その後 END
終わりです。
私が愛子さんに階段から突き落とされて3日後、私は魔法局の正式な職員になった。
日々忙しく仕事をしていて気が付かなかったが、あれから愛子さんを見ていない………
そんなことより城の中は興味深い。
職員になった事で行ける場所も増えて楽しい。
仕事が無くても城の中の図書室に行く事が増えた。
そのせいかも知れないが、王子殿下に会う事も増えてしまっている気がした。
「おい、天使!おい、起きろ‼」
図書室でうとうとしていると良くそうやって起こされ、心配だって言って私の横に座る王子殿下。
その日も、例外ではなかった。
「お前は、今日がなんの日か解ってるのか?」
「………今日?私は仕事が急きょ休みで休日を楽しんでいるのですが?」
「!?おい、マジか?」
「はい………何かあるんですか?」
「………………ちょっと来い。」
王子殿下は私の右の手首を掴むと歩き出した。
連れていかれたのは大量のドレスの並んだ部屋だった。
「天使を着飾れ。」
「「「かしこまりました。」」」
3人のメイドさん達に拘束され、私は濃いナイトブルーのドレスを着せられ化粧にヘアーメイクまでされた。
すべての仕度が終ると、メイドさんの一人が王子殿下を呼びに行った。
「………綺麗だ。」
「あ………ありがとうございます。」
何だか恥ずかしくなっている私をよそに、王子殿下は私の手首をまた掴むと歩き出した。
次に連れていかれたのは、国王陛下の待つ謁見の間。
そこには、イライラした顔のお兄様とニコニコ笑顔のお父様。
その他にも私の知っている顔が並んでいました。
梨元先輩とかポレマオさんとかスキロフさん等々である。
………何事?
「おお!まさに天使!」
国王陛下の言葉とお兄様が私の手首を掴んでいる王子殿下の手をはたき落とすのは同時だった。
「我が妹に触らないでいただきたい!」
お兄様は私の手をひくと抱きしめ、王子殿下との距離をとった。
「天使は俺の婚約者になるんだ!それぐらい何だ!」
王子殿下の言葉が理解出来ずに首を傾げる。
「私は認めていないから、シグレは気にしなくて大丈夫だよ。」
お父様の声にいち早く答えたのは王子殿下だった。
「身辺整理が出来れば嫁にくれると言っただろ?」
「会わせてやっても………と言ったのです!」
「それでも、悪い話では無いだろ?王子の俺と一緒になれば一生幸せになれる。」
お父様はハハハハっと乾いた笑いを浮かべると言った。
「シグレの幸せはシグレが決めることです。無理やり婚約者になんてしようものなら、この国ごと滅ぼしますよ。」
魔王なみの黒い笑顔のお父様は私のもとに来ると言った。
「シグレは本当に好きな男と一緒になると良い。私は誰を選んでも反対はしないよ。」
お父様はふんわりと笑った。
するとお兄様は私から離れると、私に笑顔を向けてくれた。
「はい!俺はシグレの事が今でも好きです!俺を選んでほしいです!」
そう言って手を上げたのは梨元先輩だった。
「なら俺も!前に結婚を考えてくれるって言ったよな?俺がアーリーを幸せにしてやる。」
次に口を開いたのはポレマオさんだった。
それに続いたのはスキロフさんだった。
「自分は貴女の幸せのために何でもします。ですので私を選んでいただけないでしょうか?」
最後にお兄様が私の手をとると言った。
「シグレ、誰を選んでも僕も文句は言わない。だけど、僕もシグレが大好きなんだよ。こんな中で誰か1人なんて選べないかも知れないけど、僕を選んでほしいんだ。」
私は驚いて後ずさった。
それと同時に私に告白してきた皆が目の前に並んだ。
私はさらに後ずさった。
ど、どうしたら良いの?
私が困っていると後ろからポンと肩をつかまれた。
お父様だった。
「ハハハ、私も後20歳若ければ参戦するんだけどね!さあ、この中にシグレが一緒に居て幸せを感じる人は居るかい?」
私は皆を見渡して頭を下げた。
「皆さんごめんなさい。私は誰も選べません。」
「「「「「!?」」」」」
「私の好きな人はここには居ません。ごめんなさい。」
私の言葉に一番驚いていたのはお父様だった。
お父様は正面に回り込むと言った。
「なら、シグレが好きな男は誰なんだい?言えないような相手なのかい?」
「言いたくないです。」
「何故?」
「………」
「シグレ、私では力になれないのかな?」
私は涙が溢れてお父様がよく見えなかった。
「だって。」
涙が瞳から流れ落ちると困った顔のお父様が見えて気持ちが溢れだした。
「………20歳若くなれなきゃ私には見込みが無いんでしょ?ならずっと娘で居させて下さい。娘なら側に居ても良いでしょ。」
私は小さな子供のように泣いてしまった。
いつの間にか横に立っていたスキロフさんがハンカチで私の涙をふいてくれて初めて解った。
目の前のお父様は真っ赤な顔でフリーズしていた。
「旦那様、お嬢様はこんなに勇気を出したのに何を固まっているのです?自分は知っているのですよ!旦那様が国を滅ぼす計画を立てていたのを。それは、お嬢様の幸せのためではないのですか?」
スキロフさんの物騒な言葉に国王陛下の顔色が青くなっていた。
「し、シグレは………こんなおじさんの私が好きだと言ってくれるのですか?」
私は頷いた。
「………」
お父様は私をゆっくりと抱きしめた。
「私はおじさんだよ。」
「お父様の………ヴィスコ様の側に居れるだけで幸せです。」
「………」
ヴィスコ様は私を強く抱きしめてくれた。
「幸せにするよ。」
「はい。」
私はヴィスコ様の背中に腕をまわした。
「し、シグレ!君が好きなのは父上なのかい?本気で?」
お兄様がオロオロしながら言った。
「はい。」
私の言葉にお兄様は項垂れた。
ポレマオさんはニヤニヤしながらヴィスコ様を見ていた。
王子殿下と梨元先輩は呆然としている。
「お嬢様の気持ちが旦那様にあるなら、我々は何も言えないでしょう?この中で一番腕が立つのも旦那様ですし、国を滅ぼされるのは国王陛下も本意ではないでしょう?」
スキロフさんの言葉に国王陛下はこくこくと頷いた。
スキロフさんはニッコリ笑顔で言った。
「自分はお嬢様の幸せのためなら何でもしますので、お嬢様の幸せに旦那様が必要なら仕方がないです。あなた方の幸せを側で支えさせて下さい。」
スキロフさんの優しい笑顔に私も笑顔を返した。
「お嬢様が笑顔ならそれで良い。」
スキロフさんはそう言うと私の頭を軽く撫でてヴィスコ様に笑顔で言った。
「お嬢様を泣かせたらどんなことをしても噛み殺します。」
「解っているよ。スキロフは本当に最高の番犬だね。これからもよろしく。」
「勿論です旦那様。」
ヴィスコ様はゆっくり私から離れるとニコニコと笑ってくれた。
「誰でもない父上が相手なら諦めるほかないじゃないですか………シグレ、幸せにしてもらうんだよ。」
「はいお兄様。」
「父上、僕が居る時はイチャイチャしないで下さい。泣きます。」
「う、うん。ごめんよ。」
お兄様は苦笑いを浮かべていた。
私は嬉しくてお兄様に抱きついた。
「ありがとうございます。お兄様大好きです。」
「僕もだよ。父上に飽きたらすぐに僕に言うんだよ。」
「飽きたりしませんよ。」
「それは残念。」
お兄様はクスクスと笑った。
私もつられてクスクス笑ったのだった。
今思えば、ヴィスコ様には最初から笑顔を向けたいと思っていた気がすると私は思っていた。
私のポンコツな表情筋もお父様の前では頑張っていたと思う。
誰よりも側に居てほしい人。
誰よりも幸せになってほしい人。
誰よりも幸せにしてくれる人。
私は勇者召喚に巻き込まれて死んだけど、この別の世界に来れてよかった。
これからは自分のために幸せになります‼
END
終りました‼
途中何だかスランプで更新が滞ってしまいすみません。
お父様とのイチャイチャ話書いた方が良いですか?
書くなら15禁です。
………いや、少し考えます。
今まで読んでくださってありがとうございます‼




