02-世界一驚く者-
謝罪文はあとがき。
「!!」
目覚めると幾度目か分からないが、いわゆる既視感という物だろうか。
体を起こすと、白い壁が見えた。
病室だろう。
えっと、どうして俺はベッドで寝ているのか……。
「起きましたか」
声の方向を見ると、看護婦さんが居た。
「何故か玄関の前で倒れていらっしゃったんですよ。取り敢えず、危なかったのでこの部屋へと連れて行きました」
「……何で、倒れていたんですか?」
「さぁ……きっと巻き込まれたのでしょう」
「何かあったんですか?」
「こっちが聞きたいくらいですよ」
少し冷たげに看護婦さんは言ってから部屋を出て行った。
「……?」
どういうことだろうか……。
「コイツは……!?」
俺の疑問は瞬間的に一蹴された。
ロビーの前が倒壊していた。これでは病院に来た人も入れないだろう。
何があったのかを周りの人に問いただしたところ、大体要約すると、男たちが争いを始め、その際倒壊した建物の下に俺がいたということだ。
つまり男たちが争っている最中に俺が表からロビーに入り込もうとしていたということなのだろう。
……いや、いくらなんでも慣れ過ぎだ。
自分に向かって言い放つ。
「常人の人間が、普通に争って建物が壊れるはずがない。銃火器を使ったのだとすれば警察はすぐにわかるだろうが、混乱しているところを見るとそう言う様子ではない。つまり、そういうことだ」
ひとり言のようにつぶやいてから帰宅の道から遠ざかるように隼人の家に向かった。
「……!!!」
二度目の驚愕。
隼人の家の中に入ると、もぬけの殻だった。
家具や荷物は置いてあるが、誰の姿もない。
そして何より部屋の中が荒らされていた。
水で濡れているところや乾いているところ、燃えているところや凍っているところまである。
『何かがあった』
そうとしか思えない。
「どういうことだ……!?」
俺がリビングに一歩足を踏み出すと、
「あぁ……誰だぁ……お前は……」
暗闇から声が聞こえた。
「誰だ!!」
「……あぁ、お前は嘉島奏明だったか……? 忘れたがぁ……」
男はソファに座っているようだ。
「お前……アイツらをどうした!!?」
「とぼけるな……貴様らが先に察知したんだろうが……。単刀直入に聞くぞ……奴らはどこだ」
「何だと……!?」
「その様子だと貴様は知らないようだなぁ……役に立たん男だぁ……」
そう言ってソファから男は立ち上がる。
「貴様には用はない……さっさと消えろ……」
「そう言うわけにはいかない……!!!」
こいつは間違いなく敵だ。そうでなくても危険因子だ。
「……敵だと思うなよ、俺を」
「は……??」
「正義を振りかざした者同士がぶつかり合ったその時……相手を敵だと思うのは……自らのその後に責任を持てる物だけだ……」
「何を言って――」
「俺たちに勝ったとして……貴様らに今後を救うことはできない……それでも正義と正義がぶつかるとすれば……その地点が戦争だ……」
「…………」
「俺たちはジャスティス。そのまま正義だ……。俺はNO.7」
ナンバーセブン。
そう言った発言を聴いて、一致する。
「お前!!!」
男は右手を突き上げた。
右腕に雷が走ったように光る。
顔を見るのは初めてだが、間違いなく知っている男。
そして雷という存在。
「道理場……瀬文……!!!」
「……お前はここで……消えてもらう」
おくれてごめんね☆