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18/26

休日

その日の朝、私を起こしてくれたのはケーシーさんだった。


「おはようシグレちゃん!今日は私がドレスを選ぶね!」

「………スキロフさんは?」

「?スキロフ?今日はお休みだよ!」


スキロフさんがお休み。

私は、いつもと違う朝に戸惑ってしまった。

何時もと違う事にシュンとしてしまった私にケーシーさんがニコニコ笑って言った。


「スキロフはシグレちゃんにとっても気に入られてムカつく~。」

「へ?あの………ケーシーさんも大好きです。」

「ありがとう。スキロフは今日何時もみたいに魚取りに行ってると思うから見に行く?場所教えるよ。」


ケーシーさんはクローゼットから動きやすい淡い水色の襟の付いた白いワンピースを出してくれ、襟と似た色の日除けのポンチョも出してくれた。

私は、それを着て朝食をとるために自分の部屋を出たのだった。






勉強の時間が終わって自由時間になると私は、ケーシーさんに教えてもらった場所をもらった地図で確認しながら来たが森に入って暫くして意味がなくなった。

ケーシーさん、獣道すぎて解りません。

私は、迷子からの遭難の危機を感じていた。

ケーシーさんは午後も仕事があるからと一緒には来れなかった。

だんだんマイナス思考になってきてスキロフさんのプライベート時間を邪魔して良いのだろうか?と根本的な事に行きつき消えてしまいたくなった。


「お姉さん何してるの?」


突然声をかけられ肩が飛び上がるほど驚いた。

後ろを振り返ると小さな狐が二足歩行で私のスカートを引っ張っていた。


「あ、あの、す、スキロフさん………」

「兄ちゃんの知り合い?」

「に、兄ちゃん?」

「スキロフ兄ちゃんならこっちだよ!」


狐さんはそう言うとポンっと音を立てて小さな男の子の姿になった。

狐耳に尻尾がはえていて獣人さんなんだと解った。

狐さんは私の手をひいてスキロフさんのもとへ案内してくれた。

狐さんの案内してくれた場所は滝の落ちる崖の下だった。

滝壺から少しだけ離れた川に数人の獣人さんが居てそのなかにスキロフさんの姿もあった。

さっきまで迷子だったせいか、スキロフさんの姿にホッとしてしまった。


「兄ちゃ~ん!」


突然狐さんがそう叫んで私は、また驚いてしまった。

獣人さん達が一斉に振り返って私は、ビクッとしてしまった。

殺気の様なものを感じて逃げ出したくなり私は思わず後ずさった。


「シグレ?なにやってる?」


スキロフさんが小走りに私の所に来てくれたが、上半身裸なスキロフさんに思わず視線をそらした。


「ケーシーさんに聞いて………プライベート時間なのにお邪魔して………ごめんなさい。」

「………そんな視界の悪い格好で、ここまで来るのは大変だっただろ?大丈夫か?」


私は何時ものようにポンチョに付いたフードをかぶって居たせいでスキロフさんに心配されてしまったようだ。


「大丈夫です。いや、大丈夫じゃなくて迷子になった所を彼が助けてくれました。」


私はいまだに手を繋いでいる狐さんを見て言った。


「ザック、うちの天使を助けてくれたのか?ありがとな。」

「す、スキロフさん!人様の前で天使とか止めて下さい!」


私が慌てるとスキロフさんはフフっと笑った。

スキロフさんの笑顔は本当に落ち着く。

私はついそんな事を思った。


「スキロフ、彼女出来たのか?」

「紹介しろ!」

「そうだそうだ!お前だけずるいぞ!」

「黙れ、噛み殺すぞ!」


スキロフさんとさっきまで一緒に居た獣人さん達が私達の方にやって来てそういった。

スキロフさんは私を庇うようにして私の前にたった。


「スキロフ!天使とか寒いこと言うとかどうした?」


最後にやって来た獣人さんは赤毛の猫耳が付いていた。


「寒くない。」

「寒いだろ?」

「ケーシーが聞いたら口聞いてもらえなくなるぞ!」

「!な、何でだよ!」

「ケーシーはシグレのためだったらケットぐらいなら躊躇わずに殺せるほどにシグレに忠誠を誓っている。俺もだがな。」


スキロフさんの言葉から言って彼はケットと言う名前みたいだ。


「す、スキロフさん?あ、あの、喧嘩は駄目ですよ。………私…邪魔なら帰るので。」

「帰るなら送ってく。」

「へ?あのスキロフさんは、今日お休みなのだから私に気を使う必要は無いですよ。」

「使ってない。シグレが悪いやつに連れ拐われたら世界が滅ぶ。」

「お、大袈裟です。」

「いや、大袈裟じゃない。旦那様もイディオン様もケーシーも俺もそれぐらいする。」


た、大変な事をしてしまったのかも知れない。

私は安易にここに来たことを後悔した。


「お姉さん天使様だよね!」

「へ?」


突然狐さんことザック君が私を見上げてそう言った。


「だって、お姉さん手が真っ白だもん。」


私は驚いて繋いでいる手を見つめた。


「ザック君は賢いですね。」

「へへへ。」


私はしゃがんでザック君と目線を合わせるとフードを外した。


「シグレと申します。よろしくねザック君。」


ザック君は私の顔を見ると真っ赤になった。


「て、天使様~!」

「シグレ、安易にフードを外さない方が良い。」

「ザック君は私の恩人です。スキロフさんも側に居てくれてるし、拐われそうになるのもなれているので逃げられます。」

「そんなの慣れなくて良い。」

「そ、そうですね。慣れるような事じゃないですよね。」


私がシュンとするとスキロフさんはため息を付いた。


「シグレ、そんなの慣れなくて良い。これからは俺が守ってやる。」


スキロフさんの言葉はまるで告白のようだった。

少し恥ずかしいのに嬉しくもあって複雑だ。


「あ、ありがとうございます。」

「ああ。」


スキロフさんが私に気をとられているうちに獣人さん達に顔をのぞきこまれていてみんな驚いた顔になっていることに気がついて居なかった。。


「「「「天使様~!」」」」


私に近づこうとする獣人さん達にスキロフさんが拳を降り下ろした。

悶える獣人さんが可哀想で覚えたての治癒魔法をかけてあげると叫ばれた。


「「「「マジ天使!」」」」

「シグレ、ほっとけ。」

「でも、スキロフさんのお友達ですよね?」

「殺そうと思ってやらないと死なないやつらだからほっといて良い。」


私は思わず笑ってしまっていた。

ちゃんと手加減しているって事なのが微笑ましかった。


「………勿体無いからお前らは見るな!」


スキロフさんはそう言って私にフードを被せた。


「ケーシーが天使につかえてるって言ってたのは彼女の事か?」

「そうだ。」


赤毛のケットさんはニカッと笑うと言った。


「俺はケーシーの兄貴のケットだ!よろしくな天使!」

「!ケーシーさんのお兄さん!何時もケーシーさんにはお世話になってます!」

「ケットとはよろしくしなくて良い。ケットがケーシーに殺される。」

「な、何でだ!」

「ケーシーはシグレが大好きだからな、近づこうとしたら殺す。」

「最後の殺すはお前の気持ちだろ!」

「そうだ。」

「認めた~!」

「ケーシーも同じ気持ちだ。」


ケットさんはかなり項垂れてしまった。


「天使様。天使様は僕と遊ぼ!兄ちゃん達は魚取りに行くからあっちで水に足つけて遊ぼ!」

「うん!」


私は水に足をつけると言う言葉にときめいた。

日本では川に近寄る事すら許されなかったから、とても魅力的な誘いだった。


「シグレ。」

「あ、私川に近寄るのも初めてで………駄目ですか?」

「………ザック、シグレが危なくない遊びを選べよ。」

「うん!兄ちゃんありがと!」


ザック君は私の手をひいて浅い水辺を選んで連れていってくれた。






初めて川に足を入れると冷たい感触とぬるっとした水底に不思議な感覚におちいった。

凄い不思議だ。

私がボーと素足の感触に浸っているとザック君が水面を指差して言った。


「天使様!あそこに魚!」

「ほ、本当だ~!」


ザック君はニカッと笑った。

可愛い。

私がつられて笑うとザックは照れたように赤くなってしまった。


「天使様美人。」

「ありがとう。」

「あ、見て!兄ちゃんが魚取るよ!」


ザック君の言葉にスキロフさんの方をみると、昔テレビでみたヒグマのような勢いで手を水面に降り下ろし魚を弾き飛ばしていた。


「ヒグマ………魚取る………どおりで釣るって言わないわけだ。」


私は呆然とスキロフさんを見つめていた。


「兄ちゃん凄い!」


その時ザック君が跳び跳ねた。

おもいっきり濡れたのは言うまでもない。

するとスキロフさんは勢いよく他の獣人さん達を殴り付けて沈めると、岸に上がってスキロフさんのだと思われる紺色のシャツを私に着せてくれた。

何がおきたのか解らないでキョトンとする私にシャツのボタンを閉めながらスキロフさんが不機嫌そうに言った。


「何で今日は白いワンピース何ですか?」

「ケーシーさんが動きやすいからって。」

「白は水場に適しません。今後は白は駄目です。解りましたか?」


スキロフさんはしゃべり方が執事使用になっていた。


「何でですか?」


私は白が駄目なのと何で執事使用のしゃべり方になったのか、両方の意味を込めてそう聞いた。

スキロフさんは私から目線をそらすと言った。


「白は………濡れたら透けます。」

「………」

「すみません。」

「………な、何も知らなくて………ごめんなさい………」


私はこの、なんとも言えない空気と突然何も解らないうちに殴られた獣人さん達のマジギレした声が居たたまれなくて盛大に赤面してしまった。

ザック君はスキロフさんに肩をつかまれお説教されていて可哀想だった。

な、なんだか迷惑ばかりかけて折角のスキロフさんのお休みを邪魔してしまったのが申し訳なかった。


「………シグレ。」

「は、はい!ごめんなさい!」

「………いや、謝るのはこっちだろ?」

「今日はスキロフさんはお休みなんですよ!私が勝手に来ちゃったから………迷惑ばかりかけてごめんなさい。」


スキロフさんはため息をつくと言った。


「今日はシグレに会えないと思ってたから、顔が見れて安心した。だから謝るな。」

「迷惑かけたのに……」

「迷惑と思ってない。」

「他の獣人さん達にも迷惑かけちゃいましたよ?」


スキロフさんは怒ってこっちに走って来る獣人さん達をチラリと見ると言った。


「気にするな。」


スキロフさんはニコッと笑って見せた。

気にするなって雰囲気を獣人さん達から感じません!


「スキロフ!テメー何で殴った‼」

「説明しろ!」

「事としだいによっては、ただじゃおかねえぞ!」

「納得できる説明をしろ!」


スキロフさんは彼らにニコッと笑顔を向けた。


「天使がザックのせいで濡れてしまった。だからお前らに気づかれる前に意識を奪った。」

「「「「!………見たかった!」」」」

「殺すぞ。」


スキロフさんは聞いたこともない低い声で凄んだ。

獣人さん達の顔色が悪くなるのが解って私まで怯えてしまいそうだった。


「スキロフ、なにやってるの?」


そこに現れたのはケーシーさんだった。


「シグレちゃんが心配だったから仕事終わらせて来たよ~!イディオン様の転送魔法陣の紙も持ってきたから帰る時も安心………シグレちゃんなんて格好してるの?」

「濡れた。」


スキロフさんの一言にケーシーさんの顔色が青くなった。

そのあと、ケーシーさんは物凄く妖艶な笑顔を作ると指をボキボキと鳴らした。


「………誰から殺せば良いのかしら?」

「「「「ケーシー目がマジだ!ケット!止めてくれ!」」」」

「………無理。あの状況のケーシーとまともにやりあってただですむ気がしない。」


ああ、ケーシーさんもお強い様です。

怯える獣人さん達を横目にスキロフさんは私を川岸に連れていくと言った。


「ケーシーに任せれば安心だ!」


何がですか?とは聞けなかった。


「「「「透け透けワンピース見たのはスキロフだけだよ~!」」」」


獣人さん達の叫びにケーシーさんは妖艶笑顔をスキロフさんに向けた。


「………死にたいの?」

「………見たと言っても緊急事態にそいつらの意識を奪ってシグレに俺の服を着せるのが精一杯だった。見たと言うほど見てない。」

「本当に?」

「嘘ついてどうする?」

「………」


私はケーシーさんに抱きつくと言った。


「スキロフさんは何も知らない私を助けてくれたの!怒らないで!」

「はい!勿論!」


ケーシーさんは優しい笑顔を作ると私の頭を撫でてくれた。

そして、言った。


「何時までもそんな格好で居たら駄目ですよ!お屋敷に、帰りましょ!」


ケーシーさんは私が声を出す前に魔法陣の紙を開いてしまった。

次に目を開くと私は自分の部屋にケーシーさんと立っていた。


「………ケーシーさん。」

「はい!」

「スキロフさんのお洋服………スキロフさんが上半身裸なままで帰る事になっちゃいましたよ。」

「………ど、ドンマイ!」


私はその日完璧にスキロフさんの休日を邪魔してしまったのだった。




スキロフさんは、上半身裸で家に帰ります!

しかも、たぶん透け透けワンピースガッツリ見てると思う。

ガッツリ見たからバチが当たったんじゃないかな?

ディオ君の呪いか?

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