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丸く収まったこの世界  作者: 榊屋
第七章 戦う未来とこの世界
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53-宮殿-


 隼人は静止した。

 自分の置かれた状況が理解できていないらしい。

「さぁ、やるぞ貴様ら。まとめてかかってこい」

 気圧された。

 俺たちは、体には出さなくても全員、後ずさった。

 この状況に恐怖した。

 蛇に睨まれた蛙。もっとも、目の前にいるのは人の姿をしたライオンだが。

「なんだ、こないのか?」

「……相手の能力も分からず突っ込むわけにはいかない……冷静な判断だと思うが?」

 何とか対等な状況を保とうと、俺は言った。

「何を言っている。それはこちらもほぼ同じだ。そして王の前でその態度をとる以上、もっと自信満々に話さなければ説得力などないぞ」

 そう言って一条字先輩は近づいてくる。

 一歩踏むたびに地響きがする。地面が唸り、空が叫ぶ。雲は急に空を覆い始め、昼だというのに闇を作り上げた。

 何だ。

 何なんだ。

 この威圧感は――まずい。

「嘉島!!考えるより先に動け!!」

 そう言って海馬は走り出した。雅も次いで走る。

 一条字先輩の顔面と膝の両方を同時に狙う。海馬が顔面に拳を飛ばし、雅が足払いのように膝を薙いだ。

 が、まるで予測していたように一条字先輩は、海馬の拳を避け、雅の足を靴底で止めた。

「!?」

「経験の差だ。残念だったな」

 一条字先輩はその位置から、海馬と雅の腕をつかんで、ぶん回して放り投げる。

 屋上の外へと。

「やめろ!!」

「止まらん」

 そう言って一条字先輩は投げとばした。

 驚愕と威圧で停止してしまった2人は難なく飛ばされてしまった

「楊瀬、貴様が助けることは許さんぞ」

 先にそう釘を刺して、一条字先輩は楊瀬さんを見た。楊瀬さんも動くことはできない。

「くっそが!!」

 俺は手を構えて、キングダムを使おうとする。しかし、

「させるか」

 そう言った一条字先輩が俺の腹部に蹴りを一発入れた。

「ぐ……」

 俺は一条字先輩との近接戦闘を開始する。使うのは虎郷の近未来予知。

 これでおおよそ避けれる。

「隼人!!早く、キングダムだ!」

「…………」

「早く!!しろよ!!」

 いくら叫んでも隼人の耳には届かない。

「虎郷、ここを頼む!!」

「ええ」

 俺は飛び上がって、虎郷と交代する。

 一条字先輩も戦闘専門の虎郷には苦戦するだろう。今のうちに海馬と雅を。

 俺は柵を見下ろす。

「退け!!」

 何かに乗った海馬と雅が鼻先をかすめて通って行った。

『スイッチNo.24 ブレイド』

 そう言う音共に、それは降り立った。

「雅、蹴り飛ばせ!!」

 そう叫んだ海馬は、それを雅に投げた。

 雅はそれをスパイラルで蹴り飛ばす。


「!?」

 一条字先輩は突然参入してきた謎の刃を避けるために、後ろに飛び上がる。

「……ほお、そう言えばその存在を忘れていた」

 そう言って一条字先輩は、咆口から刃を覗かせている大砲を見下ろした。

「まだまだここからだぜ」

 


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