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神 ヴィスコお父様目線

神様出てきます。

アーリーが来たか?っとポレマオがアーリーのバスケットを持って来た時嫌な予感がした。

通信用の魔方陣で家に連絡すると、彼女は真っ青な顔で帰ってきたらしい。

今は横にならせているらしい。

ポレマオの後ろには勇者が心配そうに私の事を見ていた。


「あま………時雨さんはもとの家族と何があったか聞いてないか?」


勇者の言葉に言葉を返したのは息子のイディオンだった。


「………聞きに行きますか………ディオプロセフ様に。」

「ディオプロセフ様?」

「彼女をアリアンロッドの体に入れたのはディオプロセフ様ですから。」


イディオンの言葉にその場にいた勇者とポレマオが頷いた。

勿論私もだ。







神殿の一番奥に彼は立っていた。


「やあ、皆!良く来たね!」


彼が神様なのだろうか?

姿も見れるし声も聞けている。

イディオンと同じぐらいの青年に見える。


「時雨ちゃんの事を聞きに来たんでしょ!でも、プライバシーって物があるんだよ………僕との約束守れるかな?」


そんな彼から突然押し潰されそうなほどの威圧感のある視線を向けられた。


「僕はね、時雨ちゃんに幸せになって欲しいんだよ。彼女の糞みたいな人生を素敵な物に変えたい。向こうの世界の神は人間にたいして本当に無頓着だから………彼女は僕の目のとどく所で幸せになって欲しいんだよ。」


神はニコッと笑顔を作った。


「彼女を幸せにしたいと思うなら聞いて。」


部屋の中に居る誰もがその場から動くことはしなかった。


「今よりも少しだけ昔、ある裕福な家に女の子が産まれた。名前は時雨、その頃はまだ良かった。時雨が物心がつく頃、彼女は持ち前の頭の良さでその家の最高権力者である祖父に気に入られた。彼女が一番可愛がられたのはこの頃だけだった。」


神の言葉に誰もが固唾を飲んだ。


「時雨は頭が良いから社交の場にも連れていかれた。大人達は笑えと彼女に言った………理解できない笑顔に彼女は上手く笑えなかった。父親はそれに腹を立て3日間彼女を部屋に閉じ込めた。゛お前が上手く笑えなかったから全てが台無しだ!゛って言ってね。その間彼女は水しかあたえられなかった。彼女は思った、自分が悪いからこんな目に会うんだってね。」


神は悲しそうな笑顔を作った。


「その、すぐ後に妹が家に来た。父親の愛人の子だった。誰からも愛される子になるために愛と名付けられた子だった。彼女は良く笑い要領が良かった。頭は良いとは言えない妹だった。妹が来たことによって時雨はさらに辛い目にあった。まず、自分の部屋を妹にとられた。時雨の部屋は庭のすみにある小さな小屋になったそこは使用人を昔住まわせていた小屋だった。彼女は自分で食事をつくり洗濯をして生活するようになった。母屋の人間は誰も近づかないから自分でするしかなかったのだ。使用人は時雨を心配することすら許されなかった。あと、護衛の男も妹にとられた。時雨には必要ないだろって!それから暫くして時雨は金目的で誘拐された。すぐに犯人は捕まったが時雨は怖い思いをした。その日のうちに時雨の事を可愛がっていた祖父がやって来た。」


神はため息を1つ吐くと続けた。


「時雨は喜んで祖父のもとへ向かった。時雨が近づくと祖父は時雨に平手打ちして怒鳴り付けた。゛この不良品が!ただでさえ役にたたないのに誘拐なんてされおって!女なんて傷がついたら利用価値がひとつもなくなってしまうだろうが!もし、万が一また同じような事がおきたら潔く死ね。゛ってね。時雨は床で転がりながら思った、この人は私の味方でも何でもないただのこの家の人間なんだ………ってね。」


酷い話の数々に全員の顔色が悪い。


「それが最後のきっかけで時雨は笑顔の作り方を完璧に忘れてしまった。その後時雨は親に護身術を習いたいと初めてお願いをした。誘拐事件があったから親はそれを許した。時雨は自分の身を守るために必死だった。はっきり言って時雨はよく誘拐されそうになったし変質者にも狙われる事が多かった。だからかな?護身術の域をこえて強くなっていった。剣術も体術も何でも習ったみたいだよ。それでも、父親や祖父にはよく殴られていたみたいだ。妹はそんな時雨を見て人形みたいだって笑った。時雨は妹の笑顔を見るたびに笑顔の必要性を見出だせなくなっていった。」


神はニコッと笑顔を作った。


「その日父親に庭に放り投げられた時雨は頭を打った。それからずっと頭が痛かったが痛い事になれていた時雨は逃げるように学校に行った。下駄箱に手紙が入っていた日だよ!ショウちゃん!放課後君に呼び出された時雨はたまに君を見ていた事を気付かれたんだって思った。」

「!」


その瞬間全員が勇者を見た!


「や、やっぱり雨宮さんは俺を見てたんだ!」

「恋愛的な意味じゃないけどね!」


勇者が真っ青になったのが誰から見ても明らかだった。


「時雨は女の子にキャーキャー言われている君を本の中の登場人物のように思って眺めていただけだよ!って言うか時雨は恋愛とか以前に家族愛すら解らない………信じられないかも知れない。ほっといても時雨はあの日死ぬ運命だった。父親に投げられて頭を打ったのが原因だ!運の良いことに勇者召喚に巻き込まれた事によって僕は彼女にかかわる事が出来るようになった。僕は彼女の笑顔がどうしても見たいんだよ。彼女の糞みたいな人生を見てしまったから特にね!どんな形でも彼女が幸せに笑ってくれるのを待ってるんだよ僕。彼女を笑顔に出来るかも知れないやつらがこうして集まってるんだから頑張ってよね!………じゃないと、僕が自力で彼女を幸せにするしかなくなる。僕はそれでも良いけどね!」


神はそれだけ言うとユラリと姿を消した。

さっきの青年は幻だった様に私達は茫然と彼が居た場所を見つめるのだった。

重い。

皆これから時雨ちゃんを甘やかそうと決めた事でしょう!

時雨ちゃんが強い理由、ちゃんとありました。

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