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丸く収まったこの世界  作者: 榊屋
第七章 戦う未来とこの世界
310/324

51-宮殿-


 前述した内容と異なることもあるかもしれませんが、きっと大まかなところはあっているので何ら問題ないかと。


 異なる点があった場合お知らせください。



 ここで一度キングダムという能力について再度説明しておくべきだろう。そうしないと説明しにくいし、俺自身整理がつきそうにもない。

 キングダム。

 隼人の能力である『シンキング・キング』――『超脳力』というのは『思考の王』ともいうべきで、考えや思いにおいて頂点にあたるということである。

 キングダムはその王が自らの考えや思いを何にも邪魔されることなく述べるために威圧によってその空間を支配する――支配された空間は物体すらも超越し真っ白な世界へとその場所を変える――という能力だ。言ってしまえば『超脳力』の奥義といったところだろうか。

 それが去年の冬、具体的には12月に進化し、戦闘向きの技に変わった。

 詳しくは述べれないので簡単に。

 今まではキングダムの世界ではダメージという概念が無く、隼人が攻撃しようが対象者(この空間に入ることを許された空間、物、および人間、複数人可)が攻撃しようが意味はなく、前述どおり、『物体すらも超越する』ため、空中だろうがコンクリートの中だろうがキングダムの中ではただの空間と化す。

 そのキングダムが進化して変わったのは極論的には「ダメージ」についてだ。

 王である隼人の攻撃のみ意味を為し、使った瞬間に『味方』に属する対象者のダメージを0にするという者だ。

 つまりこの力――最強である。



 但し、この力に対抗し、勝利を収めた者がいる。

 こんな言い方をするとまるで自画自賛したように聞こえるかもしれないが、俺だ。

 キングダムに対して俺がしたのはキングダムだった。

 ムービー。

 仲間の力を全て使用できるという力。もちろん使えるタイミングは限定されるし、そのタイミングも本能的にしか理解できない。つまりテストで隼人の運や虎郷の予知、海馬の運、音河の耳、雅の機転は使えない。まったくもって腹立たし。

 閑話休題。

 キングダムに対してキングダムで返すことで、俺はキングダムを相殺することができた。

 威圧感に対して威圧感で対抗したということだ。


 そしてこの状況。

 隼人と一条字先輩は俺たちの存在に全く気付いていないようだ。

 こんな場所で戦っていたのなら扉が急に開いたら警戒するだろうし、勝利を収めた敵はここに帰ってくることを両者ともわかっているはず。

 特に一条字先輩は自らの仲間が負けることなんて簡単に想像しているはずだ。

 だとするとこの状況が出来上がるのは、『気付いていない』という事しかありえない。

 ともすればこの空間はキングダムではないかという推測が成り立つわけだ。

 しかし、そこに一つの疑問が浮かぶ。

 キングダムだとすれば、この空間はこんなに破損するはずがないし、一条字先輩だけでなく隼人までボロボロになるなんて言う状況はありえない。

 だとするとこんな状況が出来上がる可能性は一つしか考えられない。


 キングダムという一対一の空間を維持したまま、一条字先輩は『威圧』という手段で対等な力関係を作り上げている。


「ってことになる」

 俺は言って海馬たちを見る。

 全員黙って俺を見ていたが、

「……そんなことよくわかったな……」

 と海馬が口を開いた。

「雅の機転と隼人の脳を使わせてもらったよ」

 どうも必死に俺が頑張ると『ムービー』が反応してくれるということもあるらしい。

 テストのときは反応してくれなかったのに。

「となると今私たちが何かしても意味はない、というわけね」

「だな」

 見守るしかない。この状況を。

 そう思っていたのに。


「何だ……外に貴様の仲間が到着したようだな。なるほど、俺の駒は全て落ちてしまった、というわけか」

 一条字先輩が口を開いた。



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