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丸く収まったこの世界  作者: 榊屋
第二章 運が定めたこの世界
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07-現在の友情-

「またややこしいことに巻き込まれているようね」

「あぁ・・・。って、隼人に聞いていないのか?」

「彼、部屋から出てきていないのよ」

「あぁ、そういやそうか・・・」

 最近向こうで生活してなかったからなぁ・・・。そろそろ生活軸をもどすか。

 どうせ、明日であいつも出てくるからな。

 明日にでも荷物をまとめて、本格的に向こうでの生活を始めよう。そんなに遠い距離でもないので、いつでも帰ってこれるだろう。


「で、何かようか?」

「さっき言ったでしょう?ややこしいことに巻き込まれているようねって」

「・・・だから?」

「ややこしいことに巻き込まれているようね」

「・・・」

 察しろってことか?

 ・・・何を?

「・・・ふぅ」

 均衡状態、沈黙状態の空気を流したのは、虎郷のため息だった。

「私達は1ヵ月ほど前に、ある一定の関係性を持った」

「『仲間』とか言うんじゃないんだろうな?何度も言っているだろう、俺は――」

「『友達』よ」

 俺の発言を遮りそう言った。

「『仲間』では無いにしても『友達』であるとは、自信を持ってそう思うわ」

 虎郷はそういった。

「だから、問題は1人とか2人とかではなくて、皆で分け合うべきだと思うの。それが友達としての当然の行いだと思うわ」

「・・・そうだな」

「友達は私だけじゃなくて、終さんや東さんもあなたにとっても私にとってもそうであるとは思うわよ」

「・・・それもそうか」

 でも・・・。

「でももなにもないわ」

「人の心を読むなよ!!」

「あなたに言われたくはないわ」

 うッ・・・それもそうか・・・。

 いや、ココで俺は折れないぞ!

「人の心を意図も簡単に読むなんて、プライバシーの侵害よ」

 ぐぅ・・・。ぐうの音も出ないというのはこのことか・・・。

 だが、俺のメンタルはそう簡単に・・・

「どう責任をとってもらおうかしら・・・」

 クスリと、とても恐ろしい微笑をした。

 これは、女子のセリフではない!ヤクザのセリフだ!

 俺の中でセリフが「どう落とし前つけてくれるんかいのぉ!おお!?」と変換された。

「まずは・・・フフッ・・・」

「俺が悪かった。取り敢えず、不敵な笑みを取り下げろ」

 メンタルの弱い男だと思うがいい。



 私の心は半分に折れてしまった・・・・・・!



「で、何があったの?」

「・・・ん・・・?あぁ・・・」

 折れてしまった心に修復期間を与えるために、俺は虎郷の申し出をしぶしぶ受けた。

 それら全てを聞いた虎郷の反応は、

「そう」

 と、淡白だった。


「淡白なのは生まれつき・・・ではないわね。2年前からよ」

 虎郷が俺の心を読んできたことに関しては割愛(しないと俺の心はぽっきりと折れる)。

 それにしても。

 2年前か・・・。

 彼女も苦労しているということだろう。その心を修復するには、俺と同じく修復期間が必要だろう。

 しかし、期間は長く。その修復作業に、俺が手を貸すことは・・・まぁ、やぶさかでは無い。

 けれどそうするべきだとは思わない。ここからは彼女自身で助かるしかないのだと思う。

 それでも、何とかしたいと思うのは、『友達』だからなのだろう。

 そうであれば嬉しいし、

 『仲間』であれば尚嬉しく思うのである。

 もしかしたら、近未来的に地球が滅ぶとしたら、後悔しないような生き方をしたい。破壊的でも消失的でも自発的でも受身形でもいいや。恋をしようと思う。


論外問題ではない。「論内」だ!

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