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丸く収まったこの世界  作者: 榊屋
第四章 回り廻るこの世界
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10-Doubt-

10話 疑う

「海馬君、どこに行こうとしているの?」

「メンバーに会いに行く」

「そんなことして大丈夫なの?」

「大丈夫だ。問題ない」

「ふざけてないで真面目に答えて」

「・・・・・・大丈夫だ。お前らをアイツらに会わせることが目的だからな」

 海馬は言いながら、話しかけてほしくなさそうに歩くペースを上げた。

 すると虎郷は俺の横に来て、

「・・・海馬君は何を怒っているのかしら・・・?」

「・・・・・・どうやら長柄川って人は、海馬の彼女らしいんだ。だから・・・・・・」

「なるほど・・・内心穏やかではないということ」

「まぁ・・・そういうことだろうな」

「それもそうね。私でもそんな状況なら・・・・・・」

 そこで虎郷は口を閉ざした。

 

 俺は思い出す。木好一也・・・・・・彼女の元彼で、彼の生きがいの根源だった存在にして、彼女をこんな風に作り上げてしまった青年・・・。虎郷との出会いにもなった事件。それの犯人が木好一也・・・・・・。

 あの時、彼女も犯人であった木好さんに対して、怒りの気持ちと悲しみ・・・・・・そして紛れも無く、愛があったはずだ。

 それがしっかりした物であったかは分からないけれど。

 どちらかと言えば、歪んでいた。

 と俺は思うけれど。

 そんなことは俺はが言えることじゃないと、同時に思うのだった。




 しばらくして、建物内の1つのホールに到着した。そこには今のところ1人の女性が居る。

「・・・・・・あ、確か、嘉島さん・・・・・・と・・・・・・そちらは?」

「虎郷です。こんにちは」

「長柄川です。どうも」

 とそこまで当然の流れのように済ませた後、長柄川は海馬の方を見た。


「どうしたの?またココに来て。もしかして、もう1回ここで踊ってみようとか――」

「思わないよ。俺はサッカーをやめるときにここもやめたんだ。俺は元の俺に戻るつもりはない。あの時の俺は今の俺とは違う」

「・・・・・・そう」

 若干暗い感じの空気を悟ったのか

「のどが乾いたわ。嘉島君。ジュース買ってきて」

 と虎郷が言った。

「って、パシリかよ!」

「いいわよ。じゃあ一緒に行きましょうか」

 と、それだけ言って、俺の腕を引いてそのばから消えていった。



 休憩所の自動販売機の前に立って、動きを止めた虎郷。

「どうしたんだ?急に・・・・・・買わないのか?」

「・・・・・・ねぇ、嘉島君」

「・・・・・・?」

「海馬君・・・本当に長柄川さんと付き合ってるの?」

「え?」

「・・・・・・・・・いえ、私の勘違いね。きっと」

 と、納得しない顔でお金を入れて、缶コーヒーを買って、元の道へと歩いていった。



 いや、それより・・・・・・長柄川さんと海馬が付き合っていない・・・・・・?例えそうだったとしても何の問題も無いんだろうけど・・・・・・。

 この疑問・・・は何だろう・・・・・・。何か引っかかる。


「虎郷、どういう意味だ?」

「私はアレがカレカノ関係には見えないのよ」

「・・・・・・でもだからなんだってんだ?」

「・・・・・・いえ、いいのよ、だから。私の興味本位だから」

 と、相変わらず納得していない顔で、俺の発言を受け流した。


「・・・・・・でももし」

 虎郷は呟くように言った。

「そういう関係じゃなかったら・・・・・・海馬君はどうして怒ってるのかしらね」




 今思うとこの時から俺は「レッドテイル」を疑うべきだったのかもしれない。

 




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