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生まれ変わってお嬢様!  作者: ガイアにゃんこ
13/18

お泊り-1

中々進まないのでとりあえず分割して半分投稿します・・・。

校門まで歩くと、見知らぬ若い男が立っていた。

「お嬢様は私の後ろに」

それに気づいたマリナがリアーヌを後ろに隠す。

そんなマリナの様子を訝しんだジュリエッタも校門の方を見たが、すぐに納得したように溜息をついた。

「ああ、別に警戒しなくてもいいわよ。あれは私の使用人だから」

「そうでしたか。お二人とも、失礼いたしました」

マリナがジュリエッタとリアーヌに頭を下げる。

「別に謝ることは無いわ。こんな暗がりで突っ立ってたら誰だって怪しく思うもの。あなたも分かっていて?」

ジュリエッタが男に向いてそう呼びかけると、校門の陰から黒い燕尾服を着た男が出てきて恭しくジュリエッタに向かって一礼した。

「申し訳ございません。お嬢様。皆さまも、驚かせてしまい、申し訳ございませんでした」

校門横にある街灯に照らされた男の顔は少しやせているがよく整っていて、しかしながらどこか哀愁を感じさせるような雰囲気をまとっている。

「まぁ、丁度いいわ。フェルナン。あなた、アンヌを家に送った後、もしご両親の許可が取れたらリアーヌの寮まで連れてきて頂戴」

「かしこまりました。・・・しかしお嬢様、失礼ながらアンヌ様という方を存じ上げていないのですが」

「この娘よ。私の新しいクラスメイトなの」

「かしこまりました」

送ってもらう本人を蚊帳の外に主従は話を進めてしまう。

「・・・え?あの、本当に送っていただいて良いのでしょうか」

「いいのよ。女だけで暗がりを送って行くよりはよっぽど安全ですもの」

確かにアンヌだけを行かせるのは危険であるし、リアーヌは自分もついて行こうと思っていた。

そうなれば心配症のマリナもついてくるだろうし、下級生(今となっては同級生だが)とまだ町に不慣れであろうマリナだけで夜道を行かせるわけにはいかないと、ジュリエッタもついてくるだろう。

となればキアラもジュリエッタについて行くだろうし、結果、アンヌの家まで全員で行くことになっていたことだろう。

「・・・それもそうですね。では、よろしくお願いします、フェルナンさん」

「はい、こちらこそよろしくお願いします。では、参りましょう。アンヌ様」



 3人に向かって、自分もできるだけ早く行くよう努力すると言うアンヌに、慌てて、家族にきちんと説明して許可が貰えなければ無理して来なくてもよいという旨と、自身の寮の場所と部屋の番号を伝えてから、一応別れの挨拶を軽く交わし、リアーヌたちは暗がりに薄れていくアンヌの影を見送ってから校門を出た。

「ねぇ、アンヌに言ってた場所にあるってことは、リアーヌの寮って、一番大きいイーリス寮よね?」

「え?えっと・・・たぶんその寮だと思います」

寮の外観は覚えているものの、正直名前はうろ覚えだった。

「やっぱり?そうよね、だったらキアラも同じ寮じゃないの」

「え、そうだったんですか?」

ジュリエッタがリアーヌの部屋に泊まると聞いてからずっとむすっとしているキアラが気になっていたリアーヌは、やっと話のタネができたとばかりに嬉々としてキアラに話しかける。

「でしたら、キアラ先輩もご一緒にいかがですか?」

「・・・・・」

しかし、キアラはリアーヌが話しかけても顔を背けて目を合わせてはくれなかった。

「あの、キアラ先輩?」

これは嫌われてしまったか、と心配になったリアーヌがその顔を覗き込もうとすると、やはりキアラは顔を背けてしまう。

「もう、キアラ!後輩を困らせるんじゃないの!」

ジュリエッタがそう言ってキアラを半ば強引に振り向かせると、彼女は真っ赤な顔でようやくリアーヌと目を合わせてくれた。

「・・・・別に私に気を遣わなくてもいいわよ!ジュリと二人で一晩中いちゃこらしてればいいんだわ!」

生徒会室での会話を聞く限りではお嬢様であるはずなのに、どこで“いちゃこら”などという言葉を覚えたのか甚だ疑問ではあったものの、リアーヌはとにかくキアラの誤解を解くことを優先することにする。

「別にいちゃこらはしないですよ・・・。私たちは別にそういう関係じゃあないですし」

リアーヌがそう言うと、キアラはなぜか顔を真っ赤にして詰め寄ってきた。

「ちょっと!そういう関係って、どういう関係よ!?」

「え、いや、どういうって・・・」

キアラを落ち着ける為に言った言葉で逆に興奮させてしまい、途方に暮れそうになるリアーヌにジュリエッタが助け舟を出してくれる。

「キアラ、もうそれぐらいにしときなさい。イーリス寮に着いたわ」

言われて二人が顔を上げると、リアーヌにとっては、まだ一日しか思い出のない巨大な寮が建っていた。


階段を上り、リアーヌは自室である角部屋を目指す。

後ろにはマリナ、ジュリエッタ、そして「わ、私の部屋は一階にあるんだけどね」と言ってちらちらとリアーヌの顔を見てきた為、もう一度誘うと、「しょ、しょうがないわね!今回だけよ?」と言ってついて来たキアラが続く。

「キアラも意地張ってないで素直に自分も一緒に連れて行ってほしい、って言えばよかったじゃないの」

「べ、別に行きたかった訳じゃないもの!リアーヌがどうしてもって言うから、仕方なくよ!後輩の頼みですもの、断れないじゃないの!全く、感謝しなさいよね!」

自分の後ろで繰り広げられる会話に苦笑しながらも部屋の前にたどり着いたリアーヌはマリナに鍵を開けさせて、三人を部屋に招き入れた。

「それではお嬢様、私はお夕飯の用意がありますので失礼しますね」

マリナは三人の鞄を預かると、料理の準備の為に奥に引っ込んでいこうとする。

「あ、ちょっと待って、マリナ」

「え、はい、お嬢さま、何でしょうか」

「その、マリナに相談せずに3人を招いちゃって・・・」

前世では両親が早くからいなくなっていた為、友人を勝手に広いとは言えない自宅に招待しては、妹にお小言をもらっていた(友人の中に女がいると、お小言の量が倍に増えた)。

さらに前世とは違い、相手にほぼすべての家事を任せている状況で、前もって相談せずに、というのはまずかっただろう、とリアーヌは考えたのだ。

しかし、そこまで言おうとしたところでマリナは自らの唇に人差し指を当て、リアーヌを制す。

「主がそうやすやすと使用人に頭を下げるものではありませんよ。それに、私個人としてもお嬢様にさっそくご友人が出来たことはとても嬉しく思っていますので、どうぞ気になさらないで下さい」

「マリナ・・・ありがとう。でも、私はマリナと主と使用人以上の関係でありたいと思っているのよ?」

リアーヌが照れくさそうにマリナを見上げながらそういうと、驚いた様な顔をしてから、なぜか頬を染め、リアーヌの目をぼうっとしたような表情で見つめてきた。

「私、マリナのことは友達くらいの関係でいたいって思ってるんだから!」

「え、あ・・・と、友達、ですか・・・」

「・・・ひょっとして、嫌だったかしら?」

確かにマリナとリアーヌの年齢は5つ空いているのだし、友人と呼ばれるのは不快かもしれない。

「い、いえ!そんなことはありません!むしろ光栄ですとも!ええ!」

「そ、そう・・・よかったわ」

少し引き気味にリアーヌにそう言われ、マリナははっ、と気が付いたような顔をすると、失礼しました!と言い残し、慌てたように調理室へとパタパタと部屋を出て行ってしまった。

1人残されたリアーヌはしばらくポカン、としていたが、そういえば、とふと気になったことを居間のソファに座っているジュリエッタに尋ねることにする。

「ところで、ジュリ先輩、泊まっていただくのは結構なんですけど、着替えはどうしますか?」

「着替え?そうねぇ・・・」

リアーヌの服を貸そうにも、ジュリエッタが大柄であるという訳ではないのだが、如何せん少女が成長期に服の貸し借りをするには少しばかり歳が離れている。

「まぁ、後でフェルナンに取りに行って貰うわ。使用人用の宿舎に避難させてあるから」

「そうですか・・・それで・・・何しましょうか・・・?」

ソファに座り、改めて手持無沙汰になってみると、本当にすることがない。

まだお互いに知らない事も多いのだから、先輩達と雑談をして過ごそうとも思ったのだが、結局キアラは部屋に入ってきてからずっと膨れている為、話しかけ辛いというのもあって実行に移せていない。

「そうねぇ・・・」

ジュリエッタはそういってキアラをちらっと見た後に少し考え、それからまた口を開いた。

「大人しくここで待ってましょ。アンヌも来るかもしれないのだし」

「そうですね・・・」

リアーヌとしてはジュリエッタからキアラに話しかけてもらい、場の雰囲気を和ませてくれることを期待していたのだが、頼みとした本人にそう言われては、諦める外ない。

仕方なく、リアーヌはまだ購入間もない教科書をペラペラめくって時間を潰すことにした。


 部屋のドアがノックされた音でリアーヌは目を覚ました。

教科書を開いてすぐにうたた寝してしまったことを軽く恥じながらも、リアーヌが立ち上がろうとした所で、なぜかこちらを見つめるキアラに気づく。

「あの・・・もしかして、何か私の顔に付いてたりしますか?」

涎でも垂れていたら情けない、とさりげなく口元に手を当てて確認をしながらリアーヌがそう聞くと、キアラははっと気がついたような顔をしてから顔を真っ赤にしてそっぽを向いてしまう。

「な、なんでもないわ!」

「?そうですか?」

ジュリエッタの方を見ても、微笑みを返してくれるだけだった。

「そ、そうよ!ていうか、早く出てあげなさいよ!」

「はあ。まあ、そうですね」

ジュリエッタならば少なくとも何かついていたならばそれを面白がって黙っているような事はしない、とリアーヌは結論をつけ、ほとんど読めなかった教科書をテーブルの上に置いてからソファから立ち上がる。

その時にもう一度だけちらっとキアラを見ると、頬は赤いままにこちらを見つめていた。


空いた時間で書いていると確認しながらになるので時間かかりますね・・・。

浪人生の身の上が辛いです(泣)

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