02-勃発-
さて、話を突然戻す。
12月16日金曜日の出来事だ。
突然侵入してきた空き巣犯を捕まえて、王城たちが帰ってきてから話を開始する事にした。
そのときすったもんだ有った事はスルーしてみた。
「貴方は一体何者なのかしら」
虎郷がまず質問した。ちなみに海馬と雅は「会議だ。ちょっとこい」と海馬に言われて雅の部屋の整理を始めつつおそらく喧嘩中。誰の所為かといえばまあ俺なんだけど。
「・・・・・・」
口を固く閉ざしている。
「もう一度気絶してもらいましょうか」
と虎郷が言って拳を構えた。
「た、タンマ!」
男は危険を感じたのか叫んで、手を縛られているため足だけで後ろに下がる。
「俺は頼まれたんだって!ここで盗みをしろって!」
「嘘だね」
隼人が即座に言った。
「明らかに30分くらいはココにいたと思われる。その証拠に荒らされていた部分は多いのにも拘らず、何一つ盗まれていない」
「やっぱりもう一度気絶させましょうか」
「わ、分かったよ!本当のこと言うよ!」
どうやら殺意におびえたようで、すぐにそう言った。
「頼まれたのは本当だ!ここに侵入しろって!そしたら誰か帰ってくるから、そいつを傷付けろって!最悪殺してもかまわないって!」
「そんな・・・・・・」
音河が驚く。だが、それよりも気になる。
「・・・・・・それは誰による指令だ?」
「・・・・・・・」
「じゃあ、気絶させるとしましょうか」
「・・・・・・・・・それだけは・・・・・・言えない」
今度は恐怖に屈する事は無かった――いや、それ以上の恐怖があったようだ。それは決意と言うより、逃避に見える。
「・・・・・・響花。龍兵衛さんを呼んでくれ」
「分かったよ」
響花は携帯電話を取って、警察へと電話を掛けた。
すぐに警察が来て、空き巣犯を連行していった。
「どういうことなのかな、隼人」
「うん・・・・・・。多分、誰に指令されたのかばらしたら殺すとか、依頼者に言われていたのかもね」
「にしても、アイツの殺意も凄かったぜ?俺、殺されると思ったよ。元軍人なんじゃないのか?」
「例えそうだとしても私たちにどうこう出来る話ではないわ。警察の取調べの結果で何か分かるでしょう」
虎郷がそう言ってこの話は終わった。
「・・・・・あ。そういえば隼人はどこ行ってたんだ?俺より早く出て行ったじゃないか」
「ん?ああ。寄り道してたのさ」
「寄り道?どこにさ」
「工具店。まぁ結局無かったけどさ・・・・・・」
そしてそこまで言って隼人は少し思案顔になった。
彼があの顔をしたときたいてい事件開始の合図なんだけど。まぁとりあえず放置しておこう。
明日になれば事態は変わるだろう。そう思っていた。
次の日俺達は、とうとう自分の巻き込まれた状態を知った。