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第八話 神秘の泉

「それどうしても言わないと……駄目、かな?」


 どことなく昏い空気を纏わせつつ、ミラは俺に向かってそう答えた。

 どうやらあまり触れられてほしくない事だったらしい。


 う~ん、そこまで神妙な顔で言われるとな。こっちも別にちょっと気になったぐらいでどうしても知りたいって話でもないし、所詮剣の俺がそれを知ってどうなるのか? て話でもあるしな。


『いや、言いたくないなら別にいいよ』


「……ありが、と」


 ちょっと空気が重たくなってしまった。

 まさかこんな感じになるとは思わなかったから戸惑う。


 で、ふと思い立ったのでミラに告げる。


『ミラ。俺を泉に浸けて貰っていいかな?』


 泉に? とミラが目を丸くさせて返事。


『そう。最初俺が進化したのはこの水があったからだし、もしかしたらまた進化出来るかもしれない』


 俺がそれを伝えると、得心が言ったように顎を引き、ミラが俺を抜いた。

 その間に俺は一応自分のステータスを確認する。



──────────

ステータス

種別:進化の剣

剣銘 :ロングソード

熟練度:1/10(61%)

耐久値:13/15

重量 :1.5kg

進化PT:30

直接属性

切:17打:10突:12魔:0

補助属性

火:0水:0土:0風:0

光:0闇:0雷:0氷:0

パッシブスキル

【ガイドLV1】【言語理解LV1】【念話LV1】【シンクロナイズLV1】

アクティブスキル

なし

称号

【異世界パートナー(付加中)】

──────────



 耐久値がちょっと減ってしまってるな……ゴブリンとの連戦が原因か。

 後は熟練度と進化PTが結構貯まってる。

 もうちょっとしたら何かがレベルアップできそうではあるけど……


 と、ひんやりとするこの感覚。ミラが俺を泉に浸してくれた。

 さて、これでどうなるかってところだけど……


――神秘の泉の水を確認。進化不可、条件を満たしておりません。


 駄目か……おかげで身体は綺麗になったけど、それぐらいだな。

 耐久値も回復してないとはな。本当に俺にとっては進化の為に必要な一つでしかないようだ。

 しかし条件とはなんなんだろうな。

 取り敢えずまたアナウンスに頼ってみたけど例の如く答えてはくれないしな。


 う~ん、これは早い段階でガイドのレベルは上げておいたほうがいいかもしれない。

 ポイントも50でいいわけだし、既に30PT貯まってるわけだしな。


 あと20PTぐらいならすぐな気もするし。


「どうだったかな?」


『あぁ、駄目だった。条件が足りないらしい』


「条件? 条件って?」


『それが俺にもよく判らなくてな……』


「そうなんだ。でも大丈夫だよ、きっといずれ何とかなるって」


 俺が気落ちしてると思ったのか、ミラが励ますように言ってくれる。

 基本的にはいい子なんだよな~この子。


 そしてミラは革製の水筒を取り出し、泉の水を補充する。

 俺と違ってミラは命ある人間だ。いくら異世界でも水は必須だしな。

 疲れが取れるというおまけ要素もあるわけだし。


 ……いや、そう考えたら水だけじゃ駄目じゃないか?

 ここがどこかイマイチまだ判ってないけど、土と岩で出来た洞窟だって言うのは理解できる。そうなると食料とか、どうするんだろ?


『ミラ。俺は特に気にする事でもないんだが、君は食べ物とかどうするんだ? 腹は当然減るだろ?』

 

「う~ん、そこなんだよね。どうしよっか?」


 洞窟の壁際に腰を落としミラが言った。

 いやいや何も考えてないのかよ!


『いや、随分と軽いが……大丈夫なのか?』


「大丈夫ではないよ……確かに何とかしないとね。どっちにしろここで黙ってるだけじゃ駄目だとは思う。見たところキノコどころか草すらここは生えてないしね」


 キノコとか草って……そういうところは割りと逞しいな。


『う~ん、その、変な話かと思うかもしれないが、ゴブリンは食べれたりしないのか?』


「あれみて食べたいと思う?」


 ……真顔で言われてしまった。

 でも確かに……流石にあれはな……人型ってのが更に忌避感を仰ぐ。


「ゴブリンだと魔晶は採れるんだけどそれでお腹は膨れないしね」


『魔晶?』


 聞き覚えのない名称に俺は心中で首を傾げる。


「うん。あぁそれも知らないんだね。魔物にはなんか心臓の代わりに魔核というのがあるんだけど、魔物は死ぬとその魔核が魔晶に変わるの。本来ならそれが売れたりするらしいのだけど……ここじゃあまり意味が無いかな」


 苦笑するミラ。なるほど、こんな洞窟の中で買い取ってくれる場所があるわけがないしって意味か。でもここを出てからなら意味があるかな。そもそも出れるのかって話だけど。


「それに魔晶を手に入れるにしてもあの場所じゃ厳しいし、なにより今僕保管しておけるものがないから」


 なるほど……確かに途中の道は穴から次々とゴブリンが湧いてくる以上、呑気に採取なんてしてる場合じゃないか。


 そして、ミラは袋やバッグの類を持ち合わせていない。

 何か手に入れた物を保管できるような、どうせならそんな便利なスキルでもあればいいんだけどな。でも残念ながらミラもそういったスキルは持ち合わせてないようだし、そもそもそんなスキルや魔法があるかも判らないしな。


『でも、最初に俺を手にした時に倒したゴブリンからならその魔晶は手に入れられるんじゃないのか?』


「う~んまぁそうだね。ゴブリンのは小さいし3つぐらいならなんとかなるかな。でもやっぱり食べ物かな……それに火、それがないとどうしようもないし、捌けるナイフなんかも欲しいかも」


『ナイフなら倒したゴブリンが持っていたし、それを拝借すればいいかもな。ボロボロだったが取り敢えず間に合わせるぐらいには使えるだろうし』


「確かにそうだね……じゃあ、やっぱりまた戻ろうか。泉の水も補充したし」


 言って立ち上がるミラ。

 

『もう大丈夫なのか? 疲れは?』

 

「泉の水のおかげで疲れも大分取れたよ」

  

 すると改めてミラは俺にステータスを教えてくれた。



──────────

ステータス

名前:ミラ

レベル:5/15

経験値:110/330

HP:32/47↑8

MP:41/41↑6

疲労:0%

状態:良好


力:22↑3

体力:27↑3

精神力:25↑3 

魔導力:24↑2

素早さ:30↑2 

器用さ:25↑3


攻撃力

切:40↑2打:32↑3突:38↑3魔:0

火:0水:0土:0風:0

光:0闇:0雷:0氷:0

防御力

切:21↑1打:23↑1突:19↑1魔:12↑1

火:5水:0土:0風:0

光:0闇:0雷:0氷:0 


パッシブスキル

【進化の剣の恩恵LVMAX】


アクティブスキル

【スキル共有LVMAX】


装備品

武器:ロングソード

防具:草臥れた革の胸当て

盾 :樫の円盾

──────────


 

 う~ん、なんとも平均的な上がり方。

 ただ上昇率が2とか3なのは高いのか低いのか……HPは8増えてその影響か残りHPも8増えてるんだな。


 それは普通にありがたいのかもしれない。


「うん! 疲労度も0だし元気元気! じゃあ戻ろっか」


 明るく声を上げるミラ。 

 なんかどう考えてもかなり悪い状況ではあると思うんだけど……。

 

 でも、気にしてないと言うよりは敢えて考えないようにしてるようなそんな感じにも見えてしまうな。


 まぁでも確かにここで黙っていても仕方がない。

 またゴブリンとも戦うことになるんだろうけど、上手く行けばそれでポイントが貯まってガイドのレベルも上げれるかもだしな――

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