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丸く収まったこの世界  作者: 榊屋
第七章 戦う未来とこの世界
321/324

後日談-気絶-


 久々の投稿となりました。


 本当に申し訳ないです。


 もし愛想を尽かしていなければ、これからもよろしくお願いいたします。


 さてさて。

 こうして選挙は幕を閉じ、本来の意味での宴会という形で、俺たちはまたシオさんの家を訪れた。

 海馬と楊瀬さんは二人で何か語っていたし、虎郷とシオさんは最終的には仲良くなっていた。隼人と一条字先輩は二人で何やら会話している。後のメンバーも適当にそれぞれ話している様子だった。

 と、遠目で見るようなことができるのは、俺はその輪の中から外れて縁側に座り込んでいるからだった。

 平和だなぁ、と思った。


 思えば最近忙しすぎたような気がする。

 夏休みに入ってから、今まで。

 ずっと走って、止まって、ぼろぼろになって。それを続けてきた気がする。

 まあ、ボロボロになってって言っても、俺はあんまり怪我もせず過ごしてきたわけだけど。


「どしたよ?」

 そう言って俺の隣に来たのは華壱だった。

「みんな楽しそうだなぁ、と思って」

「ん? ああ、そうだな」

 そう言って華壱は笑った。

「お前は楽しくないのかよ」

「いや、楽しいさ」

「何ていうか、俺が言えたことじゃないけどさ」

 そう言って華壱はコップに入った水を飲んでから言った。

「お前って観察しているような目をしてるよな」

「観察?」

「何ていうんだろう……誰かに伝えるために、カメラのレンズみたいな写し方をしてるなぁって」

 どういうことだろう。

 それは、俺が語り部だから――ということだろうか。

 いや、違う。それは、一種のメタ発言だから。

「ま、俺もよくわかんねぇけどさ。もう少し素直に行動してた方が、人らしいぜ」

 そう言って華壱は元の輪の中に戻った。


 カメラのレンズ。

 誰かに伝えるように。

 俺は自分が見てる世界を――映像を誰かに伝えているのか?

 ……そんなはずがない。それは分かっている。だが、可能性はある。

 『ムービー』

 つまり、映像。

 それが俺の能力なのだから。


「ではそろそろお開きとしようか」

 シオさんの発言が聞こえて、ハッとして目を移す。

「え」

 そこには不思議な光景というか……あってはならない光景があった。


 倒れている華壱と雅と音河。気分悪そうに口を押えている楊瀬さん。朦朧として顔を赤くし、周りを見ている隼人とシオさんと海馬。しっかりとした面持ちでその状況を見ている虎郷。

 そして、机の上に置いてある一升瓶。


「……おい」

「何かしら」

「これは……」

「間違えてお酒を飲んでしまったようね」

「何でそんなに冷静なんだよ!!」

「一口口に含めばみんなわかるだろうと思っていたのだけれど、私以外は誰も気づいていなかったようね」

「だから、何で実況見分してんだお前!!」

「まあ、何とかなるかなぁと思って」

「お前……ハァ……」

 俺は携帯電話を取り出そうとして、縁側から立ってポケットの携帯を取ろうとすると。

「……え」

 目の前が軽く眩んだ。

「貴方も飲んでたのよ? 気が付かなかったの?」

「……マジかよ」

 その発言を終わりに膝から折れて、俺は体を地面に伏した。


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