03-事故-
目の前での事故は、とめることは出来ない。
次の日。12月17日土曜日。
俺は虎郷と一緒に警察に行く事にした。
だが、俺達が龍兵衛さんから聞いた情報は以下だった。
「釈放だよ」
「・・・しゃ・・・・・・釈放!?」
それって・・・・・・?
「え・・・話は訊けたんですか?」
俺は取り敢えず質問した。
が。
「いいや」
と、首を横に振って
「何度も質問したが何一つ口を開かなかった」
と続けた。
「でも、どうして釈放なんですか?警察は48時間は拘留できるし、嘉島君たちを襲った事は間違いないのだから、送検は間違いないし、起訴されてもおかしくは無い状態です」
「ああ。俺も上司にそう掛け合った。が、どうやら上司じゃないようだ」
「じょ・・・上司じゃない?」
「もっと上だ」
もっと上・・・・・警視総監とかか?
「或いは・・・・・・官房長とか?」
「いやいや・・・それは無いだろう」
俺と虎郷は取り敢えず冗談レベルで話していたが、
「有り得ん話ではない」
と龍兵衛さんに言われて少し顔を引きつらせる結果になった。
「ともかく、俺は1人で勝手に捜査する。何か分かったら、隼人の元へ連絡する」
と龍兵衛さんが言って車に乗り込み警察署から姿を消した。
「勝手にやっていいのかな?」
「いいはずが無いでしょうね。それより問題は王城君よ」
「は、隼人?」
どうしてここで隼人の名前が出てくるんだ?
「彼・・・・・・何か隠してるわ」
「何で?」
「今日も彼はいつの間にか何処かへ行っていた。まぁ、今回の出来事とは関係なさそうだけれど」
「ふーん・・・」
いや、しかし俺はアイツから何も感じなかった。俺の右手も感覚も普通だった。
だとすれば虎郷の勘違いである確率のほうが高いけれど・・・・・・。
「・・・く・・・」
歩いている途中に急に虎郷がうなだれた。
「どうした?虎郷・・・!」
まさか・・・・・・見え始めたのだろうか。未来が。
「・・・・・・そ・・・そんな・・・・・・」
そう呟くと虎郷は走り出した。俺の手を掴んで。
「お、ぐ、わぁ!」
無理やりな上急に俺の腕を引っ張ったのでそんなリアクションになってしまった。
「ど、どうしたんだよ!」
「響花が・・・・・・・」
「音河?」
「・・・・・・危ないわ。事故に遭う。結果は見えてないけれど」
「まじかよ・・・・・・」
しかしながら俺は虎郷より明らかに遅いので、このまま手を引かれたまま走るしかなかった。
俺達は5分と経たずに家に帰宅する事に成功した。
「音河!」
「うぉわ!ビックリした!」
中にいたのは海馬だった。
「どうしたんだ?」
「響花はどこ?」
「アイツはさっき出て行ったぜ?何か隼人が呼び出したらしい」
「・・・・・・王城君が?」
虎郷は動きを一瞬止めたが、また走り出した。
「どこに居るのか分かるのか?」
「貴方の右手に頼るわ!」
「嘉島、虎郷!何か手伝おうか?」
「ええ。響花を捜して!」
海馬も参加して、すぐに捜索を始めた。
だが見つけるのにそんなに時間が掛かる事は無かった。
俺達の隣を通り過ぎて行った救急車。
それは交差点に到着した。
そこに倒れていたのは、間違いなく音河だった。
例えそれが、自分の彼女だったとしても。
それが一生トラウマになっても。
それを隠しとおそうと別の嘘をついても。
答えは変わらない。




