けたいんだよ!



 王宮騎士に私が倒れてからの経過を聞く。が、大体はシスターさんに聞いていた通りだ。

 騎士さんの話だと、バイスさんのライゲルト子爵家は取り潰し、バイスさん自身は良くて投獄、最悪死罪だと言っていた。


 え〜〜っ!?

 シスターさんのやつ、噂じゃ無かったの!?


 まあ、しかし、今からやる事は変わらない。

 私が12歳までのサラ・リステインの記憶をフルに活用して考え出した策で、これからの私のためにもなり、バイスさんを救うことが出来る方法だ。


 私は騎士さんに肩を支えられて王宮の審問室に向かった。

 審問室は室と言うが、実際は体育館位広い。

 そこに多くの貴族やお偉方が集まって行われる。



「お父様!!」

「おお!サラ!お前を切った不届き者は今すぐ罰してやるからな。家は取り潰しす。バイスは投獄がいいか?死罪がいいか?お前の好きにしていいぞ?」


 お父さんは私が帰ってこれてよほど嬉しかったのか笑顔だが、周りの貴族や騎士の空気は悪い。

 だから、私は交渉を上手く進めるために1度お父さんをどん底に突き落とすことにした。

 

 だから、満面の笑みで。

「お父様、ありがとうございます。

 と、言うとお思いになりましたか?」

「へ?」


 お父さんは間の抜けた声をあげ、バイスさんを含む貴族達はえ?と言うように私の方を見た。


「第一に、ライゲルト子爵家は関係ありません。この件でライゲルト子爵家には手を出さないと私に誓ってください。」

「何を言う!」

「事実、ライゲルト子爵家は何もしていないでしょう。」

「そ、それは・・・

 わかった。それは誓おう。」


 よし。第一段階クリア。


「ライゲルト子爵家はお前が言うなら、手は出すまい。だが、バイスはお前がなんと言おうと許さんぞ!

 お前を切ったんだからな。」


 少しざわついていた会場が再び静まる。


「わかりました。お父様のご意見に背いてまでバイスさんを王宮騎士団に残せとは言いません。

 いま、ここで、バイスさんを王宮騎士団から外してください。」

「いいだろう。バイス・ライゲルトを王宮騎士団から除隊する。」


 会場から、所詮、王とあまり変わらないなと言うような視線が伝わってくる。

 そして、私を連れてきてくれて支えてくれている騎士さんが裏切ったなという目で見ている。

 しかし、私はそれのすべてを無視して続けた。


 今だ。

「私、リステイン王国第3王女、サラ・リステインは、ここに、第5近衛騎士団の設立を宣言します!」

 父、兄、姉2人に続く、5番目の近衛騎士団だ。すべて私の独断で動かすことが出来、王族直轄部隊としてそれなりの権限を有する。

「そして!第5近衛騎士団の団長、私の騎士となってくれる事を私はバイスさんに希望します。

 受けてくださいますか?」


 ざわつく会場。

 私が15歳になる前に近衛騎士団を設立した事や状況はともかく、自分を斬ってしまった若い1人の騎士を救う為に自分の騎士にまでしたこと。

 近衛騎士団を持つという事は王族として動くという事。

 つまり、今まで自由に遊んでいたサラ・リステインが政治に関与する事。

 恐らく、ざわつきの原因はこのどれかだろう。


 何故か、鼻をすする音がする。

 

 と思ったら、私の肩を支えてくれている騎士さんが泣いていた。

 そして、バイスさんも泣いていた。


「は」


 バイスさんが何かを言おうとした時、お父さんが遮った。


「ふん。サラ、近衛騎士団は最低でも10人いなければ成り立たない。

 つまり、お前がいまバイスを騎士にしようとしても無理だ。」


 どうやら、お父さんはどうしてもバイスさんを罰したいらしい。

 何人か階級の高い騎士が走って出ていったけど、何だろう?

 でも、今はそれどころじゃない。


 だが、周りの騎士や貴族の印象は既にお父さんより私の方が圧倒的に良い。

 ならば、力を貸してもらうだけだ。

 

 と言っても、貴族は騎士じゃないし、ここにいる騎士の殆どが階級の高い者かお父さんの近衛騎士団だ。

 10人は集まらない。


 すると


「私、ダイン・クリステンは!戦友バイスのために怪我をした脚の痛みをものともせず、バイスを慕い、自分の騎士にと仰って下さるサラ王女殿下に忠誠を捧げます!」

 私はすぐ隣から発せられた声に少し戸惑ったが、すぐに内容を理解し、お礼を言った。

 と言うか、ダインさんっていうんだ。初めて知ったよ。


「2人。さて、サラ。最低でもあと8人をどうやって集める気かな?」

 お父さんは勝ち誇った様な顔をしている。

 が、その表情はすぐに固くなる。


 廊下から大勢の走る音が近づいてきたからだ。

 音からして武装している。鎧の音だ。


 審問室内の近衛騎士団や騎士が一斉に剣を抜き、貴族や私、お父さんを守るように配置につく。


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