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丸く収まったこの世界  作者: 榊屋
第二章 運が定めたこの世界
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02-解析-

「何だってんだ・・・・・・・・・!!」

 土曜日、10月1日。

 本当の家・・・つまり、俺の家族が居る家の俺の部屋で、考え事をしていた。



 あの後海馬は笑って、そのまま帰宅の道へ足を戻した。

「待ちたまえ!」

 珍しく隼人は叫ぶ。

 その声を無視して、海馬は足を進めていった。

 なんとなく、俺達は動けなかった。


 隼人の家について、

「何なんだ!アイツは!!」

 リビングに入ってすぐ、彼は叫んだ(門をでてから不機嫌で一言もしゃべらなかった。これを叫びたかったのだろう)。そして、3人掛けのソファーに鞄を投げて、1人用のソファーに座り込んだ。俺はその3人掛けのソファーに座る。

「・・・・・・そんなに何に怒ってんだ?」

「何に?何にだって?」

ドン!

 と、音はしなかったがそんな勢いで足を組んだ。



「全部だよ!彼は、植木鉢の方向もサッカーボールの位置もそれらの速度も見てなかった!そんな能力は知らない!最初は「ブラインド・アイ」かと思ったけど、アレは見なくても分かるだけの能力だ!それにあの能力は、運動が出来ない事を悔んで、願った時に発生する能力だ!彼は運動神経はそんなに悪くない!サッカーだってそうだ!彼には運動神経は高かったから、アレくらいなら出来るのかもしれないけれど何も見ずに狙うなんて事は無理だ!!それに、最後の最後は僕を無視しやがった!何の能力を持ってるんだ!!」



 相当切れてるな・・・でも、最後の1つは微妙だ。

 自分を何だと思ってるんだろう、彼は。

 ああ、王だと思っているに違いない。


「で、何の能力だったか分かったのか?」

「・・・・・・知らないよ!あんな能力!」

「お前、この世の『アクター』の能力を全部知ってるんだろ?」

「でも、知らない物は・・・知らないんだ」

 だんだん冷静さを取り戻してきた隼人は、少し落ち込む。

「それこそ、新しい物があるということ以外考えられない」

「そんな出会いはそうそう無いだろう?」

「そうでもないよ。この世には同じ「アクター」は存在しない。君と僕はたまに居る能力者だけれど、ヒスイ君は珍しい能力だよ。不幸を望むなんてね。でも確かに新しいアクターが少ないのは事実だね。基本的に人間は同じ願いを持っているものだからね」

「そうか・・・」

「・・・・・・先生に連絡しておいてくれ」

 ・・・・・・何を?そう思ったときには、リビングの東にあたる部屋に隼人は入った。そして気付く。


 アレは彼の部屋だ。ちなみに西側が彼の部屋で、俺の部屋が隼人の部屋から見て左隣。北側は窓。

 後、2階に部屋とトレーニングルームがある。3階もあり天窓つきだが、部屋というかホール。まぁ、王城グループの建物だから。

「おい!お前、学校休むつもりか!!」

「あぁ。部屋にこもって考えるよ。分かろうが分かるまいが3日以内には出るから心配しないでくれ」

「・・・・・・くそッ!!」

 俺は少し憤りを感じる。

「いつも自分勝手すぎるんだよ!!」

 俺たちは2人でこそ意味がある!!

 思ったけれど言わなかった。

「君も勝手にしたまえよ。彼に触れれば分かるだろう?でも、僕には教えないでくれよ」

 そう言って物音がしなくなった。

 完全に動かずに考える状態だ。ベッドに横になっている状況が目に浮かぶ。

「・・・しばらくは、家で過ごす」

 そう扉に呟いて、リビングにたった。

「くそが!!」

 そして、俺は俺の部屋の扉を蹴った。扉が部屋に向かって倒れる。

「何かあったの?」

「?」

 鞄を持った虎郷が、リビングの扉を開けて立っていた。

「・・・虎郷・・・」

「何かあったの?」

「いつから見てた?」

「王城君が部屋に入ってから」

「・・・あぁ。じゃあ聞いてたと思うけど、3日くらい出ないから」

「ええ。嘉島君が叫んでたのも聞いたわ」

「あぁ。そうか・・・じゃあな」

「?どこへ行くの?」

「うちに帰る。そのうち戻るから」

「扉。壊れてるわよ」

「知るか」

 俺は、玄関を出た。



「くそッ・・・・・・・・・!」



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