17-目的-
第二章終了。
もちろん、後日談もありますよ。
「お前が自ら引き入れてくるとはな」
「ということで、受け入れてくれますね?」
「それはそれ、これはこれだ。何の能力かも分からない、どこぞの馬の骨をおいそれと仲間にするわけにはいかないな」
「信用は出来ますよ」
「俺もそんな感じはするけど、それもそれ、だ」
WRで、俺たちは会議をしていた。議題は当然、『海馬正の引き入れ』について。まぁ、会議とは言っても、今現在は、バーのカウンターに座っている。
「でも今日元。俺は、嘉島の言っている事を尊重するべきだと思うぜ。コイツが少しでも仲間じゃなくても、友達という形でも、俺たちをそう見てくれりゃあ、それは良い事だろう?」
「・・・・・・そうだな」
東先輩の意見を聞いた今日元さんは、海馬の方を見た。
「まだ話してないからよく分からないけれど悪い奴ではなさそうだな。それはともかくとして、アイツは何の能力・・・・・・アクターなんだ?」
「珍しい事にオリジナルだそうです」
今日元さんの問いに隼人が答えて、皆が海馬の方を見た。当の本人はダーツの矢を持って、ダーツ板に背を向けて座っている。
「見ていれば分かりますよ」
虎郷が今日元さんにそう伝えると同時に、海馬はダーツの矢をそのままの状態で板に向かって投げる。中心に突き刺さる。さらにもう1本投げると、それは中心に刺さった矢の後ろ側に突き刺さる。さらに、同じようにもう1本投げ、同じように刺さった。
「・・・・・・御見事」
今日元さんが、感嘆の声を上げた。
「『サデンリィー・ラック』だそうです。予測不能な事態に対しては対処できないようですが、運の良いという能力ですよ。十分な逸材です」
「・・・・・・海馬っていう人ー」
今日元さんが、手招きで海馬を呼んだ。海馬は急遽呼ばれた事に驚いたようで、今日元さんの前に立つと、驚いた顔をした。
「美しい・・・・・・」
・・・・・・まさかの事態。何に驚いているんだコイツは。
「は?」
今日元さんはもう一度驚く。
「嘉島、この人がリーダーか?」
「・・・まぁ、そうだ」
「名前をお教えいただけないでしょうか?」
「今日元・・・・・・終・・・・・・」
「今日元さん・・・ですか。あなたのような人間に出会えなかったとは、俺は不幸ですね」
「え・・・あ、あぁ・・・」
今日元さんが反応に困っている。ペースを乱されているようだ。
「で、一体何のようですか?」
「・・・・・・えっと・・・・・・」
今日元さんは、 ゴホンッ と1度咳をして、
「お前に対する質問だ。それで受け入れるかどうかを決める」
「何なりと」
「俺たちを利用しあう目的は何だ?」
目的・・・・・・つまり、俺たちが利用しあう理由・・・・・・か。だが、彼を引き入れようとした時、目的が無いという話もした。今までの話を聞いて、彼に目的が出来たとも思えないけれど・・・・・・。
「・・・・・・この世界は、俺なら好きなように生きていけると思っていた。でも、嘉島や王城、虎郷が価値観を変えた。俺には未だ予測不能なことが起きる。お前らといると、異常事態って感じだ。でもだからこそ俺がコイツらと付いていけば面白そうだ。つまり、俺の目的は」
海馬はそこで笑った。
「運試しだ」
「合格だな・・・」
彼にとっては何もかもが偶然なのだろう。
幸運な偶然。
偶然がもたらしたこの世界というのは、彼には1番的を射ている。
でも。
それだからこそ。
俺達との出会いだけは、偶然でないと信じたい。
最近、1時間しか執筆時間がないので必死です。
更新がたびたび遅れます。
2作品書いてるという点で、了承をお願いします。