プロローグ
時は江戸時代初期。正体不明の浪人・南田是識と、岡っ引きの卵・弁天の日吉が繰り広げる「捕り物事件簿」
史実・伝承を三割、勝手な創造・テキトー拡大解釈が七割を占める小説・・・というか、台詞が多いので、シナリオに近いかも知れません。
幼い時からお転婆で、十三歳という年の割りには大柄。
女だてらに近所の連中を引き連れてのガキ大将。
日がな一日、遊びまわっていた。
隣町のガキ大将連と諍いになり、こてんぱんにやつけてしまった。相手のガキ大将は、たちの悪い地回り=ヤクザに泣きついたため、地回りが子供の喧嘩に首を出してきた。
所用で出掛け、薄暗くなり始め、もう直ぐ暮れ六つになろうかという時、一人で帰る途中、小草川沿いの道で前後を男達に挟まれ、船着き小屋の方に追い立てられた。
「子供の喧嘩に、負けた腹いせに大人が仕返しに来るのかい!」
いかにお転婆でも、年の割りには大柄というだけであり、大人二人とは喧嘩にもならない。
殴られて叩き伏せられた時、胸元は広げられほんのり膨らんだ乳房が垣間見える。
顔や手足は日に焼けて黒いが、元々色白である。
「ガキだと思っていたが、身体はもう大人じゃねえか」
あっという間に、船着き小屋の中に引きずり込まれた。
帯を解かれて、裾もはだけて白い肢体が露わになった。
「誰かたすけてー!」声にならない声で叫んだが、頬を殴られ口の中に血の塊を感じた。
「もう駄目・・・」と、暗闇に吸い込まれていくように気が遠くなりかけた時、髻が2つ宙に舞っているのが、狭い視野の中で見えた。