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丸く収まったこの世界  作者: 榊屋
第三章 響き渡るこの世界
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15-女王の逆鱗-

彼女の正体を理解した人間は後ずさる。つまり、ステージ上にいた人間だから俺、海馬、虎郷、ジャン、御堂、西条、隼人の7人だ。いや、隼人は動かなかったから6人か。


「あれが……音河響花……!?」

「い、いや……違う。あんなのじゃなかったはずだ!」

ジャンと御堂が言った。すると、音河が笑って

「そうだよ。「これ」が私なんだ。「こんなの」が私の心なんだよ」

と皮肉まじりに言った。


「……何なんだよ…コレは…!!」

西条達3人が背を向けて走り出す。

「こんな人生もういやだ」

音河はギターのピックを持った。

ギィィイイン!ギィィイイン!!ギィィイイン!

ギターの音が鳴る。と同時に何かが飛んでいく。

「!」

 それらは3人の背中に当たる。その衝撃で3人はステージから突き落とされる。突然のダメージに受け身がとれない3人は、そのまま床に倒れたり、椅子に激突したり、階段に顔面をぶつけたりしていた。

 いや、彼らには悪いがもっと大事なことがある。今ギターから飛んでいった物……。

「……隼人…今のは!?」

「……音符…だったね」

俺達が見たのは間違いなく音符だった。


「どうなってんだ?王城」

海馬が焦るように王城に訊く。

「まだ分からない。でも、彼女がどうなっているのかは分かる」

「分かるのか?」

「僕らと同じさ」

俺達と同じ……アクター……。

「隼人…お前なら知ってたんだろ?幼なじみなんだから」

「残念だけど知らなかったよ。つまりは彼女は久しぶりの突発的アウトブレイクってことだ」


と、そこで彼女は動いた。社長の髪を引っ張り顔を上げさせた。

「ほら、見なよ。あの3人は私なんてどうでもいいんだよ?私のことなんか分からなかったんだから」

「…くっ…」

「私の人生を貴方が決めないで」

そう言って彼女は社長を投げ飛ばした。

そして、ギターに手をかけた。っておい。

「ヤバい!!」

 ギィィイイン!

 叫んだときにはもう遅かった。ギターの音色は俺の声をかき消した。何かが飛んでいく。今度こそはっきりと見た。間違いなく音符だった。宙を舞っている社長を狙っていた。


ガギィッ!

音符は社長の居た位置に向かって飛んでいったが、空を切って(音符が空を切るのかどうかは分からないけど)後方にある照明に衝突した。隼人が下に向かって社長を引っ張ったからだ。俺が叫ぶより早く走り始めていたのだ。

 隼人は社長を床において、音河を睨んだ。

「響花……」

「どうして…」

ギターを持って彼女は言った。

「どうして邪魔するんだよ!!!!」

ギターをかき鳴らす。ギターの音色が響いた。

「!」

音符が飛んでいく。隼人が壁に激突する。その後も何10発かがヒットして、壁ごと外に押し出されてしまった。音河はその隼人を追いかけて外にでた。そして、隼人を蹴り飛ばして追い打ちをかける。会場からどんどん離れていく。

「隼人!!」

俺も次いで外に出ようと駆け出した。しかし

「待って、嘉島君」

と、また虎郷に止められた。

「今度は何だよ!」

「彼はきっとワザとダメージを受けている」

「ワザと?」

「ここから皆を逃がすためよ。おとりになって、会場から離れようとしているの」

「そう・・・なのか?」

「たとえそうでなくても、今しかチャンスはないわ」

「・・・分かった。避難を優先させよう」

 俺は隼人の方向を見た。

「!」

 音河がこちらを睨んでいる。そして、猛スピードでこちらに迫ってきた。

「海馬!止めてくれ!」

「あ?って・・・何だってんだ!?」

 100メートル余りの距離を3秒で縮めてきた音河を海馬が止める。

「5秒だけそのままで頑張ってくれ!」

「無理だって・・・の・・・!」

 と言いながら音河を止めていた。

「何で、このタイミングで帰ってきたんだよ・・・」

「私は聴覚は優れている自信があるんだよ」

 音河は海馬を睨む。

「このタイプの女は苦手なんだよな・・・」


 その間に俺は、出口に立つ。そして

「早急に出て行ってくれよ。迷惑だからよ」

 と言ってから、出口を破壊した。

 そこから雪崩のように人が出て行く。気絶した人間は虎郷に運んでもらった。



「大丈夫か!海――」

 声が出なかった。海馬は床に突っ伏していた。そしてその海馬に音河はギターを立てていた。

「・・・・・・海馬」

「邪魔だったからね。壊させてもらったよ」

「・・・・・・!」

 怒り任せに俺は突っかかった。会場の1番上からステージに向かって、一歩で飛んだ。

「君も邪魔だよ」

「失せろ」

 音河はギターを構える。知るか。ぶっ壊してやる。と思った瞬間。

「!」

 音河の姿が消えた。いや、入れ替わったように見えた。

 さっきまで音河が立っていた位置に隼人が立っていたのだ。

「乱暴な真似はよしたまえよ。ソウメイ君。聡明に相応しい性格でいたまえ」

「隼人!?」

 俺は無理やりにスピードを抑えた。どうやら、音河を後ろから蹴り飛ばしたようだ。

「お前・・・大丈夫なのか?」

「まぁ、痛いは痛いけど平気だよ。多分ね」

 と、隼人はこちらを見ずに音河を見ている。

「・・・・・・」

 音河はあまり痛みを感じていないようだ。いとも簡単に起き上がってきた。

「きっとギターを盾にしたんだろう。衝撃が受け流されたような気がしたわけだ」

 音河はスカートについた汚れを少し払って、またこちらを睨んだ。

「・・・隼人も私の邪魔をするんだね」

「・・・」

「いいよ。私は自分の道は自分で決める。隼人が受け入れられないのならもっと他を捜すだけだ」

「・・・響花・・・」

 隼人は構える。


 そして睨んでいる彼女の目を真っ直ぐに見つめて言った。


「大丈夫だ。君を助ける・・・

 


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