04-王の逃走-
僕らは走り続ける。足に痛みが来ようが、友が先に行こうが、絶対的な自分のペースで。
僕らは走り続ける。自分の真価を問い続けるように。
「ほら、見失った」
すぐに追いかけたが、結局見失う羽目になってしまった。
「何でアイツが気付いたって分かったんだ?」
海馬の質問は最もだが、そんなの1つしかない。
「勘」
「あぁ・・・そう」
うん。そういうもんだよ。
「残念だけど、私の能力でも探索は無理ね」
『こうなれば人海戦術だな』
人海戦術か・・・。
「こうなったら・・・」
俺は携帯電話を取り出した。人海戦術といったら、機動力だろう。
「東先輩。昨日の話しだけど」
【分かってる。OKだ。俺達はいつでも動けるぜ】
「よし。任せたぜ、頭領」
【ああ。行くぞ!てめぇら!】
オォォォ!
という雄叫びが聞こえたと同時に電話が切れた。
「というわけで、何とかなるぞ」
『しかし、いくら暴走族といえど、街中でバイクは走らせまい。特にあの頭領は、人に迷惑をかけない主義だからな』
「・・・・・・そうだな。じゃあ今日元さん。監視カメラの映像で捜してください」
『残念だが、俺は完璧じゃない。方向音痴だから、どのカメラがどこなのかもわからない』
・・・・・・若干万事休す。少しだけ打つ手無し。
「・・・はぁ・・・」
海馬が溜め息を吐きながら携帯電話を取り出し、電子板をいじり始めた。
「あ、もしもし・・・。あ、いや、それは・・・うん。ごめんなさい。で、頼みがあるんだよ。あ、いや、あのそれは・・・・・・うん。それは分かってる。・・・・・・え!・・・わかったよ。約束するよ。で、この2人を捜して欲しいんだよ。あぁ、頼んだ。・・・・・・え!?いや、今・・・友達といるから・・・・・・分かってるよ。約束は守るから・・・。うん、じゃあな」
で、通話を終了した。何か顔が青ざめている。マンガで言うと3本線だ。
「もうすぐ・・・見つかるから。うん。・・・はぁ」
「・・・・・・電話の相手は・・・訊かないで置くわ」
「・・・・・・ありがとう」
で、海馬の電話が鳴った(海馬はビクッとした)。
「・・・・・・おう分かった約束は守りますハイ」
一気に言って、無理やり電話を切った。
「・・・・・・見つかったぞ」
うむ。海馬にも秘密がありそうだ。何か、友達の秘密がどんどんと分かってくるな・・・。隠れた性格を知れて楽しいな・・・。
さて、『追跡』『盗聴』『逃走』とくれば、ようやく、『尋問』だな。但し、『王への』だけどな。