04-解剖『嘉島リンク』-
今回はとても短いような感じですね。
これからもこんな感じなことが多々ある模様。
さて、来る日曜日。
俺は海馬を尾行することにした。方法はいたって簡単・・・ではなかった。
まぁ、彼の家に行く事は簡単だった。学校から彼の残留思念を読み取り、それが導く道を進むだけでいいのだから。
だが、そのためには、彼が外に出るまでには、家につかなければならない(まぁ、彼の家から残留思念を追いかけるという方法もなくはないのだが)。
というわけで、響也(兄)と、奏(妹)、そして母親が寝静まった後、こっそり家を出ようとした。が、リビング。
食卓の上に「朝ごはんは、一日の活力の源なので、しっかり食べてから巻き込まれるように 奏」と書かれた紙とあんぱんと牛乳(張り込みか!!いや、張り込みなのだが)が置かれていた。
妹は本当に家族の事ならなんでもお見通しだな・・・。小学6年生とは思えない気の遣い方だ・・・。
10月2日午前2時30分。ミッションスタートである。
「・・・よし」
まずは学校に向かってダッシュで向かう。
40分には学校に到着した。歩いて30分かかる距離を10分かかってしまった。
「運動不足か・・・」
そう呟いて、呼吸を整える。
そして、右手を学校の校門の地面につける。
学校の人数分の情報が頭に入ってくる。寝不足でお腹のすいた状態の頭にはダメージが大きい。故に気分が悪い。情報整理は苦手だが、そんな事を言っている場合でもない。
まずは、26センチより大きい靴の情報を探す。アイツの靴のサイズだ。
本当は、ぴったり26センチにしたいぐらいだが、そんな余裕は俺にはない。
半分くらい・・・つまり、男子のものが残った(のだろう)。
次に体重。
道路に対する負荷を見つけるしかない。
昨日の玄関の植木鉢。割れた破片は回収されているはずだが、少しくらい残っていてもおかしくは無い。
で、見つけた。茶褐色の植木鉢の破片が、多少ながら残っている。回収する公務員の方は老人だから、残っていると思っていた。昨日回収したのだから、他の人が気付くはずもない。後は、この破片が見たはずの「海馬正」と道路が記憶しているはずの「海馬正」の足跡をリンクするしかない。
つまり連立方程式とかいう奴だ。言葉は知っているけれど、やり方はわからない。
頭の中で情報をまとめる。
かき混ぜる。作り上げる。創造する。
「これは時間が掛かりそうだ」