12-情報-
情報とはこの世の全ての動力源であり、全てを知るために全てを使用する物、またその物体をも情報であるという事実は覆されない。すなわち、この世の全て、感情でさえも情報で構成されているのだ。泣くタイミング、怒るタイミング・・・全てそうなっているのだ。
だから何だ。
倒壊した建物。いや、存在として成り立っては居ないから建物と呼ぶのには相応しくは無いかもしれないがそれはそれとして、恐らく警察署だったと思われる。
不幸中の幸いは、見た目以外の機能は何ら問題なかった。警察として成り立っているし、特に事件が内部で起きた様子は無い。ということは外部からの攻撃か。
と、そこまで考えたところで龍兵衛さんが現れた。
「・・・・・・ソイツは脱獄した奴だな?」
「はい。コイツを届けに来ました」
実は既に花咲は目を覚ましているのだが、どうやら抵抗は無駄だと判断したようだ。
「それだけじゃないだろうな。俺に話を訊きに来たというわけか・・・・・・」
「そうです」
「いいだろう。この事件はようやく警察として機能できそうだ。最も捜査できる人間がそんなにはいないんだがな」
そう言って、花咲を別の人間に渡して話を始めた。
「王城だ」
「王城?」
「これもまたあの幹部が関わっているらしい」
「そう・・・・・・なんですか」
「この警察署がこの程度の被害で済んでいるのも、刑務所と少年院が破壊されたにも拘わらず、脱獄囚を7人に抑えられたのも、頭脳探偵のおかげなんだがな」
「隼人が?」
確かに警察の行動力が異常に高いのは不思議に思っていた。いつもならもっと被害が出るところだろう。
「どうやら頭脳探偵は地味に隔離状態にあるらしい。それを助けている人が居て、情報を集めては頭脳探偵の元に集めている。幹部の動きを封じる事はできないから、その行動を邪魔しようって算段らしい。俺達が迅速に対応できているのはそのおかげだ。だが、その助けている人ってのが若干犯罪者だな。スピード違反者の可能性がある。また、無免許運転の可能性も有るが、まあ、それは仕方が無いからってことにしておこう」
スピード違反?無免許運転?隼人は一体誰と組んでいるのだろう。
「話し戻してもいいか?」
という龍兵衛さんの言葉に黙って頷いた。
「囚人を脱獄させた理由はお前らを襲撃するためらしい。まあ、イレギュラーが2人ほど飛び出たらしいが、5人はお前らに恨みがあるはずだとさ」
「はい。それは分かっています」
「また、警察署を破壊したのは1人の少女だった」
「長柄川 里子ですね?」
「ああ。そうだ。何か、妙な力持ってるみたいだな」
「・・・・・・・・・・・・」
「お前らもやっぱりそうなんだな。お前らが捕まえさせる犯人は大抵そうだからよ。木好もそうだったし・・・・・・」
龍兵衛さんは軽く溜め息をついて笑った。
「面白い奴らだよ。本当に」
「どうかしたんですか?」
「いいや。そうだ、作戦準備が完了したぞ」
「作戦?」
「殴りこみ作戦だ。12月23日の夜・・・・・・というか12月24日になった瞬間だな。クリスマスイブに出動する」
「警察の準備が出来たって事ですか?」
「まあそうだ。だから、お前らに任務を与える」
龍兵衛さんは警察手帳を目の前に6個置いた。
「お前らのだ。これから脱獄した連中を捕まえられるだけ捕まえてくれ」
「はい?」
「ここに特別捜査部隊を設立する」