夢だって?夢の中でも冒険は出来るさ
「オラァああああああああ‼︎」
そう叫びながら目の前のオークをなぎ払う。
「ぶぎいいいいいいいい!」
そのままオークは倒れる。が、まだ戦いは終わらない。ゴブリンにスライム、スケルトン果てはゴーレムまでもがうじゃうじゃいる。おそらく、モンスター共の巣に入ってしまったのだろう。
「このままじゃ、キリがねぇな」
しかし、ここで引き下がるわけにはいかない。俺のすぐ後ろには子供を抱えた女性がいるからだ。
「大丈夫ですよ。お姉さん。もう少しの辛抱です」
「は、はい」
「それと、しゃがんでいてください。これで片がつきます」
そう言って、女性がしゃがむのを確認して構える。モンスター共を一撃で倒す構えを。
「喰らえ!大精霊の嘆き!」
俺を中心に周りが光で包まれていく。そして、剣を水平にしたままぐるりと一周した。すると、モンスター共が剣と同じ位置の所から真っ二つになった。一瞬の間。そして、バタバタとモンスター共が倒れる。
「もう大丈夫」
そう言って、女性の手を取る。
「あ、ありがとうございます。何とお礼をすればいいのやら」
「いやいや、そんなのいいですって」
「ですが…」
「気にしなくていいですよ」
「でも、それじゃ私の気が収まりません!」
うーむ、なかなか面倒くさい人だな。よし!絶対にやってくれないお願いをしよう。
「じゃあ、キスしてください」
「分かりました!」
なんの躊躇も無く返事しやがった。こいつ聞いてなかったのか?
「キスですよ、キス」
「はい?分かってますよ」
な、なんだと!分かっていて返事したのか!クソ!予想外の展開だ。もっと過激なのなら断るだろう。
「た、ただのキスじゃないですよ。ディープですよ、ディープ」
「はい、それ以外するつもりはありません」
何なんだこいつ。もしかして、ビッチなのか?こうなったらやってもらって終わろう。
「じゃあ、お願いします」
「はい!」
はぁ〜。人生初のキスが全く知らない好きでもない人なんて。しかも、この人全然可愛くないし、むしろブスだし。
そんなことを思っていたら、いきなり顔近づけてきやがった。
や、やめろやめてくれ!まだ心の準備出来てない・・・
「はぁっ!」
目を開けたら天井が見えた。どうやら先程の出来事は夢だったみたいだ。