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丸く収まったこの世界  作者: 榊屋
第七章 戦う未来とこの世界
318/324

59-まとめ-


 いつも通りのコーナーですね。


 定番です。


 次の日。

 俺と隼人は病院に向かって歩いていた。

「ヒート・アップ」

 隼人はその道中で俺に説明を始めた。

「一条字先輩の能力か?」

「うん。経験値っていうのが正式名称だ」

 経験値、ということは、だ。

「それが能力なのか?」

「ん、まあそういうこと」

 隼人はそう言うと、少し歩くスピードを緩めて、手に持っていたお見舞いの品を持ち直した。

 俺はビニールの袋なので、持ち直す必要はないが隼人に合わせて歩くスピードを緩めた。

 隼人は一条字先輩の能力の説明を始めた。


「簡単に言うと進化の能力だ」

「経験して、進化していくってことか」

「そういうこと。相手の攻撃を受けて、相手に攻撃して、相手の動きを観察して、相手の言動を聞いて、相手を推し量っていく……そうして、自らをどんどん高めていくのさ」

「戦えば戦うほど強くなる……サイヤ人みたいだな」

「まさにそれは言いえて妙さ。『負けても強くなる』。だから最強になれる能力なのさ」

 つまり。

 世界最強の人物に対して、戦いを挑み、負けたとしても――何度負けたとしても、最終的には超えれる。そういう能力であるということか。

「ってことは普通に最強なんじゃないか? 絶対負けないだろ。あの様子から見て、『戦っている最中にも』進化するみたいだからな」

「いや、全員が優しい人なわけないでしょ」

「はぁ?」

「一発で殺せばいい。それだけの話」

 隼人は自然な流れでそう言った。

 ……一発で殺す……。それに、『それだけ』って……。

「まあ、能力自体はそんなところだけど、今までに色々な修羅場を超えてきたんだろうね。一条字先輩はかなり強かったよ」

「流石は若頭ってことか……」

「次に僕が戦ったらまず間違いなく負けるだろうね」

「ああ、そう言えば」

 隼人に聞きたいことがあるんだった。

「お前、何したんだよ」

「ん?」

「最後だよ、最後」

 一条字先輩を倒した時――あの時に何をしたのかが分からなかったのだ。

「……ああ」

 隼人は思い出すように呟いた。

「普通に走って近づいて殴っただけだろう? なのに一条字先輩は何もできなかった……あの能力の穴を通ったんだろうけど、結局何をしたんだよ?」

「いや、あれは一条字先輩の意識を逆手に取っただけなんだよ」

 意識? 能力じゃないのか?

「あの時一条字先輩が僕から大きく感じ取っていたのは圧力や威圧だったろう? だからそれらすべてを捨てたんだよ」

「捨てた?」

「正確に言うなら、その場に置いた、だね」

「置く……?」

 訳が分からない。何が言いたいんだ。

「んー、イメージとしては、圧力や威圧感を僕が立っていた場所に置くことで、一条字先輩としては僕がそこに残っているようなイメージを持ってしまったってことかな」

「そんなことができるのか……? 初耳だぜ」

「僕だって初体験さ。できると思ってしまった自分にも驚いてしまうよ」

「おいおい……」

「僕にもよくわからないけど、これも進化の形なのかもしれないね」

 そう言って隼人は笑った。

「……で、選挙は一応終わりを迎えたわけだけど……」

「最終的なところがまだだから、まあその辺も今日決めるとしようか。ちょうどよく、到着したしね」

 隼人がそう言ったので俺は前を見る。

 見ると目の前に大きな病院の建物があった。

「お待ちしておりました」

 声が聞こえたと思うと、楊瀬さんが居た。珍しく、チェックのシャツに黒味のジーンズ姿というゆったりした格好だった。


 そう。

 ここには一条字先輩とシオさんが入院しているのである。


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