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丸く収まったこの世界  作者: 榊屋
第五章 失って気づくこの世界
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06-継承-


「ん?何だ、お前ら。急ぎの用か?」

 と、WRで気の抜けた返事で返してきたのは東 諒その人だった。


「東先輩。訊きたい事が――」

「隼人のことだな。いいだろう」

 見透かしたように東先輩は言うと、椅子を出現させて座り込んだ。

「何かあったらしいな。俺も聞きたい」

 と、何も知らない今日元さんも話に参加して来た。

「音河と海馬が狙われた。それらに隼人と・・・・・・東先輩。あんたが関わっているかもしれない。俺達はそう考えている」

「そうだな。俺と隼人は関わっている。が、それだけじゃないな。あいつらは、嘉島と常盤も狙ったはずだ」

「・・・・・あれもか・・・・・・」

「それが、アイツらのやり方だったわけか。やれやれ・・・・・・どおりで隼人が・・・・・・そうか」

「どういうことだ?」

「それはこっちの言いたいことだな」

 東先輩はそう言って俺を睨む。


「アイツがこうなったのは仕方が無い。でも、アイツは不器用なりにヒントを出していたと思うぜ。助けてほしかったのかどうかは分からんねぇけど、少なくとも後のことは嘉島や虎郷、音河、海馬、常盤・・・・・・お前ら全員に託したはずだ。だとすれば、アイツは間違いなく、ヒントは嘉島・・・・・・お前に多く与えられていたはずだ」

「ひ・・・ヒント?」

 何言ってんだ?

 俺に・・・・・・アイツが・・・・・・助ける?

「何言ってんだ?東先輩」

 心の中で呟いた事を今度は口に出した。

「分からないならそれまでだ。だけど、1つ忘れないでほしいのは、アイツはお前らを守るためにお前らを捨てたんだ」

「捨てた・・・・・・!?」

 何だ、一体何が起こってるんだ?

 いかん・・・・・・脳みそキャリーオーバーだ。

「捨てたって・・・・・・どういうことでしょうか?」

 俺の代わりに虎郷が質問する。

「そのままの意味さ。少なくともこれから隼人はお前らの前に現れない」

「どこにそんな根拠があるってんだ?」

 海馬がそう質問すると

「さぁな」

 と東先輩は答えた。

「さぁな・・・・・・って、隼人と一緒にいたんですよね?何か知っているんでしょ?」

 音河が珍しく怒る様な言い方で質問した。

「何か知っているからってそれが答えではないだろう?答えは必ずしも目の前には無い」

「何を言ってるんでしょうか?ハッキリしてください」

 東先輩の要領を得ない発言に雅が言った。

「威勢がいいな、新入り。そうだな・・・・・・今日元、テレビ出してくれ」

「まぁ、いいけど・・・・・・?」

 首を捻りつつも今日元さんはテレビを出した。こういう大型な物は今日元さんに権限がある。椅子や机くらいは俺達でも意識的に出現させられるのだが、バーカウンターや飲み物は基本的に今日元さんの権限である。

 閑話休題。

 で、そのテレビの電源をつけると、緊急記者会見と書いてあった。


「・・・・・・そんな・・・・・・!」

 画面に映っていたのは隼人。

 そこに書かれてあったのは「王城グループ 次期社長」というプレートがあった。

「何かの間違いだ!そんなはずないよ!だって隼人は――」

 そう言って音河は叫ぶが、その声は当の本人、隼人によって打ち消される。



「僕は次期王城グループの社長を継ぐことをここに宣言します」


 隼人は強い意志を持った目で言った。

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