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第一話:巻き込まれた先は

 木漏れ日すら差し込まない森の深淵。

 見渡すかぎりに乱立した巨木。

 コケむしたその根が複雑に絡み合い、俺の行く手を阻んでいた。

 滑り落ち、よじ登り、また滑り落ちる。

 遅々として進まぬ道程と、限界を超えた空腹。

 濃厚に漂っているはずのマイナスイオンも、今の俺にはなんの糧にもならない。

 あれからもう、何日経ったのだろう?

 食料は尽き、水も体力も残りわずか。

 あの時は、まさかこんなことになるなんて、露とも思ってはいなかった。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆


「空君、無理言って悪いね。二週間ヨロシク頼むよ」


 俺はお隣さんの高科さん一家三人と、家というには小さな、そして恐ろしく頑丈そうなドアがあるだけの、窓のない四角い箱の前にいた。

 その四角い箱が、十メートルほど離れて芝のグラウンドに二つ設置してある。


 高科さん一家の主、陽一さんは、とある大手建築会社に勤めるサラリーマンだ。

 その建築会社が、筑波のとある研究所と共同開発した最新型のシェルター。

 それが四角い箱の正体だった。


 陽一さん曰くこのシェルターは、たとえ核爆発の直撃を受けても、どろどろに溶けた溶岩の中に放り込まれても、内部環境は快適なのだそうだ。

 さらに、最悪のときには内部の時間を止めてでも救出を待てるようになっているらしい。

 うさんくせえ、と最初は思ったが、俺には関係ないことだし、右から左へ聞き流しておいた。

 そんなことよりも、俺はこのバイトに誘ってくれた方が嬉しかった。


「いえいえ、静かなところでタダで生活できて、おまけにバイト料までもらえるなんてサイコーっす」

「ははっ、それは良かった。その荷物は受験勉強かい?」

「はい。これくらいしかできそうにないですから」

「ねぇねぇ、ママ。じゅけんべんきょうってなぁに?」

「学校に入るためのお勉強よ、一花」


 高科さんちの一人娘、一花ちゃんは、将来俺のお嫁さんになると言ってはばからない少しおませな小学一年生。

 べつに光源氏計画に倣おうとしたわけではないが、ときたま遊んであげているうちに俺になついてくれた。


「ふぅーん。がんばってね、ソラおにいちゃん」


 よく分かっていない感じだったが、大人びるように背伸びした一花が微笑ましい。


「一花ちゃんも頑張るんだよ」

「うん、いちかがんばる」

「よーし、一花ちゃん手を出してごらん」

「こう?」


 不思議そうに両手を差し出した一花。

 俺は、ポケットに入れていたとある物を、見えないように彼女の手の平にそっとおいた。

 そして、その小さな手を優しく包むように握らせる。


「手を開けてごらん」


 期待感いっぱいの瞳を、キラキラと輝かせている一花。

 開かれた彼女の手の平には、小指の先ほどの大きさで、しずく状に磨かれた紫水晶のネックレスが置かれていた。

 一花の表情がぱぁあっと明るくなる。


 それは、去年親戚のおじさんと鉱物採取に行ったときに拾ってきた紫水晶を、そのおじさんの研磨機で磨いたものだ。

 その紫水晶に銀メッキのチェーンを取りつけてネックレスにした。

 宝石としての価値などほぼないが、俺はそのネックレスを気に入っていて、同じものを身につけている。

 そして、それを見た一花は同じものを異常に欲しがっていた。

 先週の日曜におじさんの所へ行った際、それを思い出して作ってきたのだ。


「うわー、きれい…… いちかのおねがいきいてくれたんだね。ソラおにいちゃんとおなじ」

「約束だったからね」

「ありがとう、ソラおにいちゃん。だぁいすき」


 こぼれるような笑顔になった一花と、微笑ましそうにその様子を見ている彼女の両親。


 大学受験を控えた高校最後の夏休み、俺は高科さん一家と共に、シェルターのモニターをすることになった。

 期間は二週間、その間シェルターの中で生活するだけ。

 メディアはラジオしかなく情報端末は持ち込めないし、食い物も味気ない保存食だけだ。

 おまけに風呂もない。

 けれども、一日五千円の報酬がでるし、下着の替えとタオルはあるということだった。


 そして、受験勉強をしても構わないという。

 一応受験生であり金欠気味の俺にとっては、願ったりかなったりという好条件のバイトを、陽一さんが紹介してくれたのだ。


 ただし、生活の一部始終を記録されることになるから、その間オ○ニーはできない。

 というか、カメラの前でやる度胸はない。

 しかしそれも、二週間我慢すれば済む話だ。

 もし我慢できなくなったら寝袋の中に隠れて……

 いや、射出物の処理を考えればそれも……

 などなど不埒なことを考えながら、高科さんちの一人娘、一花ちゃん七歳の頭を撫でてから入ったシェルターの中には、小さな折り畳み式のちゃぶ台と、寝袋が置いてある。

 ひととおり見て回れば、トイレはあるが、風呂も台所も冷蔵庫も無く、備えつけの棚には保存食と防災グッズがあるだけだった。


「ホントに殺風景だな……」

『ただ今より試験を開始します。体調に異常を感じられましたら、壁に備え付けてあるインターホンでお知らせください』


 他にはなにがあるかと、部屋を見わたしていたら、壁に備え付けられたインターホンからお姉さんの声が聞こえてきた。

 当然顔は分からないが、若くて瑞々しい声だ。

 このバイトが終わったら、ぜひともお会いして親密な関係になりたいものだ。

 あいにく、口説く甲斐性など持ち合わせてはいないところが口惜しいが。


「了解っす」

『それではシェルターのドアを閉めてください。頑張ってくださいね』


 言われるがままにシェルターの重いドアを閉め、俺の禁欲生活がはじまった。


 そして、何事も無く二週間が過ぎ去っていく。

 受験勉強くらいしかすることがなかったから、時間がたつのが異常に遅く感じられた。

 だが、明日の朝までの我慢だ。

 そうすればオ○ニーができる。

 風呂に入れる。

 そして、七万円という大金が手に入る。


 正直なところを白状すると、大学受験に関してはそれほど難しい学校を受けるわけではない。

 今の成績でも余裕で合格できると先生からお墨付きをもらっていた。

 だから俺はこの七万円を使い、まだ二十日以上ある夏休みの残り期間を有意義に過ごそうと考えている。


 そして、俺が今ハマっていること。

 それはトレジャーハンティングだった。

 残りの夏休み、このバイトで得た金を使ってトレジャーハンティングに出かけようと考えている。


 有名どころでいえば、徳川埋蔵金とか豊臣の埋蔵金だとか結城晴朝の黄金だとか旧日本軍の物資だとか、日本には数多くの埋蔵金伝説が存在している。

 現実的なところでいえば、輝石や宝石の原石を探しに行ったり、砂金を取りに行ったりしてもいい。

 有名な埋蔵金伝説を調査するだけでも何気に楽しいから困ったものだ。


 宝を発見して大儲けするなどということは、まずありえないし期待もしていないが、トレジャーハントには夢が詰まっている。

 男のロマンと言ってもいいだろう。

 どこに行こうか、なにを探そうか、そう考えるだけで楽しくて仕方がない。

 もちろん家に帰った明日の夜は、溜まりに溜まった欲情を自分の部屋で発散させる予定だ。

 今から楽しみで仕方がない。


「それにしてもヒマだ。外も見えないし、勉強は飽きたし、ラジオだけじゃなぁ…… 一花ちゃん泣いてないといいけど」


 小学一年といえば外で遊びたい盛りだろうに……

 なんてことを考えている時だった。


「――ッ、何だ?」


 予兆も何もなく唐突に大きな縦揺れが俺を襲ってきた。

 分厚い壁越しにゴウゴウと響く轟音と、収まる気配のない大きな揺れ。

 立つことはおろか、這うことすらできないその揺れに、俺は必死に床にへばりついていた。

 そして、経過した時間も分からないうちにその揺れが唐突に止まる。

 つけていたラジオからはシャーシャーと雑音だけが響き、部屋の明かりが薄暗くなったように感じられた。


「――痛ッ、部屋が傾いてやがる。今の揺れは何だったんだ? 地震か? とにかく聞いてみよう」


 傾いた部屋を壁伝いに歩いて、ドアの横にあるインターホンのボタンを押す。

 そして、係の人に連絡をとろうとしたが返事はなかった。

 シャー、という雑音が響くだけだ。


「回線が切れた? 陽一さんたち大丈夫かな」


 俺は急激に不安に駆られた。

 一刻も早く外の空気を吸いたい。

 外の景色を見て、無事な一花ちゃんたちを見て安心したい。

 考えるまでも無く、俺はシェルターのドアレバーを回していた。

 そして重い扉を開く。


「…………」


 それはあり得ない光景だった。

 俺の目に飛び込んできたのは漆黒の闇に包まれた無数の樹木。

 星空は木の葉に覆われて見ることができない。

 部屋から漏れた光だけが、生い茂る巨木の群れを映し出していた。

 揺れに襲われたのは昼過ぎだ。

 ラジオの時報で確認していたから間違いない。

 それに、ここは高科さんの会社のグラウンドだったはずだ。


「そうだッ!」


 慌てて高科さんが入っているシェルターを確認しようと、俺は顔をドアの外に出して視線を横に向けた。

 しかし……


「無い。シェルターが…… 無い」


 十メートル隣にあった高科さん一家のシェルターがあった場所は、今にも崩れ落ちそうな岩壁とゴロゴロとした岩石。

 暗くてよく見えないが、そこにシェルターが無いことだけは分かる。

 岩に押し潰されているわけではない。

 バラバラに破壊されているわけでもない。

 存在自体が確認できないのだ。


「陽一さん、一花ちゃん、希美花さん……」


 笑顔でがんばると言っていた一花ちゃん。

 ヨロシクと申し訳なさそうにしていた陽一さん。

 嬉しそうに俺に撫でられている一花ちゃんを、微笑ましく見守っていた希美花さん。

 俺の脳裏には、その光景が走馬灯のように駆け巡った。


「…………」


 どうすればいいのか、どう考えればいいのか、なにも分からない。

 木の葉が風で擦れ合う音だけしか聞こえてこない。

 なにもできないまま、決して短くはない沈黙の時間が過ぎ去っていった。


 そして絶望感と焦燥感に支配され、いつのまにか眠ってしまっていた。

 ふと目覚めると、部屋の明かりはいつのまにか消えていて、開け放たれたドアから入り込む薄い光と新鮮な空気が俺を優しく包み込んでいた。


 そして眠ったからだろうが、俺は考える力を取り戻していた。

 まずは現状の再確認が必要だろう。

 あれは夢だったなどということは、傾いた床が否定している。

 起きだした俺は、シェルターの出口から外を見まわした。


「森の中…… だよな」


 コケの生えた巨木の根と幹。

 木の葉に覆い隠されて空を見ることはできない。

 横を見ればがけ崩れの後のように散乱する岩石と岩肌。

 高科さん一家のシェルターは、やっぱり無かった。

 見あげれば、シェルターの後背は真新しい岩肌が露出した崖だ。

 森の最奥の岩山が地震で崩れたのだろうか、ここはまさにそんな場所だった。


「困ったな」


 それが正直な思いである。

 喪失感、憔悴、不安、焦り。

 そんな感情が混ざり合った困惑だ。

 しかし、困ってばかりでは何も解決しない。

 そう思うことができた俺は、一旦部屋の中に戻って、どうすればいいか考えることにした。


 現状分かっていることといえば、大きな揺れの後にシェルターの位置が移動していたこと。

 ラジオが受信できないこと。

 高科さん一家のシェルターが消えていたこと。

 ここが深い森の中であること。

 いきなり昼から夜になっていたこと。

 である。


 まず脳裏に浮かんだのは、異世界転移という非現実的な現象。

 心のどこかにそんな願望があったのかもしれない。

 中二病だと笑ってくれても構わない。

 アニメや小説に毒されすぎだとバカにされても構わない。


 しかし、気がつけば森の中にいて、ラジオの電波も届かず、昼夜が逆転し、隣にあったシェルターが跡形もなく消えているという現実。

 それらをつきつけられれば、異世界転移くらいしか思いつかなかった。


「異世界転移? んなバカな。でも、もしそうだとしたら何をすべきか……」


 このままここにいて、誰かが来るのを待つという選択肢はあり得ない。

 水はまだ数日分残っているが、食料がほとんどない。

 乾パンがひと缶と飴玉が五つだ。

 節約しても二日でなくなるだろう。

 だとしたら、とりあえずここを拠点にして、森で食料を調達してくるというのはどうだろうか?

 これは一考の価値があるだろう。

 シェルターという雨風を凌げる快適な寝床は捨てがたい。


 しかし、食料が調達できなかったら?

 シェルターから見える森の木々は巨大な針葉樹ばかりだ。

 そう簡単に食料が調達できるとは考えにくい。

 食べられる果実が生りそうな木なんて、全く見えないのだから。


 だとすれば魚はどうだ?

 動物を狩る方法なんて知らないし、その道具も無い。

 だけど、川を見つけられれば魚なら捕まえられるかもしれないし、水場には食えるものがありそうな気がする。


 そして、二週間も風呂に入っていない。

 体中が痒いし匂いも気になるし、髪の毛なんてギットギトのベッタベタだ。

 もし川があれば、頭や体や着ているものが洗えるのは確かだ。

 幸い、シェルターには着替え用のトランクスとTシャツが段ボール箱にひと箱分あったからまだ数日分の替えがあるが、この不快感はいかんともしがたい。


 さらに、川を見つけられれば当然水も手に入るし、下っていけば人に会えるかもしれない。

 ここが異世界だったとしても、友好的な人に会えるかどうかなんて分からない。

 が、どのみちこんな所で一人で生きていくなんてできないだろう。


 ここまで考えて、俺はある可能性に思い至った。

 それは異世界の定番、魔法である。

 とりとめもなくこんなことを考えてしまう俺の頭は、もしかしないでも中二病に侵されているのだろう。


 しかし、ここがもし異世界ならば、もしかしたら魔法が使えるかもしれない。

 体や運動能力が強化されているかもしれない。

 こんな状況に置かれて、発想が飛躍しすぎていないか?

 なんてことは考えるだけ無駄、中二病上等だ。

 なにごとも前向きに考えるポジティブシンキングこそが俺の信条なのだから。


 そうとなれば話は早い。


「早速実験だ」


 異世界ファンタジーの定番、魔法が使える可能性に思い至った、いや、思いたかった俺は、はやる気持ちを押さえてシェルターの外に出た。


 魔法世界は、健全な男子学生ならだれもが憧れる設定だろう。

 断じて異論はみとめない。

 今、とんでもない事態に巻き込まれていることは百も承知だが、魔法が使えるのなら何とでもなりそうな気がする。

 そう思った俺は、転がっている岩石めがけて試してみることにした。

 いや、試さずにはいられなかった。


 右手人差し指を岩に向かって突き出し、適当な火の呪文を唱える。

 岩を標的にしたのは、火事にでもなってしまったら大変だ、という心優しい自然への配慮だ。

 決して、俺が小心者だからという訳ではない。


 そして魔法といえばイメージが大事だ。

 座右の書としている小説にもそう書いてあった。

 俺がイメージしたのは、その中でも初歩的な魔法。

 バスケットボール大の火の玉である。


「顕現せよ。ファイアボール!」

「…………」


 しかしそこには、ただ静寂だけが支配していた。

 岩に向けて指を突き出し、変なポーズで固まっている俺だけがいた。

 この光景を知り合いにでも見られたら、いや、知り合いでなくても恥ずかしくて身じろぎすることだろう。


 しかし、幸いなことにここには俺だけしかいない。

 魔法は不発に終わった。

 不発には終わったが、後ろ向きなネガティブ思考には決して陥らない。

 もう一つの可能性がまだ俺には残っているのだから。


「ならば」


 そう考えた俺は、助走をつけ、思い切り飛び上がって岩にとび蹴りを敢行することにした。

 半分ヤケであることは否定しない。

 大事なのは蹴り足を鉄のように強化するイメージだ。

 そして、その鋼鉄の足で眼前にせまった岩を気合いとともに蹴り砕く。


「チェェェストォォ!」

「…………」


 岩の前にうずくまった俺は、右足首を押さえて苦悶の表情をうかべていた。


「――痛ッ」


 考えが甘い、甘すぎた。

 いや、当然の結果だろうと心の中でひとりツッコミしてみたが、けっきょく俺は、受け入れ難い状況に陥って、性急な行動しかとれなかっただけだ。

 もちろん結果は、魔法も身体強化もかんばしい成果が得られなかった。

 ただ、言いようのない恥ずかしさと、痛みだけが心と右足首に残っていた。


 発動の仕方が悪い。

 まだ体がこの世界になじんでいない。

 などなど、未練がましい理由は考えつくが、さすがにそこまで甘い希望的観測は持たない方がいいだろう。

 思考を現実に切り替え、この世界で生き抜く術を見出さなくてはならない。

 この程度の失敗で俺がくじけることはないのだ。


 シェルターの中に戻った俺は、あれは若気の至りだったのだと甘い考えは切り捨て、現実に目を向けなおすことにした。

 まだ少しだけ魔法に心残りはあるが、今は目の前の現実に向き合おう。


 そうとなれば第一優先は食料と水の確保。

 そのためには森の中を探索して水場を探さなくてはならない。

 次に、外敵から身を守ること。

 寝床を確保すること。

 残りの食糧を考えると、あまり悠長に考える余裕はない。

 遅くとも明日の朝にはシェルターを出よう。


 そう考えた俺は、シェルターにある利用できそうなもの、すなわち持ち出す物を選定することにした。

 持って行ける物は、勉強用具を持ち込んだリュックに入る量でなくてはならない。

 ならばと、熟考の末選んだ物は、新品のトランクスとTシャツを各三枚、飲み水が入った五百ミリLのペットボトル四本、十特ナイフ、小さな懐中電灯、ライター、ハサミ、ソーイングセット、十メートルほどのロープ、残った乾パンと飴玉だった。

 武器になりそうなものが何もないのが心もとないが、そんなことを理由にじっとしているわけにはいかない。


 持ち出す物をリュックに詰めた。

 そして、寝袋をハサミで分解し、ソーイングセットを使って即席の防寒着も作った。

 防寒着は不格好だが、もし、森の中で夜を明かさなければならなくなった時のことを考えると、ぜひとも欲しい。

 さらに、Tシャツとデニムのズボンだけの薄着では、木の枝とかで怪我をしそうだと考えた。

 どのみち寝袋はかさばるので持っていけないから、防寒着の材料にしたのだ。

 ラジオも持っていこうかと考えたが、水を優先することにした。


 夜中までかかってシェルターを出る準備を終えた俺は、無残な姿になった寝袋の残りかすをかき集めて、その上で一夜を明かす。

 そして翌朝、俺は意を決して森の中へと足を踏み出した。

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