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銀白の錬金魔術師  作者: 月と胡蝶
第二章 学園編
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勇者の足跡 その2ーリクトの視点ー

出発して約一時間歩き続けるとやっと目的地に到着。

この世界、交通の便が悪すぎる。

まあそれも俺が後々異世界の知識を活用して技術革新を起こす予定だ。

成功したら金がどんどん手に入るだろう。


目的地に到着したもののお目当ての危険指定と全然出会えない。

すでに両手にはお気に入りのM249軽機関銃を創り出して弾を装填済みにして待機中なのだが。

そしてこの軽機関銃を創り出しているときに気が付いたのは、さっきよりも創り出すのにかかる時間が長くなったということだ。

連続して何度も使うとだんだん時間がかかるようになるのではないかとも思ったが、おそらく質量が大きいものほど時間がかかるのだろう。

創り出す時に指定した場所がずっと淡く光り続けるという不気味な光景を想像しながらさらに探索する。


そうこうしていると草むらがガサガサと揺れてやっとお目当ての危険指定が現れた。

姿が完全に見え、こちらへ向かいに来ているのを確認した俺は迷うことなく両手のM249をぶっ放す。

この銃は地球にいたときからずっと撃ってみたかった銃だ。

残念なことに日本では銃火器をもってはいけないと法律で決まっていたためついぞ撃つことはなかったがもし解禁されていたら真っ先に手に取っていただろう。

爆音がして毎分500発で銃弾が射出される。

しかし、5秒ほど撃ち続けたので流石に殺せただろうと思いきや意外なことに無傷でその場に立っていた。

おそらく発砲音に驚いたために立ち止まっているのだろう、しかし今問題なのは相手が無傷であるというところだ。

相手の体の周りには半透明で薄い緑色の壁のようなものでおおわれているのがわかる。

後から調べたところによるとAランクの危険指定になってくると強い奴は生体障壁を作り出して身を守ることがあるらしい。

そして報酬が他より高かったのはこの生体障壁があったからだろう。

しかし、よく見てみるとその生体障壁も無傷ではなくむしろところどころひびが入ってもう少し攻撃すれば壊せるところまで破壊できている。


自分が使う武器がこの世界においてもそれなりに効果があることがわかり思わずニヤッとしてしまう。

その時にはすでに相手もひるみから回復してきたらしく再びこちらに向かって走り始めた。

しかし俺はもう怖がることなく次の作業に移行する。

右手の銃を宙に放り出して消した後、SMAWロケットランチャーを創造した。

地球では対戦車兵器として使われるほどの火力をもつ兵器でとても高価な代物だったが今となってはほぼ無制限に作ることができる。

照準を危険指定に合わせて引き金を引いた。

爆音が出て弾が発射された。

通常は照準を合わせるのに時間がかかるため戦車のような俊敏な動きができない対象に向かって使うものだが、今回は向こうから近づいてきており、視界内いっぱいに見えるため照準を正確に合わせる必要はない。

このように照準を合わせるのが大変で特に対人兵器として使うときに一発撃ちそこなうとリロードに時間がかかり命取りになるため今後もこのロケットランチャーを使う機会は少ないと思っている。


さすがに戦車用の武器にから身を守るほどの強度は持っていなかったようで一発で絶命した。

トラに似た姿だったのだが腹部に直系五十センチくらいの穴が開いている。


本によると顔さえ持っていけば討伐完了となるらしいので首を斬ることにする。

両手に持っていた武器を宙に放り出して切断用にDEWと呼ばれるレーザー兵器を創り出す。

これは手軽に穴をあけたり切断できるため便利なのだがまだ開発途上で有効な距離が極端に短い。

そのためナイフの代わりくらいにしか今のところ使うことはできない。


首を切って肩に担いだ。

体感では十キロくらいだが地球でも少し重いリュックサックなどは十キロを超えるためそこまで異常なものではない。

そのまま歩いてギルドに戻り換金してもらったあと宿を探した。

手ごろな宿が見つかったので休むことにする。


そこで初めて自分の服が学生服でないことに気が付いた。

ただ、この世界の住人が着ている服と地球の服はそう変わらないのでどちらにせよそう困ることはないだろう。

また、この世界には風呂があることがわかった。

中世の世界なんかだと風呂は一週間に一回のところもあると聞いていたから少し不安だったけれどこれで一安心だ。

そうして俺はドアをきちんと施錠し平和な夜を迎えた。

――俺の髪の毛がなぜか金色に変わっていたことはとりあえず保留にしておいた。



それから数日間、俺はトレーダーとして金を稼ぎまくった。

なんでもほかのトレーダーと比べてかなりの荒稼ぎをしていたようでそれなりに顔を覚えられるようになってきた。

そうして金を稼いだ俺は今度は入学先の学校を探すことにした。やはり異世界ものに学園はつきものだろう。


この前行った図書館に再び赴き王都周辺の学校を探し始めると意外にすぐにお目当ての情報が載っている本が見つかった。

学校と行ってもいくつかランクがわかれているらしく下の方のランクの学校は本当に環境が悪いらしい。

そして、どうせ行くなら上のランクだろうと考えた俺は最上位のランクの学校を探した。

王都での最上位ランクの学校は2つだけあるという。

1つが王立魔術学園、魔術師育成のために建てられた学校で魔術の才能がなければ勉強について行くどころか入学もできないらしい。

もう1つが王立錬金術学園、こっちは錬金術師育成のための学校で地球で言う理科系科目に特化した学校のようだ。

別に特段理系が得意なわけではないが数学は割と好きだったので錬金術学園への入学を目指すことにする。

下手に魔術学園に入ろうとして実は魔術の素質がありませんでしたなんて言われたら冗談ではないという理由もある。

同じ本に地図も載っていたのでそれを頼りに錬金術学園へ向かった。

幸いなことにもう受験シーズンらしく、入試は二か月先だとのこと。


それから後はとにかく勉強三昧だった。

地球でも入試を終えた直後だったのにまた受験勉強をするとは思いもよらなかった。

しかし、その甲斐もあってかなんとか合格。

しかもクラスの中で一番成績がいいためにトップという責任感のある役目につくことになると聞いて少しうれしくなった。

地球にいたときは将来警察官になろうと考えたこともあったためきちんとクラスのみんなを監督していこうと決意した。


一か月後の入学式の日、少し浮ついた気分で教室に着くと、いくつか隣の教室が妙に騒がしい。

周りに聞いてみると毎年一番下のクラスであるEクラスはとにかく騒がしく、授業もまともに聞かないような生徒が集まっているとのこと。

EクラスのEの字をとってEndクラスなどと呼ぶ者もいるんだそうだ。

その事実に憤慨した俺はそのうるさい奴らを注意しようと教室を飛び出した。

そのままE組の教室へ向かっていると突然騒がしい音が小さくなり始め、代わりにドサッっという音がちらほらと聞こえ始める。

まさか乱闘騒ぎにでもなっているのではないかと小走りで教室のドアを開けると教室内には倒れている生徒多数と座っている生徒2人、そして1人の生徒が立っており、俺が来たことに気が付いて意識がある三人はこちらを向いていた。

俺は今立っている生徒がほかの生徒を襲い、まだ意識があるもう2人も襲おうとしていると考えて糾弾をする。

座っている2人を襲うつもりはなかったようだが今倒れている生徒は襲って気絶させたらしい。


名前はワイバーというらしいが関係ない、追及して反省させようとする。

しかし正面から開き直って逆に反論してきた。

しかもほかのクラスの事にかかわるなとまで言ってこられてはこちらはもう何も言えない。

悔しさを胸に自分のクラスに戻った。

クラスに戻るとなぜか祝福される。

どうやら俺が教室を出ていってすぐに音が止んだため俺が騒いでいる生徒を止めたのだと思っているようだ。

なんだかうれしくなってワイバーに対する怒りや悔しさは少し心の中の他の場所へ追いやられることになった。

それに帰りにとても美しい生徒さんにも出会うことができてさらにうれしくなった。

銀白色の髪をもつ彼女はまるで月の女神のような美しさを持っていた。小説だとまさにヒロイン。

名前を聞くことはできなかったがこちらからは名前を教えてあげたのでいずれ来てくれると思う。なんていっても俺は主人公なんだし。


もちろん続きます。

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