004 早くもキャラ設定崩壊!?
「えっと、そんなにまずい魔法でした?」
私の問にカレン先生(魔法の先生)は再起動したようだった。
「え、その、魔法自体は中級の上位魔法なのでまずいって事はないんですけど・・・」
カレン先生は少し悩んでから再び口を開いた。
「そのですね、そのレベルの魔法が無詠唱で使えるとなるともう宮廷魔法士レベルなんですが・・・」
あちゃー。初っ端からやらかしました。
「え、あの、昔から、ジルさんの魔法をみていたので、出来るのはこれだけなんです。」
「そうなんですか。」
カレンが何故か安心したように胸をなでおろす
なんとかごまかせたみたいだ。
ごまかせたよね?
うん。カレン先生はごまかせたようだ。
でも、周りの生徒からは明らかに不信の目を向けられている。
「それどころか、魔法についてほとんど知識が無いので教えていただけると助かります。」
「サラちゃん?それってどのくらい?」
「今まで習わなかったから、初めて習う子ぐらいかなぁー。」
私の告白にみんな目が点になっている。
しかし、嘘ではないのだから仕方が無い。
「サラさん、本当に何も知らないんですね?」
「え、はい。」
カレン先生の安堵の顔が少し強ばる。
「どうしたんですか?」
「な、なんで何も知らずにあんな魔法が無詠唱で簡単に使えるのよ〜!?」
お、遂にカレン先生の感情を押さえ込んでいた何かが耐えきれなくなって遂に爆発した。
「私なんて初級の攻撃魔法が使えるようになるのにめちゃくちゃ頑張って青春を棒に振ってここまで魔法ができるようになったのに〜!!」
「ちょっ!先生!泣かないでくださいよ!」
「だって!」
私は助けを求めでニーナちゃんを見た。
「サラちゃん。今のは流石に・・・」
「なんで!?」
「カレン先生が可愛そうです。」
ねぇ!?
私何もした覚えないんだけど!?
「私だって、私だって中級高位魔法を使うのでやっとなのに〜!」
中級高位魔法ってどれくらいなんだろう?
「ねぇ、ニーナちゃん。中級高位魔法ってどのくらい?」
「はぁ、本当に何も知らなかったんですね。さっきサラちゃんが使ったライトニングアローは中級高位魔法ですよ。」
「えっ!?」
「目の前で何も知らない人が自分がやっと手に入れた魔法を軽々と使ったらああなりますよ。」
ニーナちゃんにカレン先生を指さされて言葉が出なくなってしまった。
うん。今度からは節度を持って行動しよう。
「で、では、気を取り直して・・・
皆さん、別に今使ったものでも構いませんが、何でもいいので得意魔法を見せてください。」
ようやく泣き止んだカレン先生の指示で先程と同じ順番で得意魔法披露が始まった。
「ニーナちゃんの得意魔法は何?」
私は情報収集のためにニーナちゃんに聞いた。さっきと同じ失敗を繰り返さないために。
「私は氷属性かなぁ。これでも商会の娘だし、氷属性の魔法が使えると便利なんですよ。」
「へぇ〜。確かに、氷属性が使えれば便利そうですね。」
「やっぱり、得意魔法はその人の人柄が出るから面白いです。」
その人の人柄か。
私が攻撃魔法が得意魔法だと王女としてまずいかな。なら、回復魔法がベストだね。
「次は、サラさん。」
「はい。
カレン先生、どこか怪我してませんか?」
「え?怪我?
そういえば昨日包丁で指切っちゃったけど・・・
どうするの?」
私はカレン先生の手をとると指先の切り傷を見つけた。
「私の得意魔法はこれです。
ヒール!」
私は傷口に向かって魔法銃の引き金を引く。
「き、傷が!?」
「嘘だろ。」
「ありえない!!」
あれ、ま〜たやらかしたかな?
「サラさん、今のは?」
「か、回復魔法ですけど・・・」
「そんな〜!ありえない〜っ!!!」
「か、カレン先生!!」
遂にカレン先生が倒れてしまった。
という訳でカレン先生は保健室に連れていかれてしまったため、授業をする人がいなくなり、カレン先生の救護に来た先生に「自習」と宣言されて今に至る。
「サラちゃん、他にどんな魔法が使えるの!?」
「っていうか、サラちゃんって何者?」
「んー。サラってどっかで聞いた気がするんだよなぁー。」
あれ?王女だって知らなかった?
入学式・・・
そうですよね。聞いてないですよね。入学式の挨拶なんてそんなもんですよね。
「ニーナさんはさっきからサラさんと親しくされているようですけど、サラさんについて知ってますか?」
「え?皆さんわからないんですか?」
ニーナちゃんも私が王女だってみんなわかってるもんだと思ってたんだね。
「みなさん、入学式を覚えてないんですか?」
「入学式?」
「あっ!?」
「ん?わかったのか?」
「お前!入学式でサラさんだよ!?」
さっきから私の事をサラって呼んでた男子が急にさん付けになった。
なに、また1から説明しなきゃいけないの?
「誰だよ?俺知らないよ?」
多分、分かってないのはあの男子だけだ。
他は多分気が付いている。
「王女様だよ!」
「・・・・・ひぃっ!」
いや、ひぃっ!ってなんなのよ?
「王女様、どうか、どうかご無礼をお許しください!」
あの、なんでみんな頭下げてるんですか?
ほら、私がどうするか困ってたらニーナちゃんが隣で笑いを堪えてるじゃん!
「あの、本当に入学式でいったように普通に接して貰って大丈夫何ですけど・・・・」
ここからが長い。
と、思っていたがそんな事もなくかなり早かった。
「そっか、じゃあよろしく、サラ。
俺はロイドだ。将来の王宮騎士団長だからその時はお前も守ってやるよ。」
うわ〜。いきなりフレンドリーだなぁー。
まあ、嬉しいんだけど、みんなの顔が強ばってニーナちゃんが引いてるんですけど・・・
でも、都合がいいから取るべき行動は一つだ。
「はい。楽しみにしてますね。」
私は満面の笑みで答えた。
どこからか「天使だ」とか「惚れるわ」とか聞こえた気がするけど、多分幻覚でも見てるんだろう。
うん。
そこからはみんなとも打ち解け、ニーナちゃん、ロイド、最初に私に気がついたベル、もうひとりの男子ガイル、女子は貴族ふうの人3人組セリスさん、マリさん、フィアナさんとニーナちゃんの商人仲間のジャンヌちゃん、クリスちゃんと特に仲良くなった。
この後、みんなから色々魔法を見せてくれと頼まれて仕方なく友好のために魔法がある程度出来ることにした。
本当に仕方なくだよ!
みんなに尊敬の眼差しを向けられるのが嬉しかったとかそんな理由じゃないからね!
あれ、私、誰に言ってるんだろう。
自分かな?
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