07-保護-
守る事。
今、僕らに大切な事です。人だけじゃなく地球を。身近だけじゃなく全てを。
俺はWRから意識を切り離して、すぐさま隼人の部屋へと駆け込んだ。
「・・・・・・!」
そこには、全ての荷物をまとめて、すっきりとした一室があった。
段ボールが数個そのまま置かれてあり、他に異常は何も無かった。
「・・・・・・・・・」
それらを眺める。東先輩の考えどおりなら、隼人がここに核心に迫るものを置いてあるはずだ。
「・・・・・・あった」
一番奥にあった積まれた段ボールの上、そこに封筒が有った。
「嘉島」
後ろから声をかけられる。海馬だった。
「それ・・・・・隼人からか?」
「多分」
俺はそう答えてからリビングに行った。
俺と海馬と虎郷と音河と雅がそこには集まった。まぁ、東先輩がくるはずもないからココにはそのくらいしか居ないだろう。
「・・・・・・手紙・・・・・・読むぞ」
暗黙の了解を受けて俺は読み始めた。
『これを読んでいるということは、まぁ、僕は王城を継いでいるころだろう。ははッ。こんな書きかたしたらまるで僕が死んだような感じだね。
僕は一応ソウメイ君にはヒントを出したつもりだったんだけど、彼は気付いていた無かったようだね。この手紙を書いているのは、今からミヤビ君をWRに引き入れる説得をしに行くって言えば分かると思う。彼女の「ターニング・ポイント」なら僕と同じくらいの頭脳を引き出す事が可能だろう。多分、この手紙を読むきっかけになった、東先輩に達したのは、ミヤビ君のおかげだろうからね。これから、意地でも今日元さんを説得しようと思う。
僕は結局のところ君らを裏切る形になってしまった。どういう結果かは分からないけど、推測できる限りは、君らに命の危険が迫ったか、この家が燃えたとか、君らをバラバラにしようと策略が入ったかのどれかだと思う。大丈夫、僕はそんなことを言い訳にするつもりは無い。だから、お願いだ。
僕に関わるのはやめてくれ。僕に関わってきたら、間違いなく君らは消されるだろう。ここでやめておけば、攻撃される事は無い。犯罪を犯してまで僕を次期後継者にさせようとしていた連中だ。口止めのために殺す事くらいわけないし、その犯罪ももみ消されるに決まっている。まぁ君らが死ぬわけは無いだろうけど。
この事件を追わないでくれ。もう僕からキッパリと関係をなくしてくれ。僕は君らの前には現れない。絶対に。これが僕の最後のわがままだ。
仲間を裏切る形になった事を、とても残念に思う』
「だとさ」
俺はそう言って、手紙を放り捨てた。そして、いつもの隼人のように天井を見上げて、蛍光灯を眺める。
「・・・・・・隼人」
音河は俯く。
「王城がねぇ・・・・・・」
海馬は自虐のように鼻で笑う。
「奏明さん。ヒントに心当たりは無いんですか?」
「・・・・・・あるよ。言われて気付いた」
あんなに必死になって雅を仲間にしようとした事や雅の存在を「僕らに必要」では無く「ソウメイ君達に必要」だって言っていた事・・・・・・。
それらは自分が王城を継がなければならない事を知らしていたのだ。
何より、隼人は「READ TALE」の事件のとき言っていた。
「最後くらいは手伝ってくれよ」
と。
彼が僕に対して言ったセリフ。
アレが間違いなく、彼なりの最後のヒントだったのだろう。
なんというか・・・・・・。
実のところ、ガラじゃない。