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丸く収まったこの世界  作者: 榊屋
第四章 回り廻るこの世界
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後日談-探偵-

 今回で、4章は終わりです。コメディー仕様ですが、これはそのまま5章に続きます。

 今回の章の最初の方を読んで復習しておくと5章を楽しめます。


 それは、12月16日金曜日。週末に突入と言う事で、休みがあることにより少しテンションが上がっていたときの出来事だった。

「こんにちわ。嘉島さん」

 そこにやってきたのは常盤雅だった。リュックサックに荷物を入れて、家の前に居た。

「・・・・・・何やってんだ?」

「今日からココに来ていいって、王城さんから言われました」

「あぁ・・・そうなのか」

「でも家に誰も居なかったようで・・・・・・嘉島さんに来ていただいて助かりました」

「え?隼人帰ってないのか?」

 俺より先に(というかアイツは誰よりも先に)教室を出て行ったのだが・・・。

 まぁそれよりも先に彼女を家にいれることが先決だろう。

 俺は鍵を取り出して玄関の扉の鍵穴に差し込――――。

「・・・・・・」

「どうかしたんですか?」

「泥棒だな」

「え・・・?」

「手伝ってもらうぞ」

 俺は扉に触れた。

「・・・・・・ただの空き巣・・・・・・じゃないかもしれない。明らかに目的を持っていそうだ」

「分かるんですか?」

「俺の能力言ってなかったか?俺は物や人の記憶から情報を収集する。レンズとかだったらそこから見えていた景色とかな」

「流石探偵ですね」

「あと、物体変形とかな。さて、じゃあ俺が扉壊したら真っ直ぐ行ってくれ」

「了解です」

 敬礼のように手を頭に掲げて言った。


「・・・行くぞ」

 俺は左手を構えた。

「驚くよりも先に行ってくれよ?」

「はい」

 俺は左手で思い切り扉を叩く。

 バキッ!

 という音を立てて、扉が吹っ飛ぶ。

 その瞬間に常盤がその脇を通って、目の前に居た空き巣に到達する。

 それで約2秒。何かを言う暇も無く、空き巣犯は捕まった。

「くっそ!」

「何とかなりましたね」

「あぁ」

 安心しきっていると

「おりゃぁ!」

 と、空き巣犯は暴れた。そこで思い出す。そういえば虎郷は強いのだ。だから、小さな体躯の女子が勢いのみで倒した程度では意味が無いのだ。最近の女子対象はギターという飛び道具を持った女子と最強の女子だったから、普通の女子の強さを理解できていなかった。

 結果、立場逆転。常盤が押し倒される。

「くッ・・・・・・!」

「常盤!」

 即座、俺は空き巣犯を突き飛ばす。

「大丈夫か?とき――」

「邪魔なんだよ!!」

 突き飛ばされた空き巣犯はすぐに身を翻して、俺を攻撃の対象にしてきた。

「ぐあッ!」

 相手の方が体ががっしりしていて、明らかに年上。勝ち目は当然無い。

 体を倒された。そしてそのまま首に向かって手を伸ばされる。

「か・・・・・・」

 息を強制停止。さらに呼吸活動も弱くなる。

「やめて!」

 常盤がその空き巣犯に突っかかる。

「どけ!」

 左手を俺の首から外して、常盤を突き飛ばす。

 そして俺の腹を殴ってから立ち上がる。うむ、肺呼吸不能。皮膚呼吸に切り替えれたらなぁ。

「まさかここまで簡単にいくとはなぁ・・・・・・」

 と空き巣犯は言って、ナイフを取り出した。

「死ね」

 言って常盤にナイフを向ける。

 そして、そのまま真っ直ぐ走って、動けそうにない常盤に突っ込む。

 そして――。


 ザシュゥ!


「・・・痛え・・・・・・」

 俺は取り敢えず、手のひらで受け止めた。

「か・・・嘉島さん」

「おいこら、ぶっ飛ばすからな」

「くっ!」

 空き巣犯がナイフを引き戻そうと頑張る。

 が、残念。ナイフは俺の手を貫通して、柄の直前部分まで突き刺さっている。ので、俺はそのまま右手で空き巣犯の手を掴んだ。よって、空き巣犯はそこから動けない。

「左手で掴めばナイフ変形できたのに・・・・・・」

 自分で愚痴を言いながら、俺は左手の拳を固めた。

「ま、待て!俺は命令されて――」

「んなこと知るか!」

 そのまま俺は左手を顔面に向かってぶつけた。

「が!」

 ナイフは俺の右手の平に残ったまま、空き巣犯はぶっ飛んだ。

 そして、リビングの扉に頭をぶつけるとそのまま気絶した。




「大丈夫なんですか?」

 空き巣犯は取り敢えず、しばってそこにおいておいた。後で隼人と一緒に取調べといこう(ちなみに一般人がそんな事すると捕まるよ。良い子はまねしないでね)。

 で、俺の右手を見て常盤が言った。

「あぁ。左手で皮膚を変形させて無理やり止めるよ」

「それはダメです。そういう無理な方法は後で後悔します」

「え・・・・・・あ、あぁ。分かったよ。じゃあ包帯取ってきてくれ。多分台所の近くに救急箱があるから」

「分かりました」

 そう言って立ち上がった。それにしても真面目な女子だな。

 すぐに包帯を取って帰ってきた。

「血・・・止まりますかね?」

「いや、だから皮膚で――」

「ダメです。奏明さんはもうちょっとしっかりしてください」

「分かったよ・・・ってあれ?呼び方変えた?」

「はい。助けていただいたので、精一杯の感謝の印です」

「・・・・・・そうか」

 それで感謝が表せれると言うのも微妙だが、悪い気はしない。

「奏明さんも私のことは雅でいいですよ」

「そうか。俺もそっちの方が楽だ」

 別に恋愛感情ではないので、それでもいいだろう。向こうもそんな気は無いはず。


 そして、ナイフを抜いて(当然痛い)しばらくタオルで血を止めた。まぁ、こっそり少しだけ皮膚で絡めようとしたら、ばれて怒られてしまった。


 しかし、作業に無駄が無い。もしかしたら虎郷より家庭的かもしれない。器用だなぁと思う。


「それにしても、アレはなんだったんだろうな?」

「さぁ。私としたは死ななかっただけ助かったと思います」

「それもそうだな」

「・・・・・・あ」

 雅が俺の右手を掴んだ。

「また出血ですね」

「そりゃ止まらないだろう。仕方ないさ。でもしばらくしたら治まるよ」

「そうですね。では少しの間押さえときます」


 で、そこで登場するのが

「や、ソウメイ君」

「あら、早いのね嘉島君」

「やっほー、雅ちゃん」

「あぁ、きてたのか雅」


 で、4人停止。

 理由は俺の所為かな?雅の所為かな?

 まあ、どちらにせよ2人とも暴れた所為で服が乱れていて、なおかつ雅は左手で俺の右手を掴んでいることだろう。

 ・・・・・・危険の予感。修羅場の危険。俺の本能が言っている。


「いや、僕は何ともいえないけど、ほら、タダシ君の相手だよ?」

「何をしているのか分からないわ。意味が分からない。何をしていたの?2人して。いや、言わないで」

「あー。嘉島君は手が早いね」

「おい、嘉島。どういうつもりだ」

 というか、俺だけ責められている。


「いや、奏明さんは何も――」

「奏明?」

 4人全員反応。

 二度目の停止。


「・・・うん、庇えられないよ、ミヤビ君」

「常盤。どういうつもりかちゃんと説明しなさい」

「雅ちゃん・・・どうなってるの?」

「おい、雅。いつの間にそんな事になったんだ」

 と、雅が今度は責められる。


「いや、雅も何もしてな――」

 あ、墓穴掘った。


 三度目の停止。

「おい、こら、お前らどうなってんだ」

「ちょっと頭がパンクしそうよ」

「2人とも手が早いねー」

「・・・・・・殺す」



 と、空き巣犯の事を忘れて俺達が責められると言う事態。しかも雅は俺の手を放さない。


 せめてもの救いは、音河と雅が笑っていてくれることだった。


 俺としては命の危険を感じてるが。



 第5章「失って気付くこの世界」


 地球が温暖化になってから僕らは行動する。地震がおきてから行動する。指令があってから行動する。自立をなくしているのに気付いていない。

 僕らが物をなくしたとき、僕らはなくしてからようやく気付いて、それから行動するのだ。それは遅いのか。遅くないのか。

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