02-王の追跡-
「・・・・・・」
ガチャ・・・。と、静かな音を立てて玄関の扉が開いた。
「わざと音を少なくしているわね」
「まぁ、推測はぴったり一致だな」
『外側に来たぞ。まずは俺が追いかけるから、後から嘉島は来てくれ。虎郷は見た未来を元に先回りをよろしく頼む』
海馬が電話で言った。
「了解したわ」
「う~っす」
何か凄い格好良いことをしているように見えるが、そうでもないことに気づけ俺達。何か凄くしょうも無いぞ。しかも、3人ともサングラスをしている。うん、後で外そう。
「じゃあ、先に行く」
1分程して、俺も外に出て海馬の気配を感じ取りつつ追いかけた。すると、街中の方に向かっているようだった。
「どうだ?海馬」
「あぁ。どうやら誰かと待ち合わせているようだな。街中の方向に向かっているから、喫茶店で間違いないだろう」
「そうか。よし」
俺は、隼人の方に意識を働かせる。遠距離でも、特定の事にのみ意識を全力でやればなんとかなるものである。それで、振り向くかどうかを確かめる。
「・・・よし・・・何とかなったな」
と、そこで電話が鳴った。
『嘉島君?どうやら、街の東南の方向にある、最近有名な喫茶店の予約席に誰かを待っている女子がいるわ。恐らくそこでしょう』
「わかった。取り敢えずその女子の動向を見といてくれ」
『了解したわ』
向こうから電話を切った。一応言っておくと、電話を掛けた時は、掛けた方から切るのがマナーだ。
「どうだ?隼人は」
「そこの角を曲がった。追いかけるぞ」
と、海馬が少し早足になった。ので
「待て」
俺は、海馬の肩を掴んだ。
「アイツは今こっちを見てる。何かを悟ったらしい。先回りして俺達も待機だ」
「・・・・・・分かった」
虎郷は外にいた。
「あら、来たの。王城君は?」
「ココに来る事はほぼ間違いないから、先回りした」
「そ・・・。あ。来たわよ」
その言葉どおり、その本人は来た。取り敢えずは物陰に隠れる。
彼と、その女子の席はショーウィンドーのように外から見えるようになっている。
「中に入ったな・・・。外から見える範囲だな。ここでいいだろう」
「そうね」
ふむ・・・。一体何の話をしているかは分からないが、まぁ、あの女子の正体が分かれば――
「あ」
思わず間抜けな声が出た。
「どうしたの・・・。あ」
虎郷も同様だった。
「何か有ったのか?あ」
海馬も同じ反応だ。そりゃ唖然とするだろう。その女子は隼人に向かって抱きついていった。隼人もそのまま受け止めていたのだ。そして・・・・・・
「あーあ」
またも間抜けな声。
「・・・クスッ」
虎郷は笑った。
「まさかの展開だな」
海馬も笑いながらそう言った。
俺の口からは言いにくいので、昔風に言うと(そこまで昔ではないし、今でも言うかも)、
2人は口づけをした。
コレは話も聞かないとな・・・・・・。
うん。何か最近、僕のキャラ崩壊です。
あぁ・・・何か自分で自分が嫌になってきた。
秘技:忍法:記憶喪失 さらに 現実逃避を召喚する。