03-READ TALE-
今回の題名に説明は要らないと思う。
今回の話は、一応言っておくと別に推理じゃないよ。
5人分作り終えた段階で、ちょうどいいタイミングで、3人が帰ってきた。ちなみに本日の料理は、即席ラーメンと電子レンジで調理できるチャーハンだ。総時間、30分。ガスコンロも電子レンジも3個ずつついているので、早めに調理が終わった。
「ていうか・・・・・・」
帰ってきたメンバーは、あまりに対照的だった。
虎郷と音河は、いい笑顔でそこに居る。親がいないとかそういう境遇から意気投合できるらしく、1番仲のいい友達だろう。今回のショッピングは彼女達の仲をさらに深めたのだろう。
対して、海馬。
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・うん。朝より顔色が悪いね」
彼は、どうやらまた何かがあったらしく、とても顔色が悪い。この間のデートに行ったときと帰ってきた時はいい感じの表情だったのに。
「・・・・・海馬。何かあったのか?」
「いいや。何もない。俺が悪かったんだ・・・・・・俺が悪かった・・・・・・俺が悪かった・・・・・・」
何か催眠術のように自分に言い聞かせている。精神的な重症患者のようになってしまっている。
「とりあえずお昼にしようか」
という隼人の発言で、皆は食事を始めた。
まぁ始めたとはいえ、何か生産的な会話があったわけではない。適当に会話していただけだ。
そして、食べ終わってからようやく話が始まった。
「さて、久しぶりの事件だ」
「事件?」
俺と隼人以外の行動が止まる。
「ヒスイ君は知ってると思うけど、僕らは探偵業もやっているんだ。というか、そもそもは探偵業から始めていたんだよ。7月にソウメイ君と会った所為で」
「奏明だ」
「と会った所為で、東先輩とか今日元さんと関わることになっちゃって、最近はおろそかになっていたからね」
俺の発言を気にせず、話を進める。
一応釈明しておくと、別に俺の所為で事件を解決できていないわけではない。元々、そんなに高い頻度で事件に関わっていなかっただけの話なのだ。
「ふーん。で、俺達もその事件を手伝えばいいのか?」
海馬はテンションを戻して言った。
「できれば、だね。君らの力を借りたいと思うんだけど、いいよね?」
何の問題もないように彼は訊いた。3人も暗黙の了解のように黙って隼人の話を聴くために身構えている。
少し間を空けてから隼人は少し微笑みを持ったままの口を開く。
「まず、今回僕が解決したい事件は、僕一個人の興味本位から来た物だ。だから、これを解決する事で何か利益が手に入るわけではないってことだけ言っておきたい」
そして、隼人はさっき俺に見せた紙を机の真ん中に置いた。
「今回の目標は「READ TALE」だ」
「レッドテイル・・・・・・」
3人の動きが止まる。あれ?もしかしてまた、俺だけ知らないタイプ?
「さっき行った店で、龍兵衛さんに会ってその話を聞いたわ」
虎郷が口を開いた。
「龍兵衛さんに?」
「うん。私は始めて会ったけど、あの人は年齢より見た目は若いね」
「・・・で、どんな話だった?」
音河の関係ない話を無視して、隼人が虎郷に訊いた。最近思うのだが、音河はもしかしたら天然なのかもしれない。そして、そんな音河を隼人は無視することが多い。その時の音河の切ない表情は萌える(もちろん嘘だ)。
「ネット上の噂だったのが、本格的に行動を始めたらしいわ。革命家として・・・ね」
「革命家・・・」
隼人が、思考をめぐらすために顎に手を添える。彼が考えるときの癖らしい。
「・・・海馬」
「・・・なんだ?」
「お前も何か知ってんだろ?」
俺の発言に海馬は眉を動かした。驚いているということだ。隼人たちも海馬に目を向ける。
「・・・・・・お前にはどうせ隠せないな」
海馬は笑った。そして続けた。
「革命軍だかなんだかは知らねぇが、俺は、レッドテイルを知っている」
恋は惜しみなく奪う物・・・らしいよ。
でも出来ない人もいるよね。