デート
風邪引いた‼
「おはようシグレ。」
目が覚めて最初に視界に入ったのはお父様だった。
お父様の左側にはいつも通りにスキロフさんがいた。
寝ぼけた頭でお父様と視線を合わせてゆっくりと微笑むとお父様に抱き締められた。
「ああ、私の可愛い天使。」
お兄様にこの前同じことを言われましたよ。
私はただただお父様にしがみついた。
「今日のドレスは私が選んでも良いかな?アーリーはそう言う事を私にはさせてくれなかったんだよ!イディオンには何度も頼んでいたみたいだけどね。」
私はコクリと頷いてお父様の手を引いてウォークインクローゼットに案内した。
お父様はあーでもないこーでもないと悩みに悩んだ結果お父様の髪の毛の色に似たモスグリーンのドレスを選んでくれた。
「………嬉しくてその色にしてしまったけど大丈夫かな?」
「………お父様の髪の毛と似た色………嬉しいです。」
私はまた、笑顔を作っていた。
「私も嬉しいよ!イディオンはアーリーに気に入られていてドレスを選んだり手を繋いでデートしたり仲良しで私はよく仲間外れにされて悲しかったな~!アーリーはイディオンと結婚したかったみたいだよ!」
「結婚?兄妹なのに?」
「イディオンとアーリーは血が繋がって無いんだよ!実を言うと私とアーリーもね。」
「へ?」
「詳しく聞きたいかい?朝食食べながらゆっくり話そうか?下で待っているよ。」
お父様はそう言うと部屋を出ていった。
「アーリーは私の家で使用人をしていたアリアロッサって下級貴族のメイドの子供なんだよ。旦那様は私の親友でポレマオとは違う騎士団の団長だったロッシーと言う男だった。私はその頃仕事ばかりしていて妻に愛想つかされていてね!アリアロッサがロッシーの愚痴を言いに私の所に来るのを浮気しているとさんざん疑われて別れる事になった。イディオンは私の一人息子だから跡継ぎになるために私の手元に残ってもらえたんだ。それから暫くしてアリアロッサはアーリーを産んだ!私とイディオンはよくアーリーに会いに行ったよ!イディオンはアーリーに凄く優しくてね!仲良しだった。」
お父様は食後のお茶を飲みながらゆっくりと話してくれた。
「イディオンは僕に似て魔法が使えるようになると直ぐに魔法にはまりメキメキ魔法を覚えて最年少で魔法局に入った。11歳だったかな?アーリーが6歳ぐらいの時だよ。だからイディオンは僕と一緒に居ることが増えたんだ。それから直ぐにアーリーの両親が死んだ、殺人だった。ロッシーを逆恨みした男だった。アーリーだけが生き残ったって聞いて私は呆然としたよ。ロッシーは親友だったしアリアロッサは家に使えていてくれた人だ。アーリーが心配なのに何をしたら良いかが解らなかったんだ。」
お父様は紅茶を一口飲んで苦笑いを浮かべた。
「そしたらイディオンが言ったんだ゛アリアンロッドは僕の妹です。父上違いますか?゛ってね!私は直ぐにアーリーを迎えに行ったよ。イディオンも勿論一緒にね。アーリーは私達を見たら凄く安心したみたいだった。イディオンに抱きついて離れなくてね!いつの間にか私には見向きもしないでイディオンにベッタリで………可愛い娘が出来たのに切なかったよ。そして君だ!私は君が愛しくてたまらない。アーリーよりも私にかまってくれるからかな?なんてね!シグレ、幸せになってね。私に出来ることは何でもするから………可愛い私の天使。」
私は気がついたらお父様に抱きついていた。
お父様は私を優しく抱きしめ返してくれた。
それが嬉しくて私はさらに抱きしめていた手に力を込めた。
「父上、シグレを離して下さい。」
「イディオン!魔法局に行ったんじゃなかったかな?」
「シグレを連れていこうと……シグレ今日は父上の髪の毛色のドレスなの?」
「お父様が選んでくれました!」
「………明日は僕が選ぶよ。」
「大丈夫です!スキロフさんに頼むので。」
私はお父様に抱きついたまま言った。
「お父様は特別です!」
私の言葉にお父様はとろけるような笑顔を作ってくれた。
私もつられて笑顔をむけた。
「いつの間に父上とそんなに仲良くなったんだい?」
「………最初から仲良しだった気がします。」
「嬉しな~!」
お父様の嬉しそうな顔にホンワカした気持ちになった。
お父様はニコニコしながら言った。
「シグレ!今日私は仕事お休みだからデートしようか?」
「折角のお休みを私に使ってしまって良いんですか?」
「若い女性とデートなんてこの先することも無いだろうから出来たら嬉しいよ。」
「私で良ければ何時でもお父様とデートしたいです。」
「嬉しいよ。じゃあ二人で出掛けてくるよ。イディオン、魔法局は頼んだよ。」
お兄様は口元をヒクヒクさせていった。
「僕もまだシグレとデートして無いのに父上………」
「イディオンの分までシグレを甘やかしてくるね。」
「初めて父上に殺意を抱きました。」
「ははは!シグレじゃあ行こうか?」
お父様の言葉にお兄様が不満そうに言った。
「シグレは勉強が楽しいのだから勉強の邪魔をしたら駄目です!」
「………そう………じゃあ今日は私が魔法を教えるよ。」
「良いんですか?嬉しい。」
私が笑顔を作るとお父様にフンワリと抱きしめられた。
お父様の優しさに癒されていく気がした。
お父様は実践的な魔法を沢山教えてくれて驚いた。
「お父様は私が攻撃魔法を覚えるのは嫌じゃないですか?」
「嫌じゃないよ。むしろシグレは身を守る術を沢山知っておいた方が良い。君が住んでいた世界よりこの世界は死にやすいからね。シグレが難なく生きていくのに必要なのは攻撃魔法だと思ってるよ。それにシグレは攻撃魔法の方が面白いんじゃないかな?」
「………はい。」
「自分で自分を守りたいからシグレは強くなったみたいだからね。シグレが楽しいなら私は何でも教えてあげるよ。」
「………お父様は私の全てが解って居るのですか?」
「それはどうかな?でも、解りたいと思ってるよ。さあ、そろそろデートしようか?もっとシグレの事を教えて欲しい。」
「じゃあお父様のことも教えて下さい。」
「勿論。………デートだしお父様は止めようか?ヴィスコだよ。」
「………ヴィスコ様。」
「うん。シグレ、今日はヨロシク。」
こうして私とヴィスコ様はデートに出掛けることになった。
ヴィスコ様が最初に連れていってくれたのは森の中にある花畑だった。
「綺麗。」
「シグレにはこの世界の綺麗な物を全て見せてあげたいな!」
「ヴィスコ様は私の嬉しい事まで解っちゃうんですか?」
「フフフ、実はシグレと一緒に行きたかった私の好きな場所なんだよ。シグレも気に入ってくれたなら嬉しいな!」
私は嬉しくなってヴィスコ様の腕にしがみついた。
「嬉しいね。次はこの近くの滝を見に行こう。」
「はい。」
ヴィスコ様の連れていってくれる場所は前の世界では行くすべの無い場所ばかりで私はニコニコが止まらなかった。
「沢山笑えるようになったね。」
ヴィスコ様がポツリと呟いた。
「シグレの回りの沢山の人間がシグレが沢山笑えるようにって優しくしてくれたからかな?」
「ヴィスコ様のお陰です!ヴィスコ様が笑顔を作る体操を教えてくれたから私の表情筋が動くようになったんです。ありがとうございます!」
「そうなら嬉しいな………幸せになってねシグレ。」
「もう、沢山幸せですヴィスコ様。」
ヴィスコ様は本当にとろけそうな笑顔を作ってくれた。
ヴィスコ様の笑顔に私は癒されていくのを感じてゆっくりと微笑んだ。
「………今の笑顔はとびきり可愛かったよ。」
ヴィスコ様は照れたように少しだけ頬を染めた。
私はなんだか恥ずかしくなって赤面してしまったのは許してほしい。
リアルで………じ、事故ってしまった………( ノД`)…




