表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/79

第三十二話 蔓延るゴブリン

ざくろ様より有り難いレビューを頂きました!

すごく嬉しいです本当にありがとうございます!

「やっと来たポン。気が気じゃなかったポン」


 悪うございましたねっと。で、上手く壁に小さな身を寄せてボックルがあの階段のあった空間を覗き見てたわけだけどな。


「うわ~本当にゴブリンがいっぱいだねぇ……」


 ミラがちょっと気持ち悪いような物を見る目で口にする。確かに、その場にはゴブリンがウジャウジャいた。


 よく見るとブラックウィドウと交戦中のもいるが、何体かのゴブリンの骸は確認できるものの、やられているのはブラックウィドウの方が圧倒的に多い状況だ。


 何せ数が違いすぎる、1匹のブラックウィドウに10体近くのゴブリンが群がって囲んでのフルボッコ状態だ。ゴブリンはゴブリンで仲間が多少犠牲になろうとお構いなしって感じだから相手からすればたまったもんじゃないだろう。


 それにしてもな、何体ぐらいいる? 50以上はいるよな? 流石にこれだけの数を全員なんて相手していられないな。


 とっとと階段上がってメインのゴブリンロードを倒したいところでもあるんだけど、でも同時に戦いながらでもミラのレベルを上げるか、俺の熟練度をMAXにしたいという気持ちもある。ドゴンもゴブリンロード相手するなら俺の熟練度をMAXにしておけと言っていたしな。


 でもなあ、やっぱそれでもこの数はないな。


 う~ん、問題は階段までのルートか。ただゴブリンが守りが最も厚いのもそのルートだったりするしな。


 さて、この状況を打破するには――


「とにかく、ここから先は任せるポン。おいらは一旦離れてるポン。でもミラとエッジの武運は祈ってるポン」


 そう言って、その場を去ろうとするボックルだけどな。


『ちょっと待てボックル』

「ポン!?」


 ピタリとボックルが立ち止まる。そしてそろりそろりと俺達を振り返ったので、すぐに念で言葉をつなげた。


『お前にちょっと頼みたい事がある』

「ぽ、ポン! 言っておくけどおいら腕はからっきしポン! 戦う術なんて持ち合わせていないポン! ゴブリンにも勝てる自信ないポン! 色男の腕は儚いポン!」


 どさくさに紛れて何いってんだこいつは。まあとにかく。


『別に戦えと言ってるんじゃないさ。だけどな、ボックルだってこのままゴブリンが増えたら迷惑だろ? だ・か・ら――』


 顔をひくつかせるボックル。きっと嫌な予感がして仕方ないんだろうが――


「ぽ、ポーーーーン! ポポンポーーーーン!」

「ギャギャ!」

「ギャギュギョ!」

「グギョッ! ギョギョーーーー!」

「ヒッ、ヒ~~~~~~ポーーーーン!」


「……う~ん、エッジも結構酷いことするよね」


 ゴブリンを引き連れて明後日の方向へ走り去っていくボックルを眺めながら、苦笑交じりにミラが言う。


『おいおい、あれはボックルがちゃんと納得してやってくれたんだぞ?』


 だから俺も改めてボックルが率先してやってるんだと強調した。

 まあ、このまま協力しなければ俺達は何も出来ないし、結果的に困るのはお前だろ? とか、ゴブリンからすればお前だって交配の対象だろ? とかちょっとだけ不安を煽ったりもしたけどね。


 とは言えボックルは中々いい仕事してくれた。おかげで半分ぐらいはボックルを追いかけていってくれたから、階段までの道のりは大分楽になったといえるだろう。あいつは脚が速いし、泉まで逃げ込めばゴブリンはそこまで追ってこないとも伝えているからな。


 で、残ったゴブリンだが、まあそれでもまだ20体以上いるんだけどな。


『さてミラ、判ってると思うけどゴブリン相手なら技はなしだ。燕返しも当然温存だぞ』

「勿論判ってるよエッジ。ゴブリンロードと戦う前にバテたら仕方ないもんね」


 そう、新しく覚えた燕返しはツインリザードヘッド相手にも使用したがかなり強力だ。

 技としては一旦攻撃した後、返しの刃で追撃するというもので、それ自体はミラも自分の力でやってのけたりもするんだが、スキルとして使用すると切れと威力が全く違う。


 返しの一撃を叩き込むまでも斬撃が速く、発動後もほぼ隙がないのが燕返しの利点だ。


 ただしこの技は使用すると1発で疲労度が5%上昇する。実際ミラも使用後にちょっとした疲れは感じていたようだしな。


 たかが5%と思えるかもしれないが、実際はされど5%だ。疲労度は50%超えると疲れとして身体に残り始めるらしいしな。


 当然疲労度は高くなればなるほど動きにも鈍りが見え始めることになる。だからゴブリン如きで大技を使用するわけにはいかないってわけだ。


「はぁあああぁああ!」

 

 階段まで最短のルートを確認し、称号もゴブリンキラーに変えてから、途中に立ちふさがるゴブリンをバッタバッタと切り伏せていく。

 本当に小柄な割にミラは勇敢だな。


 とは言え、ドゴンの話だと兵隊のゴブリンはレベル10ぐらいらしいけど、ミラのレベルが12、更に俺の熟練度も9とあってか、今、ミラの一撃に耐えられるゴブリンはいない。


 ボックルが囮になってくれたおかげで、囲まれる心配も減ってるしな。


――進化PTを1得ました。


――経験値を19得ました。


――進化PTを1得ました。


――経験値を12得ました。


――進化PTを1得ました。


――経験値を19得ました。


――進化PTを1得ました。


――経験値を6得ました。


――進化PTを1得ました。


――経験値を19得ました。


 低! 経験値と貰える進化PTひく!

 ゴブリン強くなってこれかよ!

 ……いや、むしろ強くなったからこれだけ貰えてるとも言えるのか。そうでなければ経験値が入るかどうかも普通は怪しいしな。


 でも貰える経験値の差が激しいな。まあこれは今までミラと狩りを続けた結果、ミラとのレベル差で変化してるんだなと判断してるけど


 実際ダッシュリザードでも貰える経験値に差はあった。そしてミラのレベルが上った後は大体貰える経験値も減ったしな。


 そして魔物にもやはり同じようにレベルがあるのはこれまでのボックルやドゴンとの話からも判断がつく。つまり魔物とて全員が同じレベルってわけではなく、だから倒す魔物によって例え同じ種類でも貰える経験値には差が出てくるってことだ。


 でもな、おかげで熟練度も殆ど上がらない。5.6体ゴブリンを倒してようやく1上がるってところか? これじゃあゴブリンだけでMAXまで上げるのは厳しそうだな。


「エッジ、階段上がるよ!」

『ああ、だけど階段にもゴブリンがいるし気をつけろよ。ゴブリンからのダメージが大したことなくても階段から落ちたら――』

「グギャ!」

「ギョフン!?」


 あ……ミラが俺を振ったことでビビったゴブリンが勝手に足を滑らせて階段落ちていきやがった……で、下に控えていたゴブリンの上に見事落下したな。


――進化PTを1得ました。


――経験値を6得ました。


――進化PTを1得ました。


――経験値を19得ました。


 こ、これでも経験値とか入るんだな。


『ま、まああんな風に思わぬ大怪我を負うことになるかもしれないから気をつけろよ』

「あ、うん、でも、もう階段上りきっちゃったけどね……」


 あ、はい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ