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第七十四話 アロマスライムの能力

 細い道を進んでいく俺達。だが、それは間違いだった事がすぐにわかった。


 なぜなら少し進んだ先に巨大な岩が立ちふさがっていたから。つまり行き止まりだった。

 しかもそれだけではなく、その岩の上にゴブリンが、といってもやたらと筋骨隆々で図体のでかいゴブリンが二体、ミラを見下ろしていた。


 その両手には岩石。もう嫌な予感しかしない。


『ミラ、逃げるぞ!』

「う、うん!」


 ミラがくるりと踵を返して来た道を駆け足で戻りだす。

 だが、それとほぼ同時に背後で、ドスン! と重苦しい響き。


「キュピー!」

 

 奴らやっぱ岩石を投げて来やがった! あぶねぇ! 肩に乗ってたキュピも警告するように鳴いてくれてる。


 ドスンドスン! と続く轟音。ただ、射程はそうでもないのだろう。

 とにかく、岩の雨から抜け出したが、そこで待ち受けていたのが今度は矢の洗礼だった。


「あッ――」

「キュピ!?」

 

 矢がミラの腕を掠める。血が滲んでるな。

 だが、これまでも散々怪我は負ってるし、このぐらいなら外傷は大したことはない。


 ただ――


『おい、ミラ、身体の調子は大丈夫か? 毒とか受けてないか?』

「うん、大丈夫。少し掠っただけだし」


 いや、例え掠っただけでも毒が塗られてたら芳しくないのだが、この様子なら大丈夫そうだな。


 とにかく、ミラはダッシュでその場から離れ、分かれ道のもう片方側へ飛び込んだ。


 そこはちょっとした天然の屋根付きの四角い空洞になっていて、奥には扉が一つ見える。


 そしてその扉の前に二体のホブゴブリンの姿。槌持ちと斧持ちだ。


 油断は出来ないが、この組み合わせにも慣れたな。


『ミラ、もうこいつらぐらいは接近戦で挑んで魔法無しでやってみよう』

「うん、MPは温存したいものね」

「キュッ、キュッ♪」


 ミラが称号をゴブリンバスターに切り替えて視認されそうな位置まで移動する。

 ミラに気がついたホブゴブリンが、向こうから近づいてきて、斧や槌で攻撃を仕掛けてくるが、動きが遅い。

 ミラは危なげなくそれを避けながら、俺でダメージを与え続け――


――進化PTを8得ました。


――経験値を96得ました。


――進化PTを8得ました。


――経験値を96得ました。


 よし! スキルも使わず倒せたぞ。


『やったなミラ』

「うん! エッジのおかげで着実に強くなっていっているのが判るよ~」


 ニコニコといい笑顔でそんな事を言ってくる。

 何故か照れてしまうだろうが……。


「キュピ~?」

「うん、いいんだよキュピ。その魔晶も食べちゃってね」

「キュ~キュ~♪」


 いいの? いいの? と首を傾げるようなポーズを見せたキュピだったけど、ミラの許可を得て、ホブゴブリンの魔晶も取り込んだ。

 

 そして、キュピ~、と飛び込んできたキュピをミラが受け止める。


「ははっ、甘えん坊さんだねキュピは」


 そしてキュピの頭を撫でるミラだが、なんだろ? ちょっと様子が違うというか、キュピはそのまま、んしょ、んしょ、とミラの腕にまで移動した。


 確かそこはミラがさっき矢を受けた箇所だけど……。


「キュピ~」

「え? あれ? 何かすごく気持ちがいいよ。ひんやりとして、うわぁ~癒される~」


 ミラが恍惚な表情で言った。……なんだろう? 何故か妙なエロスを――いや! 何考えてるんだ! そうじゃない、俺はそうじゃないぞ……。


「キュ~」


 そして、暫くしてキュピが腕から離れたわけだが、うん?


「え? あれ? あ! 傷が治ってるよエッジ!」

『あ、あぁ、これは驚いたな』


 そう、キュピが触れていた場所の傷がすっかり消えていた。つまり治っていた。


 つまり、キュピには相手を治療できる力があったという事だ。

 いや、多分正確にはアロマスライムになったことで、そういったスキルを覚えたという事か?


 どちらにしても、これは今後の探索でかなり有効だろう。

 キュピはその後も、ミラの傷ついた箇所に重なり、次々と怪我を癒やしていく。

 その結果――


「凄い! HPも完全に回復したよ~キュピありがとう~」

「キュッ、キュッ♪」


 嬉しそうにキュピを抱きしめるミラ。喜ぶキュピ。

 それにしても、ここで回復役が出来たのはわりと嬉しい誤算だ。


 さて、HPも回復したし、次に! といいたいところだけど、実は密かに進化PTが100を超えていたりする。


 だから、そろそろ何かスキルを取得しておこうか? という話になった。


 そして相談の結果、塩漬けになっていたパッシブスキルのコンボか、アクティブスキルの覚悟の一撃のどちらかにしようと絞り込むことになった。


 一応覚えてない中では他にも、切断上昇、耐久値上昇、打撃上昇があったけど、打撃はすぐにはいらないから却下で、俺にとっての生命線とも言える耐久値上昇は魅力的だけど、そこまで劇的に変化があるとは思えないし、扉を抜けた先に強敵が待っているなら、攻撃力を上げるスキルの方が欲しい。


 切断上昇はそういった意味では候補に入っても良かったけど、即効性に疑問が残る。


 なので一撃の威力が高そうな覚悟の一撃か、手数が増えるコンボかに絞る事にしたのだが――


『……やっぱりコンボかな。覚悟の一撃は、何かリスクも高そうだし、それにこのポイントなら先ずコンボを手に入れてからでもすぐに溜まるだろう』

「僕としては耐久値上昇も取ってほしいところだけどね」

『その気持ちは嬉しいけど、今の姿になってから、かなり頑丈になったしな。今すぐでなくても大丈夫だろう』

「そっか、じゃあ、そのコンボで!」

「よし、決まりだな」

「キュピ~」


 そんなわけで久しぶりに例の声に呼びかける俺だが。


――パッシブスキル【コンボ】の取得には進化PTが100必要です。宜しいですか?


【現在の進化PT:114】


 あぁ、それで頼む。


――パッシブスキル【コンボ】を取得しました。ステータス欄に追加いたします。


 よし、これでまた戦闘での選択肢が増えたな! さぁ、小休止したら、扉を抜けて先へ向かうとするか――

これにて本年の作品の更新は全て終了!

後は書き溜め期間も少し頂いて進化の剣も更新頻度上げていきたいところです。

それでは皆様一年間応援頂きありがとうございました!またよろしければ来年もよろしくお願い致します。

良いお年を~m(_ _)m

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