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丸く収まったこの世界  作者: 榊屋
第三章 響き渡るこの世界
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07-王の未見-

 11月19日土曜日。作戦名「Angel」。これは、恋のキューピット=天使 という考えに基づいて、海馬が考えた物だ。俺は悪くないと思っている。

 現在は午前8時だった。婚約者選び―以降はこれを「選挙」と呼ぶことにした―は正午から始まる。まずは正午に、音河響花のピアノ演奏がある。その後、選挙が始まる。その選挙に出るメンバーは4人。音河家が選抜した、「選りすぐりの4人」である。その4人の説明はまたの機会にしておこう。

 で、俺達は隼人に内緒でココにいるのだ。キューピットとは結ばれるべき2人にバレないようにしなければならないそうだ(by海馬)。とはいえ、最終的にはバラすらしいのだが。


「後、4時間もあるんだが?」

「下見だ。他のメンバーがどんな手を使ってアピールしてくるか分かんねぇだろ?」

「どんな手って・・・?」

「つまり、極悪非道な手を使ってくる可能性もあるということよ。例えば、会場内を部下に爆発させ、その犯人を突き止める・・・とかね。わざと事件を起こして、それを解決する事で株を上げようということ。そんな事をしても彼女を振り向かせる事は無理でしょうね」

「・・・・・・なんで?」

「彼女は王城以外を選ばねぇだろうよ」

「・・・・・・どして?」

「お前とは会話したくねぇな」

「貴方とは会話したくないわ」

「・・・・・・」

 つまり、俺は鈍感だから分からないが(多分隼人も分かってないだろう)、彼女は隼人の事が好きだということか。まぁ、恋愛感情はあんまり分からないな。俺、こう見えて「そーしょくけー」だからな。


「でも結局いまからどうするんだ?」

「あらかじめアポはとっているから、先に入れるぜ。隼人達は、控え室から出られないらしいから、鉢合わせの危険性はねぇよ」

「へぇ・・・下準備はバッチリって訳だな」

「では行きましょうか」

 俺達はその声を合図に立ち上がった。

 さて冷静に話しているが、実は今居る場所は、その会場のロビーに違和感バリバリで座っている。海馬はピシッとスーツで決めているのに、虎郷はまさかの着物姿。で俺は、海馬に渡された謎の服。着てみたら分かったが、胸のところが開いたホストのような格好だった(しかも自分で言うのもなんだが、割と似合っている)。貴族と上流と亜流の3人がロビーに座っているのだ。目立たないはずもない。


「まずは、電力室だ」

「そんなところ、関係者でもないのに入れるのか?」

「俺は海馬正だ」

 それが理由になると思っているのだろうか?

 と思ったら入れてしまった。

「ここに爆弾を仕掛けたら1番有効だろうな」

 という俺の言葉に、

「そうかしら?」

 と反論した。

「ここに入れる人間なんてそうそう居ないわよ。しかも、厳重なチェックがあるからそう簡単には成功しないわ」

「あー・・・でも、爆弾作りの能力者だったら大変だよな」

「それこそそんなには居ないわよ」


 で、僕らは外に出た。

 そして最大のミスを犯してしまった。


「・・・あら」

 虎郷がそう言って、見た先には


「・・・こんにちは」

 ある人物が目を丸くして立っていた。


「あの・・・どなたでしょうか?」

 音河響花その人だった。

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