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丸く収まったこの世界  作者: 榊屋
第四章 回り廻るこの世界
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12-The Explosion-

 まぁいわずもがな。



 僕ぅーが僕ぅーであるためにー♪


 ・・・・・・あと知らない。


「隼人・・・・・・すぐに来い」

 俺は炎を真っ直ぐに見つめながら、隼人へと現状報告を始めた。

『・・・・・・どうしたんだい?』

「大変な事になった」





 事件の発端は海馬だった。

 というか。

「海馬が居ねぇ」

 だった。

「一体どこに行ったんだ?」

「目を離すべきではなかったわ。彼が何かに怒っているのは間違いなかったのだから」

「じゃあアイツの失踪は、アイツの怒りと何らかの関係があるってことなのか?」

「或いは、それ以上かも」

「それ以上?」

 探索を開始しつつ、俺は虎郷の言葉に疑問を投げかける。


「彼の怒りは失踪以上の何かを引き起こすかもしれない、ということ」

「・・・・・・」

 つまり、虎郷はこう考えているのだろう。

 海馬は怒りの矛先である人(或いは物)に対して、何らかの行動を起こす可能性がある・・・・・・と。

 しかし。

「本当に海馬は怒ってんのかな」

「・・・・・・どういう意味?」

 動きを止めて、虎郷はこちらを見る。俺も動きを止める。

「いや、虎郷の言っていることは、多分そうなんだと思う。けど俺にはそうは見えない・・・・・・いや、それだけには見えないんだよ。何というか・・・・・・悔しさとか寂しさとか・・・・・・そういう、他人への強い感情と言うよりは、自分への負の感情というか・・・・・・」

 そんな俺の曖昧模糊あいまいもこな発言を虎郷は咀嚼するように考えた後、

「そう」

 と言って、探索活動に戻った。

 が、もう一度だけこちらを見て、

「私のは一種の勘。あなたのは能力に基づく確かな感情。どちらが正しいのかは一目瞭然でしょう?」

 それだけ言うと、また探索活動を再開した。



「・・・・・・居ないわね。本格的に大変な事態かもしれないわ」

「確かに、虎郷の言うような心情――推測だったとしたら、アイツが何か行動を起こす危険性があるってことだからな・・・」

「私の戯言たわごとは聞き流してくれていいのよ」

「・・・・・・なんか怒ってる?」

 気のせいだといいんだが・・・・・・。

 ・・・・・・。

「否定しない!?」

「・・・・・・」

「まさかの無視!」

 どうやら怒っているようだ。そんなに自分の意見を否定された事がムカついたのだろうか?仕方が無い。ご機嫌を取るためには一体どうすればいいのだろう。こういうのは女子の扱いに慣れている海馬少年を・・・・・・捜さなきゃ!

 いつの間にかループにはまっていたようだ。うーむ。事を丸く収めるには、やはり海馬の存在が不可欠だな。

 そう思いながら、1階のロビーに到着した。


「あ」

 さて、原因且つ、俺の救いの手がそこにはあった。てか居た。


「海馬」

「よう」

 気楽にいつも通りの挨拶をした。


「急に居なくなってどうしたん――――」

「近づかないほうがいいぞ」

 俺の会話を遮るように海馬が言った。


「どうしたの?海馬君」

「これだよ」

 と、片手で1つのプレゼント仕様の箱を持ち上げた。

「これ、時限爆弾なんだ」

「なッ・・・・・・」

「あと5秒で爆発する上に、水銀レバーがかかってる」

「!」

 俺と虎郷は同時に動いた。

 俺は床を破壊して、虎郷は家具を念力で持ち上げる(?と思った方は、第1章を)。電車以来の、バリケードコンボだ。とか言ってる場合じゃなかった。

 コミカルに言うと。

 ぼかーーーーん。

 という音を立てながら、そのプレゼントが爆発した。ギリギリバリケードが間に合ったという感じで、周囲の人々は助かった。が、その人たちの野次馬根性と叫び声の所為で、現状理解という場合ではなくなった。だから取り合えず、俺は携帯電話を取った。



「隼人・・・・・・すぐに来い」





 でも僕が僕であるために必要なのは、


 間違いなく、希望だと思う。


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