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丸く収まったこの世界  作者: 榊屋
第二章 運が定めたこの世界
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13-まとめ-

相変わらず、まとめは嘉島ではなく「俺」が担当する。



彼に重い話をすれば、能力で心が折れるだろう。彼の能力は人の心が読めてしまう。感受性が豊かなんだから。彼の能力はとてもやさしいんだから。




 さて、いつもどおり、話のまとめを言っておく事にしておく事にしよう。

 海馬正の過去の話には、彼自身も気付かなかった事実が数多くあった。もちろん、真実を言うのに俺は吝かではないが、但し、傍観である立場の「俺」がそれを語ってしまうというのは、どうだろう?という気がするので、ココからは隼人の推論を俺の口で言わせてもらう事にしよう。まぁ半分以上は正解なのでいいだろうと思う。俺が知っている情報も付け加える。




 彼がまだサッカーをしていた当時に、宝くじが当たった。

 彼の能力は、初めて宝くじが当たった時にはまだ無かった。あれは、単純に彼のパーソナリティとして、それこそ普通に「運が良かった」のだ。だから、その当時はまだ普通の家庭環境を保っていた。しかし、それが原因でもあったのだ。

 2億もの大金があれば、欲が増すのは当然のこと。彼の父親はギャンブル等に走り始めた。結果、海馬家は破綻した。そして海馬は考えた。思った。

 「俺がもっと願えば、こんなことにはならなかったんじゃないのか。家族の運がよければ・・・俺の運の良さがもっと良ければ、こんなことにはならなかったんじゃないのか。もう1度宝くじが当たるだけのパーソナリティが俺にあれば良かったんじゃないのか」と。

 これが1度目の家族の崩壊。母親は離婚した。父親の立場の人と。


 海馬はサッカーをやめた。


 海馬の母は再婚した。海馬は前の父も今の父も「父親という立場の人間」と称していた。会社の人間の前では、印象良くしていたが。まぁそれでもこの家庭はまた、普通に良い家庭だった。何の問題も無い、むしろ以前よりもいい環境を作り上げていた。


 苦あれば楽ありとはよく言ったものだ。


 苦しみを越えてきた彼と母親には楽しみがあったはずだ。が、長くは続かなかった。


 楽あれば苦ありとはよく言ったものだ。


 理由は大人になれば誰しも1度は挑戦するであろう、そう「宝くじ」。またも宝くじだった。そして、運の悪い事に、運良くそれが当たってしまった。海馬は自分には運がいいというパーソナリティがあることを悟った。

 だが、それが2度も当たった――運悪く当たってしまった――ことの証明にも言い訳にも理由にも原因にも同情にも金にもなるとは思えないが。


 そして、彼は思った。

 このままじゃ、また破綻する。俺はまた何か失う。運が悪い。運良くも運が悪い。このままじゃ俺は家族を・・・母親を失ってしまう・・・・・・・・・。何とかしないと。

 家庭を滅ぼさないためには、宝くじを当て続ける事。

 そこまで考えたとき、彼は9歳だった。

 父親(の立場の人)と一緒に、あらゆるくじに挑戦した。もちろん100パーセント当たるようなことは無かったが、それでも、生きていくには十分な物だった。

 だが、それで父親も分かった。こいつには才能がある、と。

 そして、それを使って金を集めるという目的を行った。

 そういう状況まで予測していなかったため、彼の運は思ったより作用しない。父親は切れる。理不尽な怒りをもって。

 海馬は考えた。このままでは、母親が崩れる。家庭が終わる。それはダメだ。

 



 そして彼は、願った。常人が持つような運を求めるような以上の願いだ。


 「母親を守れるだけの運の強さが必要だ。俺に・・・それだけの力を」


 結果、家庭は別の形で崩壊した。

 物欲、金欲にまみれた。






                    母親も



  






本末転倒が今回の話のオチだろう。どうしても俺はそう思わざるを得ないんだ。




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