女子トーク
仕事のストレスで頭が動かなくなってました。
「で?その男はどういう男なの?」
ナルさんの直球を目の前に私は口をつぐんだ。
「ナル、聞かないって言ったでしょ!」
「名前は聞かないって言ったの!どんな男か気になるじゃん‼」
ナルさんとケーシーさんは本当に仲良しみたいで気がねなく話している。
「そ、その、その人と一緒だと落ち着くんです。」
「「落ち着く?」」
「あ、はい、側に居れるだけで幸せなんです。こんな気持ちはじめてで………だから、言えない。」
ナルさんとケーシーさんは一つため息をつくと私を挟むようにして抱きしめてくれた。
「時雨ちゃんが本気なら誰も断ったりしないよ!そんな弱気でどうすんの?僕応援するよ?」
突然の小さな男の子の声に私達が振り替えるとそこには、空色の髪に海色の瞳の少年がナルさんのベッドに座っていた。
あからさまにケーシーさんが私をかばってどこから出したか解らないナイフを構えた。
少年は両手を上げてニコッと笑って見せた。
「ディオ君。」
「シグレ様、知っているのですか?」
ケーシーさんからピリピリしたオーラが出ている。
「神様のディオ君です。」
ケーシーさんは私の顔をバッと見るとナイフを下ろしてディオ君に土下座しようとしはじめた。
「ケーシーちゃん、大丈夫だよ。僕の大好きな時雨ちゃんを守ろうとしてくれてありがとうね!」
ディオ君はベッドから飛び下りると私の所まで来て私に抱きついた。
「時雨ちゃんが幸せなら僕は応援するよ‼相手があの人であってもね!」
どうやらディオ君は私の好きな人が解っているようだ。
「ディオ君はどうして子供の格好してるの?」
「神殿の中は力があるからあの格好だよ!今は力をあまり使わないように省エネモードだから子供の格好してるよ。」
ディオ君はニコニコ笑って離れるとパチンと指をならした。
すると、ナルさんのベッドの上にお菓子等々が現れた。
「神殿のお供え物で悪いけど食べて食べて‼」
どうやらディオ君は女子トークにまざる気らしい。
「………じゃあ遠慮なく。」
ナルさんはディオ君がまざるのを許したようだ。
ナルさんの言葉にディオ君はどこからかホークを取り出して私たちに渡して言った。
「うっま!どこのケーキだろ?」
「それ、裏通りの西側にあるユックカットってお店だよ‼飲み屋にしか見えないけどケーキって言うと、いかついおっちゃんがスキップして出してくれるよ!美味しいよね~‼こっちもオススメだよ。」
「本当だ!シグレ様アーン!」
ケーシーさんに促されるまま口を開くとふわふわのチーズケーキが口の中で溶けていった。
「美味しいです。」
「良かった~‼時雨ちゃんに喜んでもらえて僕も幸せだよ‼」
美味しいお菓子にほだされて私達はディオ君を受け入れた。
女子トークで解った事は、ナルさんはポレマオさんが好きらしい。
それにケーシーさんはスキロフさんを弟のように思ってる。
それと、ディオ君は私の味方だと言うこと。
私はナルさんとケーシーさんに好きな人の事は全然話さなかったけど許してもらえた。
ディオ君は私の腕にしがみついたままニコニコしながら私達の話を聞いてくれて、ついつい話すぎてしまった気がした。
見れば辺りは夕焼けに染まっていて女子トークはお開きになった。
「またやろうね!」
ナルさんの言葉に頷くと私とケーシーさんは家路に急いだ。
ディオ君は姿を消したけど、腕にはまだ感触があるからきっとまだ腕にしがみついて居ると思う。
「スキロフは今頃迎えに行こうか迷ってると思うな~‼」
「心配性?」
「フフフ、イディオン様ならもう痺れを切らして迎えに来ようとしてるね。」
ケーシーさんの笑顔に思わずつられて笑顔を返した。
その時三百メートルぐらい先にお兄様の姿が見えた。
それと同時に今まで腕にしがみついていた気配が離れるのが解った。
「ディオ君?」
頭の中にディオ君の声が響いた。
『僕は時雨ちゃんの味方だからね。』
私は気配が離れた方に笑顔を向けて言った。
「ディオ君ありがとう。」
『あのね、時雨ちゃんに言っとこうと思ってた話があるんだ。君の前の家族なんだけど、父親が自殺したよ。君を殺した事が小心者の父親には絶えられなかったみたい。母親はそのせいで狂って病院送り、妹は君が嫁ぐハズだったチビでデブでハゲ散らかした性格の悪いド変態が引き取ったみたいだよ。そして、君を一番苦しめていたじいさんは父親が残した遺書のせいで、マスコミに追い回されて色々な悪いことがバレて刑務所。その刑務所でストレスから呆気なく死んだよ。………時雨ちゃん!あんな糞みたいな家族の事は早く忘れて、早く一番大好きな人と幸せになってね。』
私はその言葉に返事は返さなかった。
前の家族の事は本当にどうでもよくて心に引っ掛かりもしなかった。
私にもあの家族の血が流れているからかも知れない。
薄情な自分を客観的に見ているもう一人の自分が居るみたいで私は何だか怖くなった。
「シグレ、ケーシー良かった無事だね。迎えに来たよ。」
お兄様は私に手を広げて見せた。
私は躊躇わずに、そのままお兄様に抱きついた。
私が不安になっているのが解るのか?と疑いたくなるほどタイムリーにお兄様は私を抱きしめてくれた。
いや、それよりは、最近の私が誰にでもよく抱きつくようになった気がする。
誰かとくっついている事がこんなにも安らぐことだと知ってしまったからだと思う。
「シグレ、楽しかったかい?」
「はい、お兄様。」
私は楽しかった時間を思い出して笑顔をつくった。
お兄様はそんな私をぎゅうぎゅう抱きしめてくれた。
私は嬉しくて気がつかなかった。
そんな私達を鋭い目付きで睨み付けている人物が居ると言う事にその時の私は気がつかなかった………
そろそろクライマックスかな?




