43-宮殿-
昨日書いたら、データが消えてやる気をなくしましたが、今日頑張って書きました。
「うぉわ!」
俺は叫んで後ろへ飛んだ。
乱さんはなんと、シオさんと同様で刀を使っていた。さらに同じ所を挙げるなら、鞘に収まった刀の方は遣っていないというところだろうか。しかし彼女の場合は単に二刀流という様子だった。
「刀運が悪いって言うか……なんていうか」
俺は苦笑を浮かべながら彼女を見た。
「いくらなんでもいきなりってのは卑怯じゃねぇか?」
「私は負けるわけにはいかないのですよ。代理である以上は、敗北は許されない」
「なるほどねぇ……そして、さっさとやらないといけないと」
「そういうことです」
彼女はそう言ってさらにこちらに向かってくる。俺は横っ飛びに地面をけって教室に転がり込んだ。彼女も俺の姿を追ってくる。そして俺の視界の中に入ってきて刀を振るう。
しかし、
「!?」
キンッ!という音がして刀は押し返される。
俺は左手に金属の棒を持っていた。それは机の脚を左手で分解して作った、長くも短くもない程度の棒だった。
「そう簡単に負けるわけにはいかないんでな」
俺の発言を聞くこともなく、そのまま彼女は俺の首元を刀で狙ってくる。俺はそれを避けるようにして、体をよじる。それから左足でがら空きの横腹に蹴りを入れた。
予想通り。戦闘慣れはしていなさそうだ。ただし刀の使用は常人とは一線を画しているため、油断は大敵だろう。
「……さてどうしたものか」
俺はそう言って、彼女を見下ろす。
「仕方がない」
彼女はそう言うと、ブレザーの内ポケットから何か取り出した。
拳銃だった。
「……は?」
俺は後ずさる。
「おま……そもそも刀だって銃刀法違反だろ!? その上ピストルって……!?」
「忘れたんですか? 私は選挙管理を担当しているんですよ?」
そう言って彼女はにやりと笑った。
「この選挙においてのみ『治外法権』を適用する」
そう言って引き金を引いた。
俺の背後で窓ガラスが割れた。
「次は当てますからね」
「……さてと」
俺は死にたい気分を抑えて、生きる道を探し始めた。
「旋風!!」
「旋回!!」
雅の回転蹴りと華壱の振りまわした棒が同時衝突する。
「く……!!」
「チッ……!!」
遅れて風圧がやってきて、瞬間2人はお互い吹き飛ばされる。
「どうなって……」
「どうしてただの木の棒で蹴りが受け止められるのか、か」
そう言って華壱は棒を振り回す。
「簡単な話さ。オイラは測定しただけだ。お前の足の長さ、蹴りの威力、癖、弱点……それらから判断した位置にオイラの攻撃を置けば、お前の足ではオイラの攻撃は受け止められない」
「くッ……!」
雅はスパイラルを地面を蹴るときに使用して、高速で距離を詰めにかかる。
「測定できればもっと深いところも分かるんだぜ」
そう言って、華壱は無造作に棒を振った。
すると吸い込まれるように雅がその位置に頭を出してきた。雅は棒に操られるようにその方向に飛んでいく。
「今のは……」
「オイラが棒を置いた場所にお前が突入してきただけだぜ。測定結果だよ、これもな」
それは。
それはつまり未来予知と一緒。攻撃が読まれている。
「追撃行くぜ」
そう言って華壱が猿のように飛び上がって、こちらに近づいてきた。
そして倒れている雅の上にのしかかろうとする。
が、その瞬間。
華壱が吹き飛んだ。
「!?」
「予想通り、空中では測定できても行動には移せないわね」
そう言ってそこに居たのは、
「火水さん……」
虎郷だった。石を投擲したようだった。
「雅ちゃん、交代よ。私たちはそうした方が相手取るのには釣り合いが取れる」
そう言って虎郷は走り出す。
「虎郷……なるほど、面白くなってきた。計測てやるよ」
「未来予知は私の専売特許よ」
虎郷の拳が華壱の木の棒を砕いた。
「流石ですね……」
「油断大敵だぞ」
そう言って背後から声が聞こえた瞬間、雅は反射的に回転して蹴りを入れようとしていた。
「おっと」
籠目さんは一歩後ろに飛び下がってそれを避ける。
「やれやれ、相性は抜群というわけか」
籠目さんは姿を現してから言った。
「よろしくお願いしますね」
「私も余裕ぶってはいられなくなってきたところだ。早めに決めよう」
そう言って2人も戦闘を始めた。