11-虎郷-
「今の感じじゃ、どうやら外に出たメンバーは他にも居るな。だが、全員は一緒に行動していない。多分『レッドテイル』は一緒に行動していたと思うけど」
「ともかく今は虎郷さんを助けるのが先決です」
「じゃあ警察に花咲を届けるべきだね」
「俺はすぐに虎郷のところに行く」
そんなミニ会議のすぐだった。
「私がどうかしたのかしら?」
と、何事もなかったように虎郷が帰宅した。
「虎郷・・・・・・大丈夫なのか?」
「大丈夫って・・・・・・何が?」
「え、お前・・・・・・木好さん追いかけたんじゃ・・・・・・?」
「・・・・・・一也・・・・・・!?」
明らかに驚いた虎郷。
「どういうこと?」
「お前・・・・・・新聞読んでないのか?」
俺がよく分からないながらも、虎郷に告げると虎郷はダッシュで家の中へと入り込んだ。
「・・・・・・?」
状況が理解できない俺達は全員首を捻りながら家の中に入った。
「そんな・・・・・・じゃあ、一也は今、外に居るってこと!?」
新聞を呼んだ虎郷は俺の方を見た。
「そりゃ・・・・・・そういうことになるよな」
「・・・・・・」
虎郷は黙って、Uターンして玄関に戻る。
「っと」
海馬がその虎郷の肩を掴む。
「行くな」
「私の勝手でしょう」
「その前に、お前がどこにいたか・・・・・・教えろよ」
「それも私の勝手よ」
「違う」
海馬が言う。
「俺達は仲間だ。隼人が居ない今、バラバラになるわけにはいかない」
「大丈夫よ。構わないで」
「構うよ」
音河も会話に参加する。
「構わないわけ無いじゃん。私達は全員そろって隼人を助けるんだ。火水は居ないとダメだ」
「・・・・・・でも」
「ダメです。どうしても行くと言うのなら、私達全員が全力で押さえつけます」
雅が強く睨む。確かに4人がかりなら勝てるだろう。雅と海馬も居るし。だが、ここはそういう場合じゃない。
「言われっぱなしだぞ、虎郷」
「・・・・・・はぁ・・・・・・」
虎郷は溜め息をついて、うなだれる様に椅子に座り込んだ。
「全くね。確かに言われっぱなし。そして私には反論する言葉も思いつかないわ」
「そうか。そりゃ良かったな」
「ええ・・・・・・全くね」
「私は王城君に会いに行ってたの」
「隼人に!?」
虎郷が居なかった理由の予想外さに驚く。
「どういうことだ?」
「朝、私が新聞を取りに行ったら、黒いリムジンが止まってたわ。誰かと思えば、東先輩よ。で私が出ると同時に東先輩が出てきて、有無を言わさず私を拉致したわけ」
「拉致・・・・・・」
誰かに見られてたら事件物だぞ。東先輩は行動が荒いな。
「で、中にいたのは王城君で、そのまま車の中で用件を済まされたわ。そしたら、嘉島君が外に出てきたから、仕方ないから遠くでおろしてもらったのよ。本当は王城君とあったことは秘密にしておく予定だったんだけど」
「何で?」
「それは言えないわ。王城君だって仲間なの。王城君の行っていた事を考えれば今言うべき事ではないわ」
「そんな・・・・・・」
俺が虎郷の言い分に対して反論しようとしたが、
「一理ある」
「それもそうだね」
「納得です」
という3人の意見により
「まあいいか・・・・・・」
という考えに落ち着いた。
「これからどうするんだ?」
「とりあえず、花咲を警察に連れて行って現状について聞いてみよう」
「そうするか」
俺達は気絶した花咲を抱えて警察署に行く事にした。
しかし、俺達が見た警察署は、まるで倒壊した建物のようになっていた。