08-王の婚約者-
何か友達が誰かと付き合うじゃん。
滅ぶ時を待つのはまぁまぁ楽しいけど、滅んだ後の2人を見てると、痛々しくて仕方がない上に、周りの生活にも支障が出るよね。
というわけで、音河響花の控え室に入った。
「ということは、VIPという立場でよろしいのですね?」
「ええ。そんなところよ」
俺は口下手だし、海馬は
「あのタイプは口説きにくい。相手が居る場合は落とし難いんだよ。愛が純粋であればあるほどに」
と言って、学校での「いつも通りの冷静な少年」を演じている。ので、相手は虎郷がすることになった。
「でも招待状は誰からもらったのでしょうか?席は確か基本的には埋まっていたと思います。招待客の顔は大体拝見しましたけど・・・その・・・皆さんのような特徴的な方々なら覚えているはずなので・・・」
あー。疑ってるなぁ・・・。ちなみに、隼人の知り合いである事は隠してある。そしてあることないこと(主にないこと)を話して、結果的には「VIP」という立ち位置にいるようになってしまった。
「その点は心配要らないわ。彼はいわゆる富豪なのよ。金さえ使えば簡単に入れる物よ」
「はぁ・・・」
そこまで驚いていないようだ。これが別世界か。
「信用してもらえたかしら?」
「はい。信用に値できそうな方々だと感じました」
所々、失礼な人のような気がする。堂々と言えるところが怖いよな・・・。
「自己紹介は・・・しない方がいいわね」
「?どうしてですか?」
「本当に信用されていないのに、自らの素性を明かすのは私は好まないの。行きましょう」
俺の肩をたたいて、部屋を出た。海馬は誰よりも早くその部屋を出た。
「・・・あの」
思わず振り向いてしまう。
「どこかで・・・会った・・・いや、見たことあるような・・・」
「・・・・・・」
昨日のことか・・・。
「・・・昔・・・そう、3年前・・・」
「!!!!!」
俺は急いで立去った。
そこから離れて、これからどうするかを話し合った。
「んじゃ、侵入経路を確認してみるか」
「どういうこと?」
「つまり、その選挙に参加する人間・・・参加者が、仲間を使ってこの会場に侵入してくる可能性があるだろう?」
「あー。それもそうね。では、裏口から見てみましょうか」
・・・。
「嘉島君。どうかしたの?」
「いや、少し気になる事があってな」
「そう。言いたくなさそうだから訊かないで置くわ」
「ありがとう」
3年前か・・・。
その後、危険のあるポイントを見回って、危険物の設置を確認して、11時になったので会場の中に向かっていくことにした。空気はどことなく、緊張した面持ちを否めない雰囲気をかもし出していた。上の世界というものが、如何なるものなのかということを俺は身を持って感じていた。
「・・・・・・大変よ。2人とも」
「どうした?虎郷」
「見えたわ」
「・・・・・・何が?」
「ファントム・ダーツ」
「なっ!」
「これから、4つの事件が起きるわ」
まぁ、人の自由だから迷惑ではないな。
恋愛って言うのは自由なんだろうな。自分を自由に表現することの一環だろうな。