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銀白の錬金魔術師  作者: 月と胡蝶
第二章 学園編
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閑話 入学証書の受け取りーとある女の視点ー

――ああ、そういえば今年の入学試験はだいぶ荒れたんだっけ。

今、錬金学園の受付にいる一人の女がやって来た二人組を見ながらそんなことを思い出していた。


~とある女の視点~

今年は学園創立史上初の出来事が起こったのよね。

名付けて、入学試験満点事件。命名私。

入学試験を受けに来た生徒の一人が何と全科目百点取っちゃったんだった。

普段の最高点は確か・・大体九十四、五点くらいだったはず。


そして今私の目の前にいるこの娘が史上初の全科目百点満点をとった逸材、フィア・ウィスター。

彼女についてはカンニングじゃないかなんて言う声も挙がったけど正直カンニングしても百点を取るなんてまず無理だ。

意地の悪~い先生による意地の悪~い問題なんてカンニングペーパーの作りようもない。

多分彼女は全部を覚えてるんだと思う。

でもそうすると、彼女が学園に来て学ぶ意味って何なんだろう?


「シルウィス・ワイバーですけど、入学許可証もらえますか?」


そう、この子も多分史上初の不思議な子。

八つの受験科目のうちの一つが完全に零点だったのにぎりぎりながらなんとか合格した曲者。

錬金史さえなければこの子もAクラスには必ず入れたろうに。


「では、受験票と交換になりますので受験票の提示をお願いします」


とりあえず、今の私の任務は彼らの人となりを探って上司に伝えること。

いくら逸材でも性格に難があったら正直余計面倒になってしまう。

まあ、それで辞めさせたりはしないけど対策くらいはとれるからね。


「はい」

「ありがとうございます。今確認するので少し待っていてくださいね」


う~ん、ワイバー君に限ってはただの勉強忘れしちゃった天才かもしれないわね。

普通の年だったらほぼ全教科が九十点台後半ていうのは異常なんだけど、今年はなんて言ったって満点の娘がいたんだし。

だんだんと年がたつにつれて子供も賢くなっていくのかね。

どのみち1年の最後にあるクラス分けテストでAクラスに移ることになるでしょう。


「確認が取れました。これがあなたの入学許可証です。合格おめでとうございます、ワイバー君」

「ありがとうございました」

「・・~~・・っ!」


うぐ!?今、ちょっと茶目っ気出してみようと笑顔でお祝い言っちゃったりしちゃったらなんかウィスターさんの方から殺気が来たんですけど!?

いや、そんなことないよね。気のせいだよね。うん。

次はウィスターさんか。

ワイバー君は見たところ性格に難はなかったからそう伝えておこうかな。

ウィスターさんには質問とかしちゃおうかな。


「はい」

「はい、確認しますね。ところで、ウィスターさんは実は試験の成績が満点だったんですけど、何か特別な勉強法とかしているんですか?」

「えっ、と、(あ、あのますた、どう答えれば)」


ん?


「(ああ、もう、とりあえず今は俺が応えるよ。宿に戻ったらコミュニケーションの練習だからな)」

「(すいません、ありがとうございます、ますた)」


何か、小声で話してるっぽいんだけど距離が近いから全部聞こえるのよね。

波乱を巻き起こした二人が一緒に入学許可証貰いに来たってだけでなんかありそうなものだけどますますきな臭い感じになって来た。


「えー、と、ウィスターは・・(ん?ああ、名前で呼べって?わかったよ)・・・えっと、フィアはちょっとばかし頭が良いんですよ。それで見たものは全部記憶することもできるみたいで」

「え!そうなんですか!」

「まあ、さすがに多用はできないんでここぞというときにしか使わないんですがね。あ、この話はオフレコで頼みますよ」

「なんとなくきな臭いんで適当にぼかしておきますよ」

「ありがとうございます」


いろいろときな臭いけどとりあえず二人が親密な関係だってのはわかったわ。

全部記憶できるとかも言わない方がいいかもね。

上司にも頭が良いだけって言っておこ。

ますた、っていうのもなんか気になるけども学園にいたらいずれわかるかもね。

どのみち今は聞かなかったことにしましょう。


「はい、確認できましたので入学許可証を渡します」

「ありがとうございます」


さっきから思ってたけどこの娘って本当にかわいい声ね。

鈴がなるみたいだし、顔も可愛いし。

これは学園の男どもが群がりそう。

ウィスター君、露払いしてあげるんだよ~




という女の心の声がシルイトに届いたかは定かではないが学園に入っても落ち着けそうにないことはなんとなく悟ったシルイトであった。



このキャラを今後再登場させる予定はありません。

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